第14話:初見殺しの強襲
「——作戦開始。これより『第六師団拠点』の強制シャットダウンを行う」
夜の帳が降りた雑居ビル。そこは黒死蝶の下位組織、第六師団のたまり場だった。
俺の合図と同時に、メグがビル全体の電源をハッキングで強制的に落とす。一瞬にして闇に包まれるフロア。だが、前回の暗闇とはわけが違う。
「なんだァ!? 停電か!?」
「慌てるな、明かりを——」
「無駄ですよ。そこ、もう僕の『間合い』です」
闇風の声が響いた瞬間、第六師団の男たちが次々と悲鳴を上げて崩れ落ちた。
敵が闇雲に振り回す鉄パイプやナイフの射線を、闇風は新スキル『絶対回避(無敵フレーム)』によって紙一重ですべて透過させていく。どんなに攻撃が密集していようが関係ない。あいつのステップの前では、敵の攻撃判定そのものが「存在しない」も同然だった。
「化け物め、死ねぇッ!」
生き残った幹部が色めき立ち、一条さんへ向かって一斉に突撃する。
だが、一条さんは不敵に微笑むと、木刀を凄まじい速度で一閃させた。
パァン!! と乾いた音が響く。
男たちの武器が弾き飛ばされた。驚くべきはその後だ。通常なら大振りした後に生じるはずのわずかな隙(フレーム硬直)を、一条さんは『神速のモーションコネクト』によって完全に踏み倒した。
「終わりではありませんよ」
一撃目の終わりが、即座に二撃目の始まりへと繋がる。物理法則を無視したかのような超高速の連撃。男たちは自分がなぜ斬られたのかすら理解できず、一瞬で床に転がされた。
「ひっ、な、なんだよこいつら……!」
奥のオフィスに立てこもろうとする残党に向け、メグがスマホを操作する。
「逃がさないわよ? AIドローン『ファントム』、索敵&妨害!」
実験室で魔改造された小型ドローンがビルの窓を突き破って侵入し、天井から特殊なフラッシュ弾と音響兵器をぶち撒けた。
「うわあああッ! 目が、耳がっ!?」
完璧な初見殺しのハメコンボ。
俺は一歩も動くことなく、脳内に展開された『予測演算』の通りに戦況が片付いていくのを静かに見つめていた。
「よし、フロア制圧完了。——メグ、この拠点の通信回線をジャックして、黒死蝶の『本部』へメッセージを叩き込んでやれ」
「了解。なんて送る?」
俺はホワイトボードに描いた第四師団長の顔を思い浮かべながら、ニヤリと笑った。
「『まずは一つ。次はお前だ、第四師団長』……ってな」
第六師団の拠点を、傷一つ負わずにわずか数分で完全制圧。
新生「百華繚乱」の圧倒的な無双劇に、黒死蝶の幹部たちは大いに焦ることになる。
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