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桃飴

 どうか…どうか誰にも出会いませんように…。麗稀様とのこんなところを見られたら…想像しただけで気絶もんです。

 麗稀様はさっきの不機嫌はどうした?っていうぐらいににこにこ超ご機嫌ですし…


 「あの…麗稀様」

 「却下」


 酷い…まだ何も言ってないのに…。


 ゴロゴロゴロ


 ワゴンは麗稀様がもう一方の手で運んでくれてるし…手持ち無沙汰です。

 でも、何だか懐かしいなぁ。王宮の中でよく迷子になったあたしを麗稀様が探しに来て…泣きそうになってるあたしにいっつも桃飴持ってきてくれたっけ…。それから帰り道によく王宮内を手を繋いで歩いた。


 「ふふっ」

 「閔鈴?」

 「あ、すみません。昔思い出してました」

 「閔鈴、よく王宮迷子になったからね」

 「よく覚えてますね。……その節はご迷惑を」

 「そりゃ覚えてるさ、嬉しかったからね。いつも斎棊と一緒に閔鈴を探すのに見つけるのはいつも僕だった。桃飴を持っていくとね、ぱぁって泣き顔が笑顔に変わるんだ。その顔は今でも僕だけの宝物だからね」

 「………」

 「それで未だに…」


 ん?手を離して下さったのは嬉しいですが…麗稀様何をごそごそ?

 って思ったら手を目の前に差し出されて


 「……桃飴?」

 「あげる。持ち歩く癖が付いてるんだ」


 そう言って苦笑する麗稀様の顔は少し赤かった。それを見ちゃうと…あたしも思わず顔が赤くなる。


 「ち、小さい子に人気出そうな癖ですね」

 「…以外にあげないよ。」

 「…え?」

 「桃飴は閔鈴の為だけに…」 


 実は他の飴も常備してるんだと人差し指で内緒の形を取る麗稀様はあたしの記憶にある昔からの優しいお兄ちゃんの顔をしてた。

 

 ………どくんっ


 …何だろう?今、自分の中のどっかが跳ねた。


 「…ん…れい?…閔鈴」

 「わっ!!…び、びっくりした…しました」


 心臓バクバクいってるし……もしかして、さっきの『どくんっ!』もびっくりしただけかも…麗稀様が桃飴を持ってるって聞いてびっくりしたんだ!きっとそうだっ!!

 しかも悲しいかないつの間にか口の中が桃味になってるし…きっちりまた手も繋がれてるし…あたしの馬鹿。でも、久しぶりに食べる桃飴は記憶通りやっぱり美味しくて

 …昔から疑問に思っててどうしても知りたい事、今なら聞けるかも…


 「麗稀様、この桃飴ってどこで手に入れてるんですか?売ってるところ見たことないんですけど…」


 麗稀様がくれる桃飴は優しい甘さでとぉっても美味しくて、あたしの一番のお気に入りなんだけど。入手先が昔から不明で、麗稀様からしか手にした事がなくて、つまり王宮に勤めだして、麗稀様を避けるようになってから久しく食べれなくて…色んなお店とか通販とか探したけど全然見つからなくて何度桃飴を思って泣いた事か…


 「……内緒」

 「………」

 「入手先は教えられない。欲しくなったら、いつでも僕のところにおいで、用意しておくから」

 「うっ…」


 にっこり笑う麗稀様が閻魔に見えるんですけど…罠な感じがばっちりなんですけど…


 でも視線の先に見えた本物の閻魔な儀晶様を見つけて、今までの会話なんてぶっ飛んだんですけど…ね

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