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 八月某日。緊急号外。

 公園にて高校生三人が変死!?

 今日未明、三人の高校生が●●公園にて変死体で発見されたとのこと。

 近くの高校に通う瑞江芽亜里さん十五歳のみ身元が判明しており、他二人は顔の損傷がひどく、身元特定が難航している模様だが、芽亜里さんと仲が良く、同日一緒に遊びに行ってから行方不明となっていた木上櫻子さん十六歳と日野渡諦くん十五歳と見られている。

 この辺りの治安は大して悪くないため、この事件には近隣住民も驚きを禁じ得ない様子。だが、更にこの事件の不可解な点が、十年前に起きた男児女児殺害事件とほぼ同様の死に方をしている、というものがある。

 一人は体をいたぶるように数ヶ所の刺し傷があり、一人はトイレの中で便器に頭を何度も叩きつけられた痕跡があり、一人は封鎖されているはずのブランコの鎖に頭を潰されていたという。

 ブランコの管理について、公園の管理者が怪しいと警察は捜査しているようだが、市で管理している公共の場であるため、調査は難航している模様。

 十年前の男児女児殺害事件はそういう趣味嗜好を持った不審者による凶行であったため、今回もそういう不審者による犯行である可能性を鑑み、市や警察は子どもたちの帰りが遅くならないよう住民に呼び掛けると共に、夕方を知らせる放送を三十分早く流すなど、対策に奔走している。

 犯罪者が多い季節というのはまああることかもしれないが、犯罪者、ならびに不審者のいない季節というものはないため、子どもはもちろん、大人たちも注意を払い、不審者を目撃したり、不審者に声をかけられたりしたら、すぐ逃げる、大声を出す、などの防犯を尽くしてほしい。

 ~住みよい暮らしのために~


 号外、といっても、撒かれることはないのだが、この話は瞬く間に広がった。

 号外にある通り、不審者に旬などなく、いつでも気をつけなければならないのは確かだ。

「ははっ、それでどうなるもんでもないけどね~」

 幻影の公園の中で号外の話を聞いた有梨栖がくだらない、と鼻で笑った。それもそうだろう。

 これら一連の事件は、十年前の被害者である水戸有梨栖、城能登馨子、樋ノ上正樹という幽霊の暴挙であるのだから。

 確かに、彼らを殺したのは、有梨栖をつけていたストーカーの仕業だったが、事件後、早々に犯人が捕まり、解決した事案である。有梨栖たちを殺した犯人は今頃牢の中だろう。それくらい、有梨栖たちでさえ知っている。

 もう罰を受けている犯人に復讐しようだなんて、陳腐な考えは、有梨栖はもちろん、馨子にも正樹にもなかった。未就学児だった彼らが、大人の犯罪者に遭ってできる抵抗などそうない。五、六歳ならば、まだ防犯の意味すらわかっていなかっただろう。

 故に、彼らは自分を死に至らしめたその人物を恨むことはなかった。今回殺した三人の方がむしろ恨めしかった。

 三人の中に残ったのは、無垢で無邪気な心だった。とても純粋な願いだ。三人はただ、「最後までちゃんと遊びたかった」だけなのだ。

 それを、隠れ場所がわからないから、とさっさと帰ってしまったあの三人の方が悪いと思ったのだ。

 ──亜都という不思議な男の子の力で、その復讐が実現できることになったとき、三人は迷うことなく、あの日と同じ場所、同じ状況でやろうと決めた。亜都の力があれば、元の世界に帰れないし、逃げられない。そうやって、最後まで「一緒に遊ぶ」のが三人の目的だった。その結果に「死」が付随しただけで、三人は何とも思っていない。最後まで遊んでもらえなかった三人が死んだのと、一体何が違うというのか。

「亜都、今度は何して遊ぶ?」

 有梨栖が無邪気に訊ねる。馨子や正樹も亜都を見た。

 恨んでいる三人と遊び終わったら、亜都の遊び相手になる。そういう約束である。

「そうだなあ、ひとりかくれんぼとか?」

「一人でかくれんぼはできないよ?」

 首を傾げる正樹に亜都が説明する。

「人形を使ってするんだよ。自分の髪の毛とお米を入れた人形を作ってね、その人形とかくれんぼするんだ」

「あはは! オカルトだね!」

「そうそう、オカルト」

 きゃはは、と笑う有梨栖の隣で、説明を聞いた馨子が、あら? と首を傾げる。

「でも、それって、幽霊がやっても意味なくない?」

「確かに!」

「うん、だからみんな」

 亜都はいつの間にか三体の人形を出していた。カッターと塩と水もある。

「ばいばい」

 三体にカッターを突き刺し、塩と水をかけると、三人の幽霊は陽炎のように消えてしまった。

 マッチを擦って、お焚き上げ。

「やっぱり子どもと遊ぶのは楽しいなあ。動機も新鮮で面白いし」

 亜都は何の未練もないようでありながら、顔に「もっと遊びたい」という感情を浮かべていた。

「次は誰を(ころ)そうかな?」

タグのひとりかくれんぼあんまり関係なくてすみません。

終わり。

今年も短いながら夏ホラできて嬉しかったです。

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