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最強ゲーマーの《多世界攻略録(マルチバースアーカイブ)》  作者: 紅柳
第四編 サイバーレギオン編 
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第30話:牙城へ

深夜のガソリンスタンド前に横たわる、サイバーレギオンの襲撃部隊。

静まり返った道路で、カレンが木刀の先を軽く振り、闇風が息を整えながら俺の隣へと戻ってくる。

「お見事。全員、完全に戦闘不能だね」


開いたままのリムジンのドアから、蓮会長がゆっくりと降りてきた。その手には、仕込み傘ではなく、何かのデータが目まぐるしく走る薄型の特殊端末が握られている。

「青真の的確な指示と、二人の圧倒的な武力。これなら、この先も安心して背中を任せられそうだ」

「いえ、会長。今回はメグのデバフドローンによる視覚妨害のタイミングが完璧だったおかげです」


俺がそう言うと、車の陰からノートPCを抱えたメグが、丸メガネを誇らしげに押し上げながら顔を出した。

「ふふん、もっと褒めていいよ? 奴らの通信網をジャミングでズタズタにしておいたから、この襲撃が失敗したことは、まだサイバーレギオンの本部には伝わってないはず」

「素晴らしい。なら、機は熟したね」


蓮会長の目が、普段の穏やかなものから、ギルド『百華繚乱』を統べる長としての冷徹で鋭いものへと変わる。

「敵は資金源を絶たれ、ハッキングシステムを焼かれ、切り札である武闘派部隊まで失った。完全に追い詰められたネズミだ。だが、ネズミも窮鼠となれば何を仕掛けてくるか分からない。……ここで一気に、奴らの息の根を止める」

蓮会長が端末を操作すると、空中へ一枚の立体マップが投影された。


それは、街の臨海地区にある、使われていないはずの巨大なコンテナ倉庫の構造図だった。

「ここが、サイバーレギオンの最終拠点。残存するすべての構成員と、組織のボスが潜んでいる牙城だ。警察が動くのを待っていては、電子データを破棄して逃げられる可能性がある。……今から、私たちの手で《直接突入(ハック)》する」

「望むところです!」

カレンが嬉しそうに木刀の柄を握り直す。闇風も黙って頷き、戦闘の意思を示した。


俺は投影されたマップの構造を、じっと見つめた。

ただの倉庫に見えるが、搬入口や防犯ゲートの配置が、全盛期のクソゲーに登場した『潜入ミッションのラストダンジョン』に酷似している。

「会長、この倉庫のセキュリティ、入り口を正面から突破しようとすると、自動迎撃システムでハめ殺される構造になってます。……ですが、配置されている防犯ゲートの認証プログラムには、処理の順番を逆転させることで完全にフリーズするバグがある」


俺の言葉に、メグがニヤリと笑った。

「なるほどね、青真。私が裏コードからそのバグを一瞬で突けば、敵は文字通り『無防備な箱』になるわけだ」

「ああ。正面からまともに戦う必要なんてない。システムを完全に機能停止させて、ボスを丸裸にしてやろう」

「よし、方針は決まった。みんな、車へ」

蓮会長の鋭い号令とともに、俺たちは再び車内へと滑り込んだ。

夜の臨海地区へと向かって、リムジンが猛スピードで加速していく。

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