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次の日、いつもにはない鼓動の音を聞きながら、仕事場へと向かう。手につかない仕事を早々に切り上げた時には、もう空は陰り始めていた。
あの広場へ向かうと、背の高い男が一人、さみしげに立っていた。
…アランさん、ですか?
「はい、そうですが。すいません。今人を待ってまして、用事なら手短に…」
ルーシーさん、という方からあなた宛に手紙を受け取っているのですが。
「ルーシー……?」
…彼は恐る恐る私が持つ手紙を受け取った。
手紙を読む男。少しすると、クスッと笑った。
「そっか。遠いところだもんね、そうだよね。」
「手紙、ありがとうございました。間違いなく私宛です。彼女、元気でした?」
……っ、私は、郵便を仲介しているだけ、なので…
「そうですよね。すいません。」
「この手紙は、家でゆっくり読ませてもらいますね。ありがとうございました。」
彼はゆっくりと家路につく。
その背中からは、温かさが伝わってくる。
見送ったあと、私も帰るために振り返る。太陽は見えないが、まだ明るい。
ふと前を向くと、一人の少女が立っていた。
あの少女だ。
満面の笑顔で大きく手を振ってる。
そして、何か言ってる。声にはならない。ただ、何を言っているかはわかる。
あ り が と う
言い終わると、彼女は振り返って走り出す。私は、決して追いかけることはしない。
そして彼女は、消えていった。
私は天を仰ぐ。
郵便を運ぶ者は、その中身を封を開けて見てはいけない。
その意味を、今回知った気がした。
とある郵便屋さんのお話は、これでおしまい




