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Einundzwanzig

 なんでとか、どうしてとか、エーリカの頭は疑問でいっぱいだったが、覚えたての魔法を見てもらうまたとない機会でもあった。彼女は一度考えることをやめて、近くにある人皮装丁本を手にした。

 エーリカが拙い手つきで本を片手に呪文を唱えると、足元にあった木の枝の束が蛇のように動いて絡み合い、やがて編まれた籠の形を成した。楽な姿勢で一部始終を傍観していたマリーヌは満足そうに頷いて見せる。

 感じたことがないはずの母性を纏った彼女の絹のような微笑で、エーリカの顔面は言い知れない火照りを帯びていた。

 ほどなくして、術者の意識が離れた籠は自分が籠であったことを忘れ、編み合わさった枝は紐のようなものに成り果てて散乱した。

「さすがと言うべきか。素質は充分以上にあったようだね」

 称賛と期待の込められた言霊が、エーリカの心に浸透して体まで動かした。

 そそくさと小屋の裏手に出た彼女は、新鮮な兎の死骸といくつかの粉末や液体をマリーヌの前に用意した。

「それはなんだい?」

 興味津々で尋ねる彼女をよそに、嬉しそうに触媒を床に積み上げるエーリカは、まるでままごとをしている子供さながらだった。ただ、エーリカの口から紡がれる言の葉が怪しげな呪文であることを除いては。

 ときに話しかけるように、ときに命令するように、詠唱に呼応して小刻みに震える本を抑えながら、一見すると埋葬にも似た儀式が執り行われていく。液体が死骸の皮を溶かし、粉末が骨を溶かす。残った臓器は赤い液体を噴き出しながら、破裂と癒着を繰り返した。

 想像を絶する営みの果てに、心臓大の赤褐色の異物が、強い脈動を残したまま形を成した。その場にいた二人の魔女は絶句して、各々異なる面持ちになった。

※次回は、10月26日に公開予定です。

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