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魔法の星の恋物語  作者: 知香
第1部
27/159

27.始まりの魔女─魔力─

隠れ家の書斎の窓を開けて、両手を掲げる。目を瞑り、森を覆っている結界に魔力を流す。


(もうちょっとかな……)


体の中の魔力が、自分の中でピタッとくるところまで流し続ける。


(こんなものね)


フッと魔力を流すのを止めると、体がスッキリとした気分になる。


「ソフィアー!いるー?」


声がする方は青い扉。王都から誰か来たようだ。


「書斎にいるよー!ちょっと待ってて!」


窓を閉めてリビングに行くと、アナベルとエマ、それにルークが来ていた。


「あら、お揃いで。いらっしゃい」


「王族の執務から引退したら暇で暇で。遊びに来ちゃった」


「王族に引退なんてあるの?何かっていうと式典があって、全員勢揃いするでしょ?」


「そういうときは出席するけど、普段はもうほとんどやってないの」


ルークが慣れた手付きで紅茶を淹れてくれている。

魔女3人は久し振りに顔を合わせたこともあり、お茶の準備をルークにお任せして、ソファに座り些細な雑談をする。


エマが持ってきてくれたクッキーはサクサクのホロホロで、プレーンもココアもアーモンドも、どれも美味しい。けれど一番好きなのは、お魚クッキー。乾燥させた小魚の粉末をナッツと一緒に練り込んで焼き上げてあり、クセになる美味しさ。エマは魚好きの私の為にわざわざ買ってきてくれるのだ。


「このお魚クッキー、ワインが飲みたくなるわ」


「わかるわ!ルーク!紅茶じゃなくてワイン無いかしら?」


「ないよー」


「あら、残念。次からはワインも準備して持ってきましょ!」


「ワイン、置いてなくてごめんね」


私はワインなんて無くても美味しく食べられるんだけどな。


エマとアナベルは今日も自由だ。普段王族と公爵という立場で会う時は、もっと堅くて言葉遣いも丁寧だし品があるけれど、ここで会う時は昔のまま。


「そういえば、ソフィアはさっき何してたの?」


「魔力調整。体の魔力が膨張する前に、森の周りに結界を張って、体の魔力を出してたの。結界に魔力を出しながら、もし魔力暴走や暴発が起きても結界があれば外に漏れ出るような被害を出さずに済むでしょ」


「そんなことしてたの?」


「魔力が膨張?そんなの起きるの?」


「ルークはそこまで魔力が高くないから魔力膨張を起こすことは無いだろうけどね、私達は高魔力持ちだから、時々魔力を放出しないといけないのよ」


「そうなの?」


「言ってくれれば魔力吸収してあげるのに。水くさいわね」


「結界を張る目的もあるから」


「魔力吸収はどうやるの?」


ルークは魔力膨張も知らなかったのだから、吸収の仕方も知らないのだろう。アナベルの子どもと言えど、膨張する程の魔力は無いのだな、と思った。


「魔法を使うときに魔力を流すのと反対に、魔力を吸い込むのよ。もしくは性行為ね。これが一番効率が良いの」


「は?」


「ちょっちょっ…!何教えてるのよ!」


前半だけでいいのに!

何故後半も教えるのだ!!


「私は旦那様に魔力を流して受け取って貰っているわ。彼は普通の人間で、魔力を吸い込むことが出来ないから私から流しているわ」


「ソフィアさん、やろう!」


「何言ってるのよ!アナベルー!余計なこと教えないでよー!!」


「余計なことじゃないわ。私達魔女にとっては、とても大事なことよ」


「そうよ。私も旦那様が生きていた頃は受け取って貰っていたわよ。ソフィアは恥ずかしがりやね。でも私はもう魔力がこれ以上増えないみたいで、膨張しなくなったわよ。ソフィアは本当に魔力が高いのね」


エマはもう魔力膨張しなくなったのか。ちょっと羨ましい。結構面倒臭いのだ。


「でもルーク。ソフィアとはまだ結婚もしてないんだから、ただの恋人でしょ?順番は守らないと。結婚するまではキスまでにしなさい」


「結婚しよう、ソフィアさん」


「何なのー!」


ルークはとても美形なスマイルを浮かべている。なんて眩しい破壊力。止めて欲しい!


「ルーク。プロポーズは大事なことよ?もっとロマンチックな雰囲気じゃないと駄目よ」


「どんなの?」


「んー。そうねぇ。とりあえず恥ずかしがり屋のソフィアにとっては、2人っきりの時がいいんじゃないかしら?あとは……地球では花に花言葉というのがあってね、花に気持ちを込めて贈ったりするの。愛の告白にはバラの花がよく利用されるんだけど、108本のバラの花は≪結婚してください≫っていう意味になるそうよ」


「へーそうなんだ!」


「ルーク、頑張ってね」


エマまで応援してるし!


「全部聞いてるけど!私にも聞こえてるよ!?」


「俺のプロポーズ、楽しみにしててね。ソフィアさん」


「────!?」


いや……

もうプロポーズされてるでしょ、これ。

なんて美しい美形の笑顔。


これから暫くルークと会う度に、いつプロポーズされるんだろうと、常にドキドキしてしまう気がする。なかなかプロポーズされずに焦らされでもしたら、ドキドキを繰り返し過ぎて、心臓が破裂してしまうかもしれない。


そして、どんなプロポーズをされるのか……気絶してしまう気がしてならない。


そしてそして、プロポーズされたら……

つまり……

そう言うことで……

そうなる訳で……


ああ!!!

恋愛初心者の私には無理ー!!


ルークは私よりずっと年下なのに、恥ずかしげもなく距離を詰めてくるから、私は、そんな彼に、敵いそうもないのだ。


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