過去編② 第3王子のクロスの忠告
またまた新キャラです。
彼は本編では重要キャラなのでよく登場します。
では、どうぞ。
我たちを凝視していた人物はただ笑っていた
まるで、これから起こることを知っていたかのように
突如に迷いこんできた学者
それは、運命を変えることになるとは
誰も思いはしなかったのだ。
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ジッと我たちを見ていた女性は、フッと笑みを浮かべていた
ただ、我としては気味悪いとかそんなことを考えなかった
どちらかと言えばゾクっとしたのだ
その瞳に・・。
「メノリ様」
「すぐ行きます」
王宮の中へと消えていったのをみて
我は、ふぅ・・っとため息を吐いてしまう
「なんなの・・今の瞳は」
どうやら、アリアの方も同様だったようだ
「・・メノリ・カルディア・・か。」
ただの人間ではないな。
クッと口元を歪ませる
どうやら、少しはこの退屈な日常は変革させるだけはあるようだ
我は振り返らずに歩き出す
「オルフェ?」
アリアが心配そうに我を見る
「面白くならないか?」
「・・面白いところか、恐怖よ。あんな瞳をした人がまだいたなんてね」
「・・そうか?」
「ええ。学者というから物陰に隠れて研究してそうなイメージがあったけど
あの人の瞳は・・もしかしたら・・。」
「もしかしたら・・・?」
我は気になってアリアに聞こうとするが
「残念、わからないわ」
アリアはん~っと声を出して考えこむ
だけど、何も思い当たることは無かった
「・・・考えても仕方ないな。今日はその晩餐会がある。」
「でも、変ね。お父様がまさかの素性すら不明な女性を妃にするなんて」
「たしかにな・・。」
我たちが王宮を歩いていると、後ろから声がした
「仕方ないんですよ」
後ろに振り向いたのは、笑っている子供
なぜか、手には棒付き飴を持っており
ペロペロと舐めている
「・・クロスか」
ペロペロと舐めながら挨拶するその姿は
王子とは思えないほどだ
「どうも、姉上に、兄上こんな所で会うのは奇遇ですね。」
「お前、病気じゃなかったのか?」
何を隠そう、第三王子は病弱だという噂だ。
だが、本人としたらケロリっとした顔しているから
真相は謎となっている。
「今日は、気分がいいだけです。」
「どうだが、貴方、いつもそうじゃない。」
アリアは呆れているとクロスは、考えるように黙る
「・・・。」
「・・・・。」
一瞬、静寂したが、すぐにへらっと笑い
「・・ふっ。姉上たちはまだ甘いですね・・僕は病弱が売りなので」
「売りって・・あんた。」
アリアは呆れている
疑惑有りなこの王子
我は昔からこいつに対しては謎が多い
ミステリアスまではいかないが・・。
「~♫」
話題をごまかすようにクロスは口笛を吹く
とにかく、クロスの謎は良いとして
「お前、我たちに何か伝えたいことでもあるじゃないのか?」
すると、ああ、そうだったという顔をして
「父上は、最近歴史物に興味があるのはご存じでしょ?」
「・・ええ、知っているわ。」
アリアは肯定する
我としてはあんまり知りたくない話だ。
すると、クロスはニッと笑い
「その、ニルの絵というのはご存知か?」
いきなり、クロスは神妙な顔で話す。
ニルの・・絵・・?
我は首を傾けるが、アリアは知っているのか
「・・女神、ニルが残した絵・・歴史価値はいいとして
本当にニルという女神が残したかどうかわからない
宝に何をする気?ってか、あんたなんで知っているの?」
すると、フッと笑って
「・・色々、ツテがあるんですよ・・その学者が妃にしたのは
父上も、ニルの絵に興味があるようですから・・
あのメノリという妃様の知識にも興味があるでしょうね。」
腕を組んで力説する
当然だが、飴はくわえたままで行儀が悪い
「宝などのためにわざわざか?」
「・・さぁ。」
知りませんよ・・という顔になる
「さぁって・・あんた、情報のツテがあるでしょ?」
シレっとした顔になり
「・・父上の考えなんて僕にはわからないよ。
あの人、オルフェ兄さんのお母様アミリア様
が亡くなられた後・・可笑しくなっただから」
「・・・・。」
「・・・・。」
すると、どこから持ってきたのか先ほどの本をペラペラと読む
「これは・・メノリ・カルディアの本じゃないの。私も持っているわ」
「あ・・ああ。父上から強引に読めと渡されたんだ。こんなモノ
病室で読むと退屈するね」
アリアは、ため息を吐く
クロスは、その本をまたジンに渡す
「ニルの絵の考察。あの人、何者かわからないけど
あんまり、表に出るような人ではないと思うだよね」
もっともな意見を言うクロス
どうやら、アリアと同様
何か違和感を感じているようだ
「気をつけて。何が起こるかわからないから。」
「どうして、お前は我に味方を?」
突如、空虚な瞳になり
ただ、見えるのは無の瞳だ。
そんな、クロスの様子にアリアはジッとして聞いている。
「僕はどちらにしろ、混血。逃れられない運命なのさ。姉上と同じよう・・ね」
「逃れられないのは、お前のその体質ではないのか?」
すると、フフッと笑う
「冗談が上手いね。兄上。そうだ、僕の部下をあげるよ」
「はっ!?」
「ソリドゥス」
「はっ。」
姿を現したのは、少年だ。
「今日から、アリア姉さんの従者ってことで」
「お・・おい」
すると、さっさと去っていく
「では、晩餐会で」
「掴めないわね」
「・・・ああ。そのとおりだ」
「あんた、ソリドゥスといったか」
「そうでございます。」
礼儀正しい、貴族社会の模倣というモノか。
その少年の様子を見てオルフェはチラリっとアリアを見て
「我の方はいい、アリアを頼む」
「ちょ、オルフェ!!」
「承知しました。」
面倒なことになりそうだ
我も逃げよう。
「じゃ、我も晩餐会で」
「こ、こらぁぁ、私を一人にするなぁぁ」
すたこら逃げる姿に
残されたアリアの虚しい声が響いてきたのだ
*****
晩餐会では、我だけではなく
他の王子や王女も参加しているようだ
当然、アリアもいるがとてもじゃないが近づけない
なぜなら、機嫌が大変悪そうな顔をしているのだ。
ちらりっと、見ると
幼い子供とその母らしい人物
メノリ・カルディアがにっこりと笑っている
子供の方は緊張しているのに
肝心の親が緊張どころか平然としている姿に違和感を感じる
王はと言うと、ワインを持って
「皆の者、よく来た。今日は新しい家族を紹介しよう
私の新しい側室候補、メノリだ。皆、仲良くせよ
そして、私の娘のミリカ。」
幼い少女はビクっとしている
「・・・。」
無言になり、黙っている
その様子を見て
人見知り激しそうだ・・と呑気なことを考えていた
我は、黙ってその晩餐会を見届ける
「メノリ、ここにいる王子や王女はわしの息子たちだ
特に、私が可愛がっているのは、王太子である
オルフェだ。どうだ、将来有望だろ?」
「ええ、良い顔つきをしていますね」
「・・よろしくおねがいします。」
我はそれ以上話すことは無かった
アリアは心配そうなかおをしていた
晩餐会が終了後
肩に疲れが出たのか我は早く寝たいと思った
やっぱり、あそこはキツイ場所だ。
あそこが平気という人はたぶんいないだろう
ふぁ~っとあくびをしながら部屋に帰ろうとすると
騒がしい声がした
「・・・?」
我は気になって声がする方へと来ると
「あなたが、メノリ・カルディアか?」
「ちょ・・お母様!!」
アリアは慌てて、止めにいく
どうやら、女の醜い争いのようだ
彼女は確か、アリアの母親である
マリア・アルティア・ラゥ・クランティアだ。
プライド高いやらで面倒な父上の側室のはずだ
確か、母上とは仲良かった・・気がする。
そう考えていると、向こうから必死な顔のアリアと顔を合わせる
アリアは手信号で我に母を止めろと合図をする
我は手信号で無理だと合図をすると、ムムっとした顔をする
嫌な予感というのは当たるものだ
ついに、強行手段になったのか
「この泥棒猫が!!」
「お母様、落ち着いてくださいまし」
止めようとしても母親は止まらない
我はその女の恐怖に何も言えない
すると、今まで動じなかったメノリの様子が変わる
クックックと笑い声が聞こえる
「・・・泥棒猫。そんなの、ただのあさましいこと
それはどっちなのかしら・・?」
「え・・。」
今まで、黙っていたメノリは、くすくすと笑うだけ
その笑う姿はタダものではない証拠
それは、メノリという存在が認識された・・瞬間だった。
メノリ・カルディアの様子がかわりました。
彼女は、何を考えているのか
それが次回明かされます。
では、また次話で。




