表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自分だけ揚げ物が楽しめる世界  作者: ミツメ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/89

追加条件

投稿日時に希望あれば教えていただけると幸いです。

現状、土日どちらかの8時過ぎになっていますが8月から週2投稿の予定のためもう1日をどこに設定するか悩んでます。

 綜馬が目を覚ましたのはシュヴァリエとの戦闘後、3時間ほど経った頃だった。

「シュヴァリエは!」

 跳ね起きた綜馬の一言目はそれだった。


「そーまが倒した。」


「良かった、どうにか。」

 綜馬は自分の魔力が枯渇気味である事を確認しながら、ほっと安堵する。しかし、別の不安も同時に生んでいた。


「ミケア、玖珂さんは?」


「一個回ったら戻ってくるって。多分もう直ぐ、」

 ミケアが言い切る前に玄関の方で音がする。ミケアが臨戦態勢を取らないという事はそういう事だった。


「あぁ、良かった。目覚ましたんですね。」

 玖珂は汗を拭きながら笑みをこぼす。


「どうでした?」


「反応は変わりませんね、」


 綜馬も玖珂もなんとなくわかっていた。このやり方では問題は解決へ進まない。そして、玖珂へ抱いていた一つの疑念。それを解決しない事には大元の問題も前進しない。


「玖珂さん、二つ質問いいですか?」


「はい、なんでしょう?」


「ヨハネの、本部というか団野さんからは何かことづかってますか?」


「物資の補給の件で本当に綜馬さん達はいらないのかというのと、配給を近々やるからキャンプを用意してと昨日。」


「配給ですか。わかりました。それと、」


「はい、」


「どうしてシュヴァリエが複数体存在する事を伝えてくれなかったんですか?」


 見るからに動揺した表情。おさまりかけていた額の汗が再び姿を見せる。


「伝えてなかった、というか、私も、」


「シュヴァリエが現れた時、あんなに怯えていたのにもう一体現れた時も、今日もシュヴァリエに対する恐怖は見えましたけど、別個体がいる事に関しての驚きはなかったですよね。いわゆる中型クラスで、それにネームド。普通考えたら一体です。複数いるなら事前の情報共有は必須じゃないですか?」


「あ、あの、つい、頭から抜けてて、」


「これ団野さんも知らないですよね。」


「それは、団野さんがこっちまで来てないから知らないって話で、教えてないとか、そう言うわけじゃ、」


「つまり、僕達に意図的に隠した。そういう事ですか?」


「かんちがっ、」

 玖珂が弁明する前にミケアの小刀が首元に当てられる。


「どうする?終わらせる?」

 ミケアからすればこの仕事も、玖珂も、この地域の避難民もどうだって良かった。綜馬から漏れ出る怒り、全て終わらせるのに十分な理由だと判断した。


「それは早いよ。ミケア。ちゃんと話を聞こう。僕達がずっと避けてきた事だ。向き合うのを放棄していたら僕達も前に進めない。」

 綜馬は自分が英雄だなんて思っていない。誰かを助けたいという気持ちも偽善だって思っている。けれど、誰かの痛みを見て見ぬフリする自分にはなりたくなかった。こんな世界になっても自分に暖かさをくれた人は沢山いた。遅いとは自覚している。けれど少しずつでも尊敬する彼らのようになりたいと思っていた。


——————————————————————————————————


 残存するシェルターは数十分あれば数え切れる量になっていた。残るシェルターはどれも中規模以上で、避難民流入などにより大規模シェルターへと変わるシェルターも少なくなかった。

 そのどれもがシェルターごとの規律を有しており、独立した国家とも言えた。シェルター間の交流もシェルターによってバラバラで、以前のように敵対姿勢を崩さない場所もあれば、少なくなったシェルター同士協力し合おうという穏健派もいる。

 そんなシェルターの中で特異なのが『マーク』管轄のシェルターだった。


 彼らはシェルター全体の三分一を所有している。それは統治者として、暴君として、システムとして、様々な形で行われているのだが、一貫して言えるのは『マーク』の管理下にあるという事だった。


「いやはや、懐かしいですな。皆さんが集まりますと。」


 羽間は感慨深そうに顎を触る。目の前にいるのはジン、マオ、サイバの3人。彼らはシステム変革後、功績を認められそれぞれシェルターの管理者となっていた。だから彼らが集まるのはいつぶりか。昔話に花を咲かそうと羽間は言葉を続けるが、


「俺たちはいつから仲良しになったんだ?俺にはそんな覚えがないけどな。」

「よしなよジン。」


 以前から羽間をよく思っていなかったジンは敵意剥き出しの悪態で応える。


「相変わらずですね。皆さん。」


「それで、要件はなんだ?羽間。」サイバが口を開く。


「私たちは様々な作戦を遂行してきました。それは大いなる目的のため。この世界が理に従順だという事は痛いほど知っている。理由はそれぞれありますが、願う結果は一つ。死者の復活。そのために幾つもの犠牲を出してきた。そして、我々マークはこの度、」


「要件はなんだ、と言ったんだ。」


「サイバさんはせっかちですね。ま、良いでしょう。見立ての必要量が溜まりました。魔石、そしてそのほかの贄の準備。」


「つまり、」ジンが目を見開いて飛び上がる。


「が、失敗に終わりました。」

「チッ、なんだよ。いつも通り絶望をありがとよ。」


「ただ、失敗したわけではありません。二つの追加条件を課されただけです。」

「追加条件?」

「私たちの星にやってきた別の人類を管理下に置く事。そして、選ばれし民『巫』を見つけ出す事です。その作戦の日本全体指示を私、羽間が行う事になりました。せっかくなのでかつての戦友に立場を与え、再び勝利を掴みたいと思ったわけです。」

「何が戦友だ。」

「まぁ、なんでも良いです。ちなみに、冬弥君とレオ君は関西を引き受けてくれました。あなた達は関東。さぁ、大いなる目的のために始めましょうか。」

読んでいただきありがとうございます。


いいね、☆☆☆☆☆の評価頂けると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ