一緒にやろうぜ 第一話
常磐林蔵様が連載されている「宗盛記」の二次創SSです。
楽しむには「宗盛記」の知識が必須となります。
「読んでおいてほしい本編の話数」は下記となります。チェックいただければ幸いです。
宗盛記0079 永暦元年八月 から
宗盛記0084 永暦元年十二月 帰京 まで
この連載は、プロットを作成の後、AIで文書化したものを推敲して仕上げています。
永暦元年八月
伊豆守様が、戻った。
京へ行き、そして、また伊豆へ。
受領にしては、早すぎる。
仕事を終えた、というより――
仕事場に急いで戻ってきた、そんな速さだった。
国衙は、静かに回っている。
怒号も、滞りもない。
「……前の人とは、違う」
浜に、黒い砂が積まれるようになった。
運ばれていく。
沢のほうへ。
人の手で、水の流れが変えられている。
石が積まれ、道が削られ、水が導かれる。
近くには寄れない。
寄る必要がない、と言われている。
だから寄らない。
夜になると、
山の奥が赤く光る。
焚き火より強く、長く続く光。
そこに、低く、一定の唸りが混じる。
水車だ。
何を作っているのかは、わからない。
理由も、聞かない。
ただ――
今までと、違う。
伊東の山が、
働いている。
浜には、風車が立った。
大きな羽が、海風を受けて回る。
その下で、人が動く。
海水を汲み、
砂に撒き、
干し、
集め、
運ぶ。
藻塩焼きの頃とは、流れが違う。
干し場は広く、
竹を組んだ棚が並ぶ。
日が照ると、浜が白く光る。
塩の匂いが、風に混じる。
量が、違う。
それだけで、十分だった。
屋根の影で、
干し飯と、塩気の強い瓜をかじる。
汗で流れた塩を、
身体が欲しがる。
「……伊豆を、動かしている」
宗盛様は、
戦の支度をしているわけではない。
土地そのものを、
整えている。
何をしているのかを探るのは、
俺の役目じゃない。
見て、覚えて、
必要なら伝える。
それだけだ。
九月
朝夕に、涼しさが混じる。
冷川峠。
牛と荷車が、絶え間なく往復する。
道は整えられ、
滑る場所も、詰まる角もない。
伊東の塩場と山の作業場は、
すでに一つの流れに組み込まれていた。
干し飯に、焼いた栗を添える。
ほくりとした甘み。
「……全部、繋がっている」
十月~十一月
海風が強くなり、
岬に灯台が立つ。
夜の海に、低く、確かな光。
港と峠と町を、一本で結ぶ。
塩場は拡張され、
人の流れは倍になった。
干し柿を齧りながら、
梟丸は屋根から盤面を見る。
「……伊東は、要だ」
十二月
風が冷たい。
港の波は低く砕ける。
塩場は止まらず、
灯台は静かに光る。
湯に浸した干し飯と、焼き餅。
指先に、わずかな温み。
「……積み上がったな」
伊豆は、変わった。
奪われる土地から、
回る土地へ。
梟丸、帰路へ
夜明け前、梟丸は影を消した。
霜の道を走りながら、
胸の中で盤面を組み直す。
伊豆守は、
武で治める男ではない。
流れを整え、国を組み替える者だ。
報告すべきことは、
十分すぎるほど、揃っていた。
坂東へ流れる噂
この冬、伊豆守の噂が、坂東に静かに広がった。
武名を誇らず、奪わず、国を作る。
功績には報い、疑うならば伊東を見よ――と。




