1
1000文字くらい
僕は晴れの日が大好きだ。雲一つない快晴だと、僕の心は不思議と浮き立つ。お嬢様は雨が降らないと農作物が育たないと言うけど、だからこそのものだと僕は思う。たまにしかない快晴だから気持ちが良いんだ。目をつむり、鼻からすっと吸う空気は心地よく、滑らかな空気が体を廻る。
「あー、気持ちいい」
つい口から呟きが漏れる。授業から抜け出した生徒は平等に感じるであろう主張をすることを僕は許されても良いはずだ。なんせ、僕は不良生徒を見つけ出すという正当な使命を元に授業を抜け出したのだから。
抜け出したのは僕の故郷――より正確に言うのであれば今いる魔法都市と強い協力関係にある軍事都市――の次男坊だ。名目は知識と見聞を広めるため。実情は軍事的に注目度の高い魔法を軍に取り入れるため、後継ぎが1人娘しかいない魔法都市へと嫁がせる前準備。そして、僕の幼馴染で主人。良い奴だとは思う。
ただ、そんな彼には放浪癖という悪癖がある。気になった横道に入るためなら、遥々遠方からお偉い先生方が来ようとも失踪する。その上で授業内容を又聞きすれば理解できるのだから達が悪い。彼が失踪する度に探しに行く僕の身にもなって欲しい。簡単に言うと、本当にありがたい。
大抵の場合、気になる小道に行っても得るものはないことが多い。見知らぬ人――特に可愛らしい女の子――を連れていることはあるけれど、本人曰く「あれは知り合い」だそうだ。傍から見ればその娘達の大半が恋する乙女の表情をしていることを当然と受け流すのだから、僕には彼が悪鬼の類なのではないかと思ってしまう。けれど、その後街にいようものなら時間の空いた先生方に見つかって大目玉を食らう程度のことは分かるらしく、町はずれの丘に非難することが多い。
つまり、僕は適当に街をふら付いた後にそこへ行けば良い訳だ。次期領主の従者と言うことで内密に物を売ってくれる店は多いし、それを持っていけばいい気分転換になる。そういう所を含めて彼様々だとは思う。
「そんなに、気持ちがよろしかったのでしょうか?」
ただ、今回は訳が違った。
「ええ、まあ。お嬢様はそうでもありませんでしたか?」
僕がそう聞くと、彼女は可愛らしく顔を傾げて微笑む。亜麻色の髪が滑らかに揺れ、微かに香る甘い匂いに魅力を感じる。それだけで僕の胸の鼓動は跳ね上がった。当然だ。今、僕が一緒にいるのはこの街の領主の大切な1人娘なのだから。




