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65.巨大な食虫植物・ビジランティ

ブラスティーら騎士団と共にマイネの村へと向かうユグドラ達。


しかしマイネの村では青いビジランティの花で発症者がでてしまい、しばらくは村の商売にも影響が出てしまうだろう。


温泉を調べるが何も出ず、青いビジランティの花があった周辺を調べると、もう1本青いビジランティがあった。

しかしそれ以上の情報が無く、手掛かりが無くなってしまう。


そんなとき、祠の事を思い出す。

「来たけど、何を調べるんだ?」


 馬で1日かけて走ってきたけど、何を調べればいいのか分からない。


「そうねぇ、祠を動かしてみよっかなぁ」


「え、動かすの? これを?」


「うん。ほらほら力持ちのユグドラさん、祠を持ち上げてぇ」


「上に持ち上げるのか。横にずらすんだと思ってた」


 祠の前には出っ張りが多いから後ろから抱えて持ち上げた。


「ほほぅ、これはこれは」


「こんな所になんであるんでしょうか?」


「これは意外だったな、どうしてわかったんだ?」


「えへへー、昔イタズラで街の祠を壊しちゃってねぇ、その時にもあったんだぁこれ」


 何があったんだ一体! 祠を抱えてるから見えないぞ!


「ねえ何があったの?」


「ちょっと黙ってろ、今調べてるんだ」


「ユーさんもう少し持っててね」


 みんな酷い。俺の見えないところで話が進んでいくよ!


「しかしこれは困ったな。どうする?」


「どうもこうも、覚悟を決めてやるしかないだろう」


 なんかヤバそうな話しになってるよ!


「ええい! 一体何があったんだ!」


 業を煮やした俺は祠を横に置いて祠があった場所を見た。


「……なんにもない」


 不思議に思っていると、みんなが笑いをこらえているのが見えた。


「まさかお前ら、からかいやがったな!」


 こらえるのをやめて大声で笑い始めた。


「こんの、くそったれ」


 祠をもとの場所に乱暴に戻すと、岩と岩がぶつかる音が山彦のように鳴り響いた。

 何の音だ? 山なんて無いしどこに音が反響したんだ?

 皆も笑うのをやめて音に耳を傾けている。


「もう一度やってみよう」


 祠を持ち上げて乱暴に岩に置くと、やはり音が鳴り響いた。これは……?


「今度は斧で岩を叩いてみろ。多分地面、岩の下だ」


 ブラスティーが岩に耳を当てている。アダマタイトのバトルアックスを構えて横面で岩を叩くと、確かに岩の下から音が響いているようだ。


「よし、岩を破壊するぞ」


 両手剣を構えたブラスティーが岩を斬り始めたので慌てて祠を持って逃げた。

 あっという間に岩が切り刻まれ、さらにもう1つ下の岩も切り刻むと、長い縦穴が見えた。

 穴の中は暗くてどうなっているのか見えないが、なぜこんな所に穴があるんだ?


 見やすくする為に俺とブラスティーで周囲の岩を破壊すると、かなり大きな穴が現れた。

 穴は直径3~4メートル程で、垂直ではないが傾斜がきつそうだ。

 ロープが有れば安全だろうが、注意すれば降りられるだろう。


 中は暗いだろうからナイト・サイトの魔法を掛けておいた。

 俺とブラスティーが先に降りて様子を見る。かなり深い様だ、底が見えない。

 後からゆっくりとパーティーが付いてきたが、数メートル降りた所で天井が無くなり、地下には巨大な空間が広がっていた。


「村の近くにこんな巨大な空洞(くうどう)があったのか」


「そろそろ底に付く、注意しろ」


 恐らく数十メートル、いや百メートル近く降りたかもしれない。地下の地面は思ったよりも固く足場はしっかりしている。周囲を見回すと所々小さな光が差し込んでいるが暗く、巨大な柱が数本立っていて水たまりが幾つかある程度で他には何も見当たらない。


 降りてきた穴がある壁以外には壁らしいモノも見当たらない。

 全員が降りてきたが驚くばかりだ。しかし何かの気配はする。


「なんだろうなコレ。何かが居る」


「動物……ではないな」


「しかし動いている。動物でもないのに」


 俺とブラスティーとアズベルは気配を感じているが、正体が掴めない。

 観察されている。クソッ、こっちからは見えないのに向こうからは見えているんだな。

 それぞれが武器を構えて壁を背にして半円陣を組むが、どこだ? 襲ってくるのか? そもそも敵なのか?


 何かが動いているのが分かる。しかし見えない。遠いのか近いのか、音が反響していて方向すら判断が出来ない。

 何かが来た!


「ふせろ!」


 俺とブラスティーが同時に声を上げる。反応が遅れた2人が巨大な鞭に弾き飛ばされ1人が捕まった。あれはなんだ? 鞭の先端に手の様なものが付いている。


 騎士が巨大な手に掴まれているのかと思ったが、一本の鞭の先端に手が2つ付いていて騎士を包んでいるように見える。しかしどこかで見た事のある形だ。

 吹き飛ばされた2人も騎士だった。あの2人はもう動けないだろう、数十メートルも吹き飛ばされては生きていても戦えない。


 上から鎧が落ちてきた。騎士の鎧だ。この鎧は一体どこから来たんだ?吹き飛ばされた騎士は鎧を付けている。

 上を見ると鞭の先に付いた手が開いている。騎士本体はどこへ行った?

 手の中には居ない。そう、手だ。思い出した、見た事があると思ったらアレはハエトリグサの葉だ。という事は……騎士は溶けて消化されてしまったのか?


「大きなハエトリグサだな。捕まったら一瞬で消化されてしまうようだ」


 騎士が1人死んだというのに冷静に分析するブラスティー。しかし取り乱しても良い事は無いから俺も便乗しよう。


「なら鞭みたいな物は(くき)か。確かに動物じゃあないな、植物だからな」


 くきがどこから来ているのが目で辿(たど)っていくと、大きな柱から出ていた。柱から生えているのか? 茎に注意してゆっくり近づくと、柱が何なのかわかった。

 巨大なビジランティの花が無数の茎で覆われて大木のようになり、沢山のハエトリグサが付いた茎とウツボカヅラの様な壺を数個ぶら下げている。


「食虫植物を一つに纏めるなよ、気色悪い」


「ラフレシアが入ってなくて良かったと思っておけ」

読んでいただきありがとうございます!


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次回の更新は水曜日です。

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