第9話 いざ森へ(後編)
後編です
近くから聞こえたのは魔物の雄叫びだ。
「ひっ………」「ま、魔物!?」「………!」「キャァァァ!」
みんながパニックになる。これは想定内。
「みんな、落ち着いて!わたしが行く!」
わたしは熊さんから短剣を取り出して鞘から抜く。
と、その時。茂みからオークが出てきた。オークには少し申し訳ないが、このぶたさんは苦手なのだ、豚だって皆はいうけど、猪に見えて仕方ない。猪は嫌いだ。
「バリア!」
わたしはみんなにバリアを張って駆け出す。念のためわたしにも。すき間時間に冒険者の方々に色々教えてもらっていたお陰で身体能力か大幅に上がった。
「氷柱!!」
わたしは氷魔法を使用し、オークに攻撃する。
さらに、剣に氷を纏わせてオークを切りつける。その傷からオークが凍っていく。一丁上がりです!
「アカリ、後ろ!」
「え?」
ガキン、とわたしのバリアに何かが弾かれる。それはオークの持っている大剣だった。そんなの持ってるなんて、ずっるぅ!
だが、わたしには通じない……はず!
わたしは氷魔法と空間魔法をフル活用して戦う。
………何分経っただろうか。わたしは今も剣を振っている。オークが全然減らない。いや、倒す→別のオークが来る→倒す→また来るの無限ループになっているのだ。
と。その時。
「……加勢しよう」
低い声がした。
声がした方を見上げると、蒼い髪の男の人がいた。
加勢はありがたい。
「……ありがとうございます!とりゃ!」
わたしは氷柱を一撃オークに打ち込む。
そこからは早かった。そこにいたほとんどのオークを男の人が倒してしまった。次第に、次々やってくるオークも減って、その場にオークはいなくなった。周りを見渡しても、気配はない。
「終わったぁ……………」
わたしはその場にへたりこんだ。
「アカリ、すごい!」「ありがとう!」「アカリ、強い!すごい!」「ありがとぉ~~」
みんなに大感謝される。
「加勢してくれてありがとうございました」
「いや、いい。それにしてもお前、よくあそこまで戦ったな」
「日々の努力の賜物ですよ。あと、お前じゃなくてアカリです」
「そうか。俺の名前は蒼だ」
蒼さんか。なんとなくぶっきらぼうな感じはするが、優しそうな人だ。
「あ、そうだ。ソウさん、一緒にお昼、どうですか?」
「いいねマーサ!どうですか?どうですか?」
「大歓迎です~」
「ウェルカムピクニィィック!」
「「ウェェルカァァァム!!」」
テンション高めなのがシーナとラーヴェ。私と蒼さんはついていけない。
「…じゃあ、少しだけ……」
蒼さんが返事をした直後、ミーシャが敷物を敷き始めた。
みんながお弁当を広げ始めた。
「アカリ、ソウさん、早く早く!」
「あ、待ってよ〜」
「………………。」
「みんなはお弁当、何持ってきた?」
「私はデザート」
「私は野菜炒め〜。私の手作りだよ〜」
「あたしはお肉と卵焼き!」
「アタシはママ特製のシフォンケーキ!」
「わたしは里奈お姉ちゃんのサンドイッチとスープ!」
「……俺はこれくらいしか持っていないが」
そう言って蒼さんはウエストポーチから野苺と胡桃を取り出す。
「わぁ、野苺だ!」「胡桃も!いいんですか!?」
「あぁ、採れたてだぞ」
やったー!とみんなが喜ぶ。わたしも野苺は好きだ。日本のおばあちゃんの家でたまに食べた。
……皆、どうしてるかなぁ。
「って言うか、本当に弁当食べてっていいのか?」
「誘ったのは私達です」
マーサが鉄壁の笑みを見せる。
「………助かる。迷惑でなければだが、俺の仲間も呼んでいいか?食料が底をつきたんだ」
「いいよね?」「足りる?」「熊さんに予備と言う名のおやつがかなり入ってるよ」「わたしも色々入ってるから大丈夫」「足りるよね?」
意見は纏まった。
「10人くらいまでなら大丈夫です」
「助か「「「「「「「ありがとおぉぅ!!!」」」」」」」」
茂みから人が出てきた。総勢七人。
「こいつら、ずっとこの茂みの中にいたんだぞ」
「蒼知ってたの!?なら無視しないでもいいじゃん!この悪魔!」
「悪魔で悪いか」
蒼さんがギロッと白い髪のひとを睨む。
「わーるーいわよ!大体、もうちょっと思いやりってもんをねぇ!」
「お前らもうその辺にしとけ。えーと、まずは自己紹介かな?俺は黒。で、あの白いのが白」
「白いの言うな!!」
「で、あのピンク頭が桃、緑のが緑、黄色いのが黄、赤いのが朱だ。あと蒼な。俺ら冒険者で、色つき悪魔ってパーティーなんだ」
みんな色の名前だ。しかも髪の色と一緒。覚えやすい。
「わたしアカリです」「マーサです」「ミーシャです」「ラーヴェです」「シーナです!」
「よろしくな!てか、ほんとに一緒に食べていいのか?弁当。」
「大丈夫ですよー」
「じゃあ遠慮なく(黒)」
「ありがとー!(白)」
「………(ペコリ)(黄)」
「おじゃましまーす(緑)」
「ありがとう~(桃)」
「サンキューな!!(朱)」
個性豊かな人たちだ。
「アカリー、お弁当出しちゃうね」
「あ、わたしも!」
わたしはかなり狭くなった敷物に上がり、熊さんから弁当を出す。
「ほぁー、その熊、袋になってんのな」
「……え?今そのでかい弁当箱、熊からでてきたわよ!?」
「ははぁ、空間の拡張か。器用なことするなぁ」
「………まさか全員分?」
色つき悪魔が驚いている。え、そこ?
わたし達のなかではもう当たり前になっていたが、そうか。この熊さんはすごいのか。
みんなが持ってきたお弁当が広げられる。
お、美味しそう~!
い、いや、別にわたしは食いしん坊じゃないよ!!食いしん坊じゃないの!!
朱里に食いしん坊疑惑がかかっています!!




