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戦闘奴隷②

「私は、この世界の人間ではありません。」

その一言に息を飲んだ。

驚いた顔を見て彼が言葉を続ける。

「『迷い人』。この世界の人はそういいます。

気が付いたらこの世界にいました。

私にとって「動く人」はデータバンクでしか見た事はありませんでした。」

「あっ、データバンク。資料の事です。」


何度も繰り返した説明なのだろう。用語の説明もスラスラと出ている。

気が付いたらこの世界のいた。

戦って、戦って、戦って敗れて奴隷になった。

迷い人だから高値で取引されたそうだ。


彼は機人。その体は何かの金属でできている。

普通の剣では切断できず、剣が折れるそうだ。

様々な機能を持っていたが今では使えず、すでに予備動力で動いているという。

「今までの主人にも『稼動可能時間』を伝えてきました。残りはこちらの時間軸で『2年1月18日3時間25分』です。戦闘などを行えばさらに短くなります。」


色々話を聞くと始めはレーザーや小型ミサイル、レールガンといった「護身用武器」、火薬式武器や放電といった「威嚇用装備」を使用していたそうだ。

いや、過剰な力だと思うよ。

この世界にきて16年。今ではそのほとんどが使用できない。


うーん。迷い人なら彼にも何らかのスキルがあるはずだ。それでもこの状況なのか?よくわからない。



数日後、複数の使者が現れた。戦闘奴隷の買い戻しの依頼であった。性奴隷を買い戻すのは女々しいとされるが、戦闘奴隷を買い戻すのは戦争に備える良き心構えとされるそうだ。

「優れた士を求めるは将の務めなり」


辺境伯爵家からはハーフエルフの買い戻しを。

彼がいないと領内の事が何もできない状態だという。「迷惑をお掛けした分も入れております。」

白金貨100枚。金貨1万枚分。


ある伯爵家からは美少年戦闘奴隷の買い戻しを。

女々しいと言われようがあの5人が必要だと情熱的な書状を渡された。5人がいかに素晴らしいかを力説されてもね。使者を見る。あっ、目をそらした。

「我が主は家を傾けてでも買い戻すと。どうかお助けくださいませ。」

白金貨300枚。金貨3万枚分。

そんな金額じゃなくてもいいんだけど。

愛って凄いね。


さらにある伯爵家から、機人の買い戻しが。

「かつて1人で万の軍勢を殲滅した機人。今は理由を付けて戦わないが、彼が我が家にいるという事実が大事なのだ。理解されよ。」

白金貨50枚。金貨5千枚分。

まだ話を聞きたいが貴族を敵にしたくはない。


この3人の使者には丁重に対応した。使者も酒などを手土産に交渉が決裂しないようにしている。さらに戦地でお世話になった貴族の添え状もある。金額も破格だ。これなら話も纏まるだろう。

問題はここからだ。


子爵家からはカラスの獣人の買い戻し依頼。

「金はこれだけしかないのだ。国のためにこの金で返されよ。」

金貨100枚。

オークション相場の半額以下。そのうえ国王に手柄を誉められた勇者につける値段ではない。


別の子爵家からは象の獣人について。

「あれは我が家の物。大人しく返すがよい。迷惑料として金貨100枚をもらってやろう。」

当主の婦人の指示らしい。

金も寄越せと?


男爵家からは狼の獣人について。

「戦争の際には貸し出してください。」

芋一袋が手土産だった。

どうやら無償でお願いしますという事のようだ。


ドワーフ3人と有翼人の買い戻しの話はなかった。

ドワーフは有能ではあるが、所有していた貴族家はオークションで大物を狙っているらしい。

有翼人はトラブルメーカーであったらしく接触は全くない。上には従うが奴隷仲間には常に上から目線で命令していたそうだ。いや、そんなのうちでも要らないよ。


ハーフエルフ、美少年性奴隷、機人についてはすぐに引き渡した。まだまだ話したかったが、莫大な金額や貴族達からの添え状まである以上は快諾した方が問題はなさそうだ。



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