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出費

「オルファン殿、クロウ殿下は御無事である。

だだ、敵味方も解らぬ状況ゆえ身を隠しておられる。資金の援助と人手をお借りしたい。」

使者として来たのは騎士であった。

「貴方が本当に殿下からの使者であるという証明はありますか?殿下の名を騙る不届き者に力を貸すわけにはいきません。」

これで追い返せないかなぁ。


「その用心深さは大事ですな。ですが、私は酒宴の席で殿下付きの騎士としてオルファン殿とお会いしています。覚えていませんか?」

覚えていません!!

王都では沢山の人に会った。

王族くらいは覚えているけど。

その酒宴での殿下との会話を再現された。

これでは偽物とは言えないな。


「我らは殿下やその側近・護衛しかいません。殿下の身の回りの世話や我らの料理・洗濯をする者を提供してもらいたい。

また当座の資金もいる。そちらもお願いしたい。」

「何故私を?貴族の方々は?」

「誰が敵で誰が味方かも解らぬのだ。殿下はそれを見極めておられる。オルファン殿は殿下を害する事はあるまい。それゆえ私だけが馬を手に入れてここまで来たのです。」

断れる流れではないようだ。

結局白金貨40枚と奴隷100人、それを運ぶ馬車を提供する事になった。白金貨は残りが10枚になったし、屋敷にいた奴隷も200人程。残ったのは悪ゾンで買った奴隷や幼い者、元貴族やアマゾネスなどの家事が得意でない者。それでもエロメイド達を残したから屋敷の維持は何とかやっていけるはずだ。

第一王子は王族用の隠し砦に向かっているという。

この国はどうなるんだろう。

「殿下は必ず報いると言われていた。期待して構わないだろう。」



そんな事より魔法だ、魔法だ。

入門書によると魔法は魔力の流れとイメージが大事だと言う。(ことわり)を理解していた方が魔法は効率的に使えるそうだが、感覚派の魔法使いは理を理解しようとしてスランプに陥る事が多いそうだ。

うん、わかる。

「こう、グワーッてくるのをバーンってするんだ。

そしたらドーンってなるだろ?」

魔力操作を練習中に魔法を使える人に聞いた内容だ。この街でも有数の魔法戦士だという。

「あはは。ツレが馬鹿でゴメンね。」

そう言って引きずっていったお姉さんは凄いと思う。


生活魔法の「種火」「灯り」「虫除け」「手当て」の習得を目指す。まずは入門書を読もう。


「大変です。大変ですぞ!!」

平井信正が駆け込んできた。

「今度は何ですか?」

少しウンザリしながら尋ねる。今度は第2王子からの使者でも来たんだろうか?

「アテナイ軍と対峙するミカサ王国軍の前線が壊滅したそうです!!」

・・・。

あれ?この国、詰んだ?




アテナイ軍と対峙していたミカサ王国軍の元へバラン公爵謀叛の報せと王都陥落の報せが届く。

国王の生死もわからず、皆が混乱し、統率も取れない。その混乱が起こるのがわかっていたかのようにアテナイ軍の大攻勢が始まった。

犯罪者を兵にした犯罪兵を先頭に損害を考慮しない力攻めをしてくる。そこに噂が広がった。

「アテナイに内通したバラン公爵が3万の兵を率いてもうすぐ攻めてくるぞ!!」

「すでに国王陛下も宰相閣下も討たれたそうだぞ!!」

兵の逃亡が始まった。いや、貴族達も逃げ出す。

踏み留まる貴族もいるが少数だ。

将軍達が必死に戦うがもはや勝敗は決まっていた。

将軍達は皆戦死し、戦線は崩壊した。


アテナイ軍も無理な力攻めで損害は少なくない。

だが、ミカサ王国は混乱の極み。今こそ進軍の時。

アテナイ軍の侵攻が開始された。

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