43
…………どれぐらいの時間が経っただろう。気付けばもう日が暮れていた。
また地面に叩き落とされて、月が出てきているのを見て、こんな時間なのかと気付く。
ああ、そろそろ体力が切れそうだ。
逃げ出したくなる。もう戦うのをやめたい。…………けど、逃げ出せない。
私はなけなしの力を振り絞って、またフラフラとその場に立ち上がった。
「いつまであの二人やり合ってるんだよ」
「よく体力持つよな……。俺ならもうぶっ倒れてるよ」
「団長は分かるが、あのお嬢様まで…………、バケモノだな」
「あのカイル様とあそこまでやり合える奴なんかここにいるか? どんな育ち方をしたら、あそこまで強くなれるんだよ。……令嬢だとは到底思えない」
「ありゃ、天賦の才だな」
「エルヴィ嬢、嫁なら恐ろしいな」
「けど、すっげえ美人だけどな。……ヴィナス様の隣にいても見劣りしねえんだぜ?」
「僕のお嫁さんになる予定だから、あげないよ」
「「「「ヴィ、ヴィナス様!!」」」」
「今日はもう終わりだろう? 帰ってゆっくりするといい」
「「「「はい!」」」」
……騒がしかった騎士たちの話し声が消えた。訓練場にいた騎士たちが帰っていくのが目に入る。
ここにいるのは私とカイルだけになったのかしら。……こんな時間まで付き合ってくれるカイルに感謝ね。
私はまた剣を振る。集中力が切れかけている。……まずい。最後まで気を抜いてはいけない。絶対に手を抜くものか!
「動きがどんどん鈍くなっているぞ」
防御したが、軽々と私はカイルからの攻撃で飛ばされた。上手く受け身が取れずに私はそのまま地面に転げ落ちる。
……全身が痛い。またこんな痛みが走るのかと思うと、立ち上がるのが怖い。もうこのまま倒れたふりをしたい。
「今日はここまでか」
…………………………ダメ。
私の中の奥底にある熱い思いがそう言った。
私は気力だけでその場に立ち上がる。息が上がっているのが自分でも分かった。
「もう戦えないだろう」
カイルが私を哀れむように見る。私は彼を睨むように真っ直ぐ見つめた。
「…………なんなのだ、お前は。何度負けに来るつもりだ?」
「負けに来たことなど一度もない。……私は毎度あなたに勝ちに来ている!!」
私は剣を力強く握り、彼に向けた。
「なんて目をしてるんだ。どの騎士にも持っていない目をしている。……何がそこまでお前を奮い立たせるんだ」
「……ヴィナス様が私を守ってくれたんです」
「は?」
突然の私の告白にカイルは眉をひそめた。私は話を続けた。
いつも読んでいただき、本当にありがとうございます!




