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つまり俺は異世界人最弱候補ってことですね。笑えねぇ


この世界にはステータスが存在する。これは非常に便利な世界の仕組みだ。この人は何を得意とするのか、この人は何が出来るのか。ひと目見れば分かってしまうのだから最高の判断材料になるだろう。

だがそれ以上に俺はこの仕組みを残酷だと思う。ゲームでも現実でも同じ。使われるのは強い存在だ。


「いーづーきーさーま?」


「はいはい。聞いてるって。つまりこの世界ではどれだけ珍しいスキルであろうと実用性を示せなきゃ意味ないって事だろ?」


実に俺にとって生きにくい世界である。でも仕方ないとは思う。異世界人の持つスキルはシルによると全てこの世界に存在しないスキルだと言う。全例がない、故にしょうがない。知らない物をすぐに理解するなど不可能だ。しかし、それでも同郷の日本人達も自分達の価値を認めさせ成り上がった。きっと不可能ではない。俺も主人公のように成り上がり願わくば美少女ヒロインと………


「多分、他の日本人でもこの世界でやっていけていけるんだし俺も……とか思ってるでしょうが多分厳しいと思いますよ」


そう。シルははっきりと、そして申し訳なさそうに言った。


「先ほど私は異世界人のスキルには全例がないという話をしましたよね?しかし異世界人は基本的に転移した時に何らかの戦闘スキルを持っているんです。それが何故は分かりませんが話を聞く限り伊月様には戦闘スキルがない」


そして困った顔を向けてくる。可愛い。


「つまり、例外なんですよ……伊月様は…」


成る程成る程。つまりこの状態だと冒険に出る以前の問題だと。つまりは何だ?シルが言いたいことは。


「これから伊月様にはいたって普通のこの世界で初級とされる戦闘スキルを覚えてもらいます」


「成る程。天才か」


あ、ほんの少しの間だけどシルがえ、気付かなかったの?て顔したぞ。俺は見逃さなかった。幼女に頭で負けてるってどういうことだよ。というかシルはしっかりしすぎな気もするな。見た目9才だけど実はロリババアとか。さすがにそれはないか。しかしロリババアも俺は嫌いじゃない。


「よし、じゃあちゃっちゃとゴブリンでも狩ってスキル覚えますかぁ」


「今の伊月さまではゴブリンは多分無理です!」


必死にシルが俺を止める。

え、またまたぁ。さすがにドラゴンワンパン俺最強とまではいかないだろうけどゴブリンぐらいは……ねぇ。それともあれか?この世界のゴブリンさんそんなに強いのか。まぁいいや。


「とりあえず見てろって。危なくなったら助けて貰うからその時は宜しく」


「スデニアブナインデスガソレハ」


シルがなんか変な事をいってた気がしたけど気にしない。

そして草原の奥に奴はいた。俺はシルに渡された剣を構えゴブリンに立ち向かう。熟練の戦士のような体さばきから放たれる剣撃はゴブリンを瞬殺する………なんて事はなく俺は軽々とゴブリンに吹き飛ばされる。


「ぐっ……はぁはぁ…くそっ」


蓄積したダメージからか俺は立ち上がることが出来なかった。足も震えている。怖い。今まで感じて来たなかで1番怖い。あれが雑魚?まったく笑えてくる。そして俺はやっと1つの現実を受け止めた。




「あぁ。俺ってこんなに弱いんだな」



朦朧とする意識をなんとか保ち前を見るとゴブリンの前にシルが立ち塞がっていた。


「はい。伊月様はとても弱いです。でもきっと、いや、必ず伊月様は強くなれる」


そこで俺の意識は途切れた。




◇◇◇◇



「大丈夫ですか?」


シルの言葉で目を覚ます。どうやら俺は膝枕されているようだ。この光景を見られたら間違いなく事案だろう。


「って、ゴブリンは何処に」


慌てて俺は立ち上がろうとする。


「大人しくしてください!!」


慌てて止められた。少しずつ頭がまわるようになってきた。俺がここまで動ける状態になってるということはシルが何かしたのだろう。俺は何をやってるんだか。これじゃあ全く俺の方が子供じゃないか。

やがてシルが俺が落ち着いたのを見計らい話し始めた。


「伊月様のように魔物を『知らない者』は所詮雑魚だとゴブリンなどを舐めてかかる人は多いです。でもそれは間違いです。伊月様は英雄譚の主人公ではありません。1人の人間です。たとえそれがゴブリンであろうと、スライムであろうと致命傷を貰えば死ぬのです。」


そしてシルは続けて告げる。


「だから胸に強く刻んでください。全ての敵は自分を殺し得る存在であると。今回は生き延びた。次に生かせばいいんです」


そしてとびきりの笑顔で言った。


「だから伊月様、強くなりましょう!それも最強に!」





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