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G・F ~ゴーストフレンド~  作者: 沙φ亜竜
第1章 はじまりはいつも……死!?
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-1-

「なんか、嫌な雲行きだな」


 クラスメートの宇良原夕時(うらはらゆうじ)が、空を見上げてつぶやいた。


「うん……早く帰んなきゃ、降り出してきちゃうね」


 初夏の生暖かい空気が、ねっとりと辺りを包み込んでいる。

 僕たちふたりのいる校庭は無風。

 にもかかわらず、空を行く雲の流れは、まるで嵐の真っただ中のように速かった。


 僕は時奈零樹(ときなれいき)、中学二年生。

 外で遊び回ることとゲームをすることが大好きな、ごくごく普通の男子中学生だ。

 ……と自分では思ってるのだけど……。夕時には、よく変だと言われてしまう。

 そういう夕時だって、かなりの変わり者だと思うのだけど。


「しっかし、どうして俺たちが校庭掃除なんかしなきゃならないんだ?」

「……罰でしょ? 掃除サボりの常習犯の」


 すかさずツッコミを入れる。

 夕時とは家が隣同士で、幼稚園からの腐れ縁。なにをするにもいつも一緒だったのだ。

 ……おしおきを受けたりするのも含めて。


「お前がトロいから見つかったんだろ!」

「なんだよぉ! そそのかしたのは夕時じゃんか!」

「話に乗った時点で共犯だっつーの!」


 と、いつものように口ゲンカを繰り広げつつ、僕たちは歩いていた。

 校庭から昇降口へ戻るには、中庭を通る必要がある。

 園芸部が丹精込めて育てている花壇から、心地よい香りが漂ってきていた。


 …………?


 そのとき、僕はなにかを感じて空を見上げた。

 突然視界が暗くなり、なにやら布のようなものが目の前に――。


 ドガッ!!


 衝撃が走る。

 物理的な意味合いで。


 途端に、目の前は真っ暗になっていた。

 どうやら、なにかが上から落ちてきて、僕に直撃したらしい。


「お……おい、零樹! 大丈夫か!? しっかりしろ!!」


 夕時の叫び声が、朦朧とする意識の中で響く。


「おい! しっかりしろ! ……キミも! 大丈夫か!?」


 ――キミ……も?


 でも、それ以上はなにも考えられなかった。

 僕の意識が闇の中へと落ちてしまったからだ。



 ☆☆☆☆☆



 一面の暗黒世界。

 なにも見えない。なにも聞こえない。


 ――あっ! なにも見えないのは、目をつぶってるからか。


 夕時がいたら、なに大ボケかましてんだ! と怒鳴り散らされるところだ。危ない危ない。

 ともかく、僕は目を開けた。


 ――はて……、ここは……?


 見渡す限り地平線が広がり、地面には色とりどりの花々が、まるで絨毯のように敷き詰められていた。

 空は七色に輝き、雲ひとつない。

 太陽は見えないけど、気持ちのよい暖かさが感じられる。


 ――僕、死んじゃったのかなぁ……。ここってあの世へと続くお花畑ってこと? とすると、向こうからお婆ちゃんが現れて、僕を手招きしたりするのかなぁ?


 そう思って周りを見渡していると、向こうのほうからひとつの人影が近づいてきた。


 ――あれ? お婆ちゃんじゃない……?


 帽子を深くかぶっていてよくわからないけど、どうやらそれは若い女性のようだ。

 白いワンピースから微かに見える白い足をまったく動かさず、スゥーッ、と僕のほうへと向かって滑るように移動してくる。


 ――知らない人、みたいだけど、やっぱりあの世の人なのかなぁ……?


 と、その女性は僕の目の前で立ち止まり、顔を上げた。

 そして、ふわっと真綿のようにやわらかく微笑みながら、こう言った。


 ――零樹……生きて!


 辺りが真っ白に輝いた。

 僕の耳には、彼女の澄みきった、それでいて悲しみを含んだような声の響きだけが残っていた――。


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