伊豆守がやってきた。やぁやぁやぁ! 第二話
常磐林蔵様が連載されている「宗盛記」の二次創SSです。
楽しむには「宗盛記」の知識が必須となります。
「読んでおいてほしい本編の話数」は下記となります。チェックいただければ幸いです。
宗盛記0069 永暦元年二月 伊豆へ から
宗盛記0076 永暦元年七月 帰省 まで
この連載は、プロットを作成の後、AIで文書化したものを推敲して仕上げています。
永暦元年二月、三月
伊豆国衙の屋根の上。
日当たりが良く、腹ばいになっていると、ぽかぽかして気持ちがいい。
下では、伊豆守が忙しそうに歩いている。
偉そうにふんぞり返るのでもなく、かといって、軽すぎるわけでもない。
「……ほんとに住む気なんだ」
新任の国司は、何もしないことが多い。
なのにこの人は、最初から腰を据えている。
三嶋の社へ詣でて、戻るとすぐに国衙の中が慌ただしくなった。
職人、雇い人。
敷地の区切り。
生活の整え方が、やけに早い。
武具の準備も始まる。
弓矢、石、竹。
柵や囲いの補強。
「……用意がいいな」
戦を前提にしているような動きだ。
文書の山にも、よく目を通す。
大田文、出納帳、訴訟文書。
「よく、こんなに読めるなぁ……」
その合間に、短い指示。
「是行、秀次、景経。ここ、見てきて」
無駄がない。
町の空気も、少しずつ変わっていった。
米の買い取りの話。
木材や竹の相場。
国衙で人を雇うという噂。
誰かが声高に叫ぶわけじゃない。
けれど、酒の席や井戸端で、同じ話が、同じ形で、少しずつ繰り返される。
「……早いな」
まるで、誰かが、流れを作っているみたいだ。
郎党の一人が、ここ数日、妙に忙しそうなのに気づいた。
屋敷を出入りし、町へ下り、また戻る。
そのたびに、何人かの雑色や商人と短く言葉を交わす。
なるほど。
噂話は自然に広がる。
けれど、少しだけ背中を押せば、速さも、向きも変えられる。
「……あの人、そんなことまで考えてるのか」
伊豆守は、正面から命じるより、
町そのものを動かす方を選ぶ。
一方で、雑色たちは酒場へ散る。
聞き込みだ。
俺は、そこに混ざる。
「腹減ってるんだよね」
そう言うと、笑って、飯を食わせてくれた。
「飯を奢ってくれたから、何でも話すよ」
そう言って、
代わりに、耳に入っていた話を渡す。
誰が税を誤魔化してるとか、
誰が公田を削ってるとか。
数日後、加藤景員が呼び出される。
戻ってきた顔は、真っ白。
続いて、工藤祐継。
怒鳴られたわけじゃない。
逃げ道を、順番に塞がれただけだ。
「……怒ってないんだよな」
正しいことを、正しい順で並べる。それだけ。
なのに、人は追い詰められる。
影を嫌っていない人だ。
是行による噂話拡散システムが抜けていましたので追記しました。
話の流れには支障はありません。




