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滅んだ地球では銃と魔法と、パワードスーツが活躍する。  作者: ネコ軍団
第2章

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第62話 祭りの裏で

 虎太郎が祭りで暴れていた頃…… 祭り会場から東へ行った山の中に柵に囲まれた真四角の広い建物がある。かつてはこの地にあった工場の跡地で、レインデビルズから人が避難した後は番傘衆により倉庫へと改造されていた。主に開発部が山間部で兵器の実験するために保管庫として使っている。この建物の名前は第五十一番倉庫という。

 横に長い鉄製の門にはアサルトライフルを、持った二人の兵士が警備として立って居た。兵士たちは街灯が照らす倉庫前を横切る道を警戒していた。


「なっ!?」


 白く薄い冷たい空気が駆け抜け地面から白い靄が上がる。二人の足は氷ついたかと思うと瞬時で全身が凍りつき固まってしまった。

 直後に街灯が照らす光の外から二人の人影が姿を現す。現れたのは白いローブを着てフードをかぶったヘスティアと、青い光に縁どられた鎧をまとう大河だった。凍った二人の兵士を見たヘスティアが隣に居る大河に笑顔を向ける。


「大河君どう? 強化した神聖装甲は?」

「素晴らしいですね…… さすがヘスティア様です」


 手のひらを空に向け指を曲げ伸ばしして、嬉しそうに話す大河だった。彼を見て満足そうにするヘスティアだった。彼女は駆け足で門の前にいき、門を指し大河にねだるような口調で話す。


「じゃあ…… 門をなんとかちょうだい」

「かしこまりました。離れていてください」


 ヘスティアは門の横に逸れた。彼女が門の前からどくと、大河が背負っていた大剣を抜き両手で持って構え走り出す。門の前で大きく大剣を振りかぶって一気に門へと叩きつけた。大剣により門はつぶされ中央に向かってひしゃげてちぎれ、門の中央が二メートル幅で開いたようになっていた。満足そうにうなずいた大河は大剣をせなかへとおさめる。大剣の柄に手をかけたまま大河は門の中へと入っていった。


「どうぞ」

「わーい。ありがとう」


 門から二メートルほど進み、振り向いた大河は左手で手招きした。はずんだ足取りで大河の元へと駆け寄るヘスティアだった。しかし、彼女が門を超えると同時に、建物についていた赤いランプが光り出し警報が鳴り響いた。


「あらぁ。見つかっちゃったわね」

「大丈夫ですよ。祭りで彼が暴れてますからすぐには動けないでしょう」

「そうね。でも早く終わらせよう」

 

 二人は門から建物の中へと足を踏み入れるるため、巨大な鉄製の横開きの扉を開く。大きな音がして扉が開くと中は高い天井にコンテナが並んでいた。

 ヘスティアは右手を前にだし目をつむる。彼女の右手が何かに反応するように青白く光る。


「こっちね……」

「はい」


 二人はコンテナの隙間を抜けて建物の中央部へと向かう。積み上げられたコンテナの隙間を抜けるとそこは建物の中央で広い空間となっていた。四角く広場のような場所には、火のついたランタンが円形に三重に並べられていた。円形に置かれたランタンの中心、直径五メートルほどのスペースに椅子が置かれレイルが座っていた。

 

「うっ美しい……」


 レイルを見た大河が思わず声をあげた。ヘスティアは大河を見て軽蔑の眼差しを向ける。


「やだぁ。大河君! あんな小さな子に見とれて…… もしかしてロリコンなの?」

「ちっ違います。聖獣様の姿に感動して」

「ふふふ。本当かな? 今度聞いてみよう。こっちに……」


 指を立ててヘスティアは大河の胸の装甲をなぞり、下半身までもっていき股間の装甲にハートを描く。


「ホランダン!? エッタリア!!!」


 二人を見たレイルが叫んだ。彼女の声を聞いたヘスティアは小さくうなずく。


「やっぱり…… こっちのエルフ語だ…… よし! えっと…… あぁ! もう面倒だわ」


 ヘスティアはパチンと右手を鳴らした。彼女の体がわずかに紫色に光り出す。


「こんにちは。私はヘスティアよ」

「ヘスティア…… えっ!? あれ!? わたしは言葉が……」

「うふふ。翻訳魔法よ。懐かしいでしょ?」


 エルフの言葉しか喋れないはずの、レイルの口から日本語が出て来てヘスティアの言葉も理解できる。困惑するレイルを見つめヘスティアは優しくほほ笑むのだった。


「あなたのお家に帰してあげるわ。私もエルフなの」


 ヘスティアはフードを外してにっこりと微笑むのだった。ヘスティアの耳はレイルのように尖っている、耳の上にあるはずの角は髪を下し隠されていた。


「へっ!? 里に帰れるの? でも…… 私はあなたは知らないわ」

「私はずっとずっと前に里を出たのよ。でも、大丈夫。アオーナの知り合いだから」

「長老様の?」

「そうよ。さぁおいで!」


 レイルを迎えようと両手を広げてしゃがむヘスティアだった。椅子から立ったレイルは彼女の元へ向かおうとしたがランタンの前で立ち止まる。


「でも…… 愛生がここから動くなって」


 ランタンを見ながらレイルは困った表情を浮かべ、ヘスティアの元へ向かうのを躊躇した。


「ダメよ。人間の言うことなんか聞いちゃ! ほら早く」


 手招きをしてレイルを急かすヘスティアだった。急かされたレイルは余計に戸惑い前に行けないでいた。その時…… ヘスティアの前にあるランタンの一つが激しく燃え上がった。炎の赤い灯りがヘスティアの頬を照らす。

 

「危ない!!!」

「キャッ!!」


 燃え上がった炎が火柱となりヘスティアへと襲いかかった。しかし、異変に気付いた大河が彼女の引き寄せかばった。大河はヘスティアを抱きかかえるようにして、火柱から彼女を遠ざけるように背中を向けた。大河の背中を火柱が襲った。


「はああああ!」


 大河の体が青白く光り、冷気が白い冷気が彼を包む。炎は彼の冷気とぶつかり消えて行った。


「炎操作か…… 罠でしたね」

「えぇ。まったく誰よ!」


 激しく抱き寄せられたため髪が乱れ隠れていた角がのぞく。レイルはジーっと彼女の角を見つめていた。


「あの角…… 長老様に聞いたことある…… あなた魔族でしょ! 知ってるんだから! 私を騙したのね」

「フン! もういいわ。大河君! 強制的に連れて行くわよ」

「はっ!」


 ヘスティアがレイルを指した。二人が前に出ようとした直後だった。すべてのランタンの火が大きくなり、炎柱となった。大きく太くなった火柱は壁のようになりレイルを包み込む。


「何よ! 大河君! あの炎の柱をさっさと凍らせちゃって!」

「さすがに…… これを全部を凍らせるほどのマナは残量が……」

「もう!!!」

 

 火柱を見つめる大河、悔しそうに地団太を踏むヘスティアだった。直後に火柱が横に倒れ壁が左右に割れていく。レイルの傍らに二式のマジックフレーム2が立っている。左肩には太い白文字の丸の中に生調と書かれ、腰には細長いレイピアをさし、左手は丸く小さな盾バックラーが装備されている。また、背面の腰の上にはタンクのついた水鉄砲のような銃が横に装着されている。


「ざーんねん。ここのランタンはママの愛情…… 子を守る炎なのですわ」

「愛生……」


 二式に搭乗しているのは愛生だった。彼女が左手を上に向けるとランタンから、吹き出していた火柱が消えた。愛生は反応強度八十八の番傘衆で特殊能力は炎操作。自分の意のままに炎を操れる。隣に立って居る愛生を不思議そうに見つめるレイルだった。


「レイルちゃん。いい子! 言われた通りにそこから動かないで偉かったわねぇ。後でいーっぱい褒めてあげるわ」

「???」


 首をかしげて困った顔をするレイルにどうやら彼女は、愛生がパワードスーツを装着した姿を始めてみたようだ。


「あらぁ。ごめんねぇ。ママお着換えしたの! 愛生よ」

「愛生!!!」


 レイルが自分の事が分かっていないと気づいた愛生が、名乗ると彼女は嬉しそうに両手をあげた。


「誰よ! あんた!」

「ほわぁ!? わたくしは下溝愛生。レイルちゃんのママよ」

「はぁ!? ママって…… 馬鹿じゃない」

「まぁ! お馬鹿なんてお口が悪いですよ。めっ!! ですよ!」


 両手を腰に当てて腰を曲げ顔を前にだす愛生、レイルが横で眉間にシワをよせい彼女の真似をして同じポーズをする。


「何よ! あいつ! 大河君! やっちゃって!!」

「御意!」


 大剣に手をかけ前に出る大河、彼の前に置かれたランタンの炎が噴き出して火柱へとなろうとする。しかし、炎が噴き出る前に大河は大剣を抜き水平に振りぬいた。

 青白く光る大剣から吹き出した冷気がランタンを凍らせていく。冷気は横から彼の前へと伸びていき、レイルと愛生の前にあるランタンまで綺麗に白く凍りついた。


「あらぁ!? これでは炎が出せませんわね」


 愛生との距離を一気に詰めた大河は剣を振りかざした。愛生は目の前に来た大河をジッと見つめていた。


「はああああああああああああああああ!!!」


 振り下ろされる大河の大剣に愛生は左腕を前にだし横に振り払うように動かす。


「はっ!!!!!」


 大河と大剣と愛生の左腕のバックラーがぶつかった。大河は大剣を横に払われたようになり体の前ががら空きになる。


「うりゃあああああああああああああ!!!」

「くぅ!!!!」

 

 愛生は腰にさしていたレイピアを抜き、右腕を引いて剣先を大河に向け突き出した。何とか反応した大河は、必死に大剣を戻し刃に左手を添え、刀身を盾にして突き出されたレイピアを防いだ。

 大きな音がして大河が後ずさりする。愛生はレイピアを引いて大河との距離を取った。


「お噂はうかがっておりますのよ。関内元隊長様ですわね」

「いかにも…… 穢れた傘どもめ……」


 大河と剣を戻し構え彼の剣は青白く光り出し氷に刃へと変わっていく。対峙する愛生は両腕を曲げバックラーの上にレイピアを置いた。彼女はそのままレイピアを横に引いてバックラーをこすり合わせるようにする。こすれたバックラーとレイピアの火花が散った直後に、レイピアが炎に巻かれていく。レイピアは炎を纏うのだった。


「氷と炎…… わたくしたちは相容れぬ存在ですわね」

「あぁ。だがすぐにどちらが上かはっきりするさ」


 青い光に包まれる大河。彼の体から発せられた冷気が、ランタンに囲まれた場所以外を凍らせていく。真っ白な氷で覆われていく周囲の光景にレイルは怯えた表情を浮かべる。白い氷は音までも凍らせてかのか、かすかに聞こえていた周囲の山の喧騒は消え、静かに何の音もしなくなっていく。凍りつく建物と静寂がよりいっそうレイルの恐怖を駆り立てていく。


「愛生!! 怖い!!!」


 思わず声が出たレイル、愛生は振り向いて優しく彼女に声をかける。


「大丈夫ですよ。レイルちゃん。お兄ちゃんとお姉ちゃんが助けに来てくれましたからね」

「???」


 愛生の言葉の意味がわからず、不思議そうに首をかしげたレイルだった。大河は敵前で背中を向けた愛生を狙おうと大剣を持つ手に力を……


「なっ!? クソ!!!」


 振り向いてヘスティアに向かって行く大河。銃声が鳴り響いた。建物の壁を貫いて一直線に銃弾がヘスティアへと向かって行った。必死に右腕を伸ばし、ヘスティア前に彼女をかばうようにして、大剣を突き出す大河だった。


「キャああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

「ヘッヘスティアさまああああああああああああああああ!!!」


 悲鳴を上げるヘスティア、銃弾が彼女の肩を貫通した。銃弾は彼女の頭を捉えていあが、大河が突き出た大剣が纏っていた氷がわずかに銃弾にかすり軌道を変えていた。


「クッ!」

「大丈夫ですか!?」

「平気よ! 何なのよ! もう!!!」


 肩を押さえながら悔しがるヘスティアだった。彼女の右手が緑色に光っていた。大河は右手に大剣を持ったまま彼女を左腕で支えている。


「大丈夫ですか? 愛生さん!」

「えぇ。平気よ。ありがとう! 未結ちゃん!」


 V428のエンジン音が響いている。空を見上げながら大河はつぶやくのだった。


「特務第十小隊のようですね……」

「キーーーーーーーー!!! またあいつらなの!!!! 逃げるわよ!」


 歯を食いしばって悔しそうにしたヘスティアは、肩から血を流しながら右手を上にかざした。ヘスティアの体が紫色に光り出す。


「させませんわ!」

「べーだ!!!!!!! アホー!!!」


 前に出た愛生がレイピアを突き出した。しかし、大河とヘスティアの姿は消え、突き出された愛生のレイピアは空を切って周囲にわずかに火の粉をまき散らすのだった。

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