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秘め事

夜の闇がオルファンの襲撃を隠している。

王都の外へ出たバラン公爵軍が異変に気付いて戻ってくる気配はない。

カクサン、スケサンを討ち取り、城内の1階部分と地下1階はほぼ制圧を終えていた。

残すは2階、3階と尖塔。それと堀等で区切られた王族居住区。聞いていた構造ではそれだけだ。


地下1階に降りれる階段は何ヵ所かあった。

それらは目立たない場所にあり、オルファンでは見落としていただろう。

竜牙兵が他所を攻略している間に地下を見てまわる。地下牢や武器庫、食糧庫もある。

だが、バラン公爵軍に奪われたのだろう。

武器も食糧も残されていなかった。

百田藤兵衛が説明をする。

「通路の長さと各部屋の大きさが一致しません。調べましたら4つの隠し部屋、2つの隠し通路、1つの隠し階段を発見いたしました。今は木戸殿が罠を調べています。」

「隠し通路は2つとも城の外へ伸びているかと。こちらは調査の対象からは外しました。」

案内された部屋には大量の書物が。本1つ1つが魔力を帯びているのがわかる。本が収められている書架(しょか)事、自在収納リングに入れる。

『城内には隠された宝物庫がありますわ。2階に1つ。3階に1つ。尖塔に1つ。王族居住区に3つ。父上の他にはクロウ兄様と私しか知らないんですの。』

忘れられた隠し部屋か。


1つの隠し部屋は拷問部屋だった。渇ききった血。溜まったホコリ。100年以上は放置されているのだろう。人の骨も散乱している。

「南無阿弥陀仏」

安らかに眠ってくれ。


1つの部屋の中には乱雑に置かれた宝箱が無数にあった。ホコリを被ってはいるが金の輝きや宝石がわかる。鍵も木戸と百田で見付けてくれていた。

他の部屋が気になるので、この部屋の物も全てリングの中に入れた。


残りの部屋にあったのは銀の食器である。黒ずんでおり輝きを失っている。これらもリングに入れて次へ向かう。


隠し階段の前で木戸弥左衛門が青ざめた顔をして待ち構えていた。隠し階段は地下2階に降りるものであった。地下2階には7つの部屋が。6つの部屋は白金貨、金貨が入った袋で埋め尽くされていた。

最後の1つの大部屋は砂金の入った袋で埋められていた。

「あれを・・・。」

木戸が指差したのは砂金の袋の先にあった。

知っている。知っている。

黄金の寺。中尊寺金色堂。

「何ゆえ金色の寺が。」

木戸は異世界に寺がある事に動揺したようだ。

だが、オルファンは違う。

中尊寺金色堂を知っている人間がいたという事だ。

誰だ?いや、どうしてここにある?

何のために造らせた?


地下2階の財貨、砂金を全てリングに入れてから地下から出る。

「済まないが、自分達が入った痕跡を消してきてくれ。地下2階への階段だけは絶対に見付からないように頼む。」

あれは、何なんだ?


地上に戻ると未だに2階の攻略中であった。

騎士達が3箇所のバリケードを作って徹底抗戦をしているそうだ。また、奥の王族居住区にいたってはこちら側から通路を封鎖していて堀までも行けないようだ。

尖塔に関しては守る者も居らず、制圧が終了していた。


城内細かいの構造がわからない以上は竜牙兵の数攻めが最適となる。見落とす場所がないからだ。

とはいえ、バリケードを作られて守りに入られると厄介だ。事前に聞いていた侍達の意見では城には2000の将兵、城外に出た将兵が1万だった。

城内にいる者は負傷兵が多いだろうと言う事で、勝算はあったんだが。

「焦らぬ事です。」

上杉景虎の囁きで自分が焦っている事に気付く。

どうやら、城外の事、地下の事で色々と考え過ぎていたようだ。

「待つ。竜牙兵に任せる。」

今は落ち着け。

周りに焦りを見せるな。

ドカリと座り本を読み出す。

演じろ。落ち着いた大将を演じろ。

読もうとしていた本のタイトルが「いけない秘め事」だと気付いたのはだいぶ時間が経ってからだった。

秘密と秘め事でございました

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