アリス
「気が付いたかい?アリス」
アリスが目を開けた時、トランプは姿を消していた。
チェシャ猫が居た森だった。
やさしい月明かりが 静かに見守っていた。
「君が 此処に来た訳を」
「マッドハッター……わたし……」
アリスが答えようとした時、諭すようにマッドハッターは言った。
「ありす は君の忘れ物だよ」
「アリス!」
ありすは走り出した。
「ありすっ」
アリスは ありす を抱き締めた。
「君は素直だった。優しい子だった。 だから、たくさん たくさん傷ついてしまった」
一度止まっていた涙は 再び 落ちていった。
「君は 此処に 純粋なままだった頃の君を投影した。
そして、置いていった。
忘れてしまっていたんだね。
君は……
厳しく 冷たく周囲に振る舞った。 他人から傷つけられないように。
辛かったね。 苦しかったね 」
アリスはマッドハッターを見上げた。
マッドハッターは やさしく 微笑んでいた。
「大丈夫だよ。 もう。
だから、君は 此処に取り戻しに来たんじゃないか」
「マッドハッター 私は……
わたしは、また 貴男に会える?」
「会えるかな? 会えるといいね」
「会えるよ、また。 きっとね!」
ありす は明るい声を響かせた。
ありす と アリス は かがやき出した。
ひかりは 徐々に大きくなり ふたりを包んだ。
やさしい光はあふれて一面に輝きを放っていった。




