真実
あれから、数時間がたったらしい。俺は、記憶を取り戻した。
素直に事実を受け入れられないのだ。顔には脂汗が滴るのであった。真冬が、お水を持ってきてくれて、少し頭がスッキリはした。そして、思い出した事を、皆へ語るのであった。
『俺は、この島の出身なのは確かの様だ。けれど、両親はもういない。なぜなら、俺達が殺したからだ。』
『先輩。ちょっと、何を言っているの?全然、面白くない冗談だよ。』
火輪は、そう言いつつも俺の様子をみて黙るのであった。
『俺達というのは、ヤバタ、朱美ちゃん、守、俺とその姉と憤怒の酒井 悠平は、この島の出身で、ある事件の被害者とされている。まず、この島で事件が起きたのは、俺達の両親が死んだのが始まりなんだ。いや、殺してくれた。俺の実の姉が。そして、この島の悪癖を正してくれたんだ。
当時、俺達はネグレクトや虐待を受ける事なんて日常茶飯事であった。それが、この小さな島の大人たちのストレスの発散方法だったのかもしれない。そんな絶望的な日々を暮らしていくと、遂に姉と俺の能力が開花したんだ。強欲と怠惰によってね。彼らも、自分にあった性格や趣向だけでなく、駒として重要性を考えて主を決めるんだよ。俺達が目を付けられたのは、たまたまであろう。
姉の能力で、島民を手足のようにし、次々と粛清をした。そして、扱いやすい大人を、飼育し子供たちだけのパラダイスを作り出した。だが、それも長くは続かない。離島とはいえ、人は来ない訳でない。そして、事件が発覚するのだった。そうして、俺達の生活に一つの終わりが来たんだ。
そこから、全員がバラバラになる前に、姉は強欲が保持していた能力を授けたんだ。ヤバタに干渉・朱美ちゃんに裁縫・守には結界。そして、悠平には悪夢を。ただ、悠平は元々適性がなかったのに無理やり授けたので、副作用が出てしまった。自分自身へ悪夢が発動し、記憶の混濁が起きた。それを、そのまま利用し修正する方向へ持って行った。時間はかかったけど。怒りを増幅させるように仕向け続けた。憤怒が、悠平に付けば、能力をコントロール出来る事を見越してね。
その後、俺達はバラバラになるが連絡を取り合っていた。それも、簡単だったんだ。姉の能力で可能だったからね。そして、俺達は裏の組織に入り、中から牛耳った。子供だと甘く見ていたんだろ。思いのほか簡単にいったんだ。簡単すぎたんだ。そして、そこからアビスの幹部として、思い通りに行動するようになった。
しかし、一つ問題が起きた。それは、俺が普通の生活を過ごす幸せを感じてしまった事だ。俺は、そのために組織を裏切ることになるが、それが許されるはずがないだろ。だから、俺は思い付いた。いずれ、悠平に憤怒の主にしないといけないなら、やってしまえばいいと。他の皆も、悠平を心配していたから、計画に納得したんだよ。
その計画の一つが、仏霊会の爆破で、大罪持ちを脱獄させる事だったんだ。本来なら、そこで終わるはずだったんだ。だが、俺が怠惰により貰っていた能力を姉に与えたのが仇になってしまった。その能力がラプラスだ。
俺の姉は、朽名氏 還だ。いや、九頭 還という。姉は、島にいる時に、極度のストレスから2重人格なんだ。自分自身の能力は、九頭 還にあり、ラプラスの能力は、朽名氏 還に俺が与えた。そうする事が、最善の方法だと、ラプラスにより導き出した答えだったからだ。』
『パンパカパーーン♪ふふふー。やっと、思い出してくれたーーー。愛しの我が主よ。もう、このまま。役立たずだったら、どうしようかと思ったよーー。僕は、本当はこんな事したくないんだ。だって、面倒じゃなーーい♪』
いつものように、現れるときは急だ。怠惰のベルフェゴールこと茉莉花であった。
『もっと、早く気付いてくれると思ったよ。大嫌いなジャスミンの名前で、茉莉花にしてあげたのに。全然、気が付かないんだもーーん♪本当に、滑稽だったよ。まっ、それは、罰だよ。君が勝手に、私たちの遊びから手を引くからね。あれだけ、手を貸してあげたのにね。まったく、勝手に能力を手放すとは困ったもんだよ。
でも、やっぱり見込みがあるね。それを補う能力を与えたら、想像以上に使いこなすから、それも正解だったよ。それで、これからは、どうするんだい?後は、僕と強欲だけさ。
憤怒は、ゲーム途中に早々に爺さんから出て行って降りちゃったけど。嫉妬や暴食を倒したときは、感動しちゃったよ。強欲の方も、ヤバタ君を使って上手く傲慢と色欲を倒しちゃったけどね。』
怠惰は、淡々と俺に話しかけて来るのであった。
『何を勝手な事言っているの?意味が分からないんだよ。』
火輪が、そう叫ぶと茉莉花は、冷徹な瞳で見下すのであった。それにより、全員が黙るのであった。
『結局、お前の手の平の上で踊ってただけだな。それなら、最後まで付き合ってやるよ。ただ、約束は守れよ。俺が勝って、お前を王になったら、もう関与しない。俺達に穏やかな暮らしを約束した事を忘れるな。』
『もちろんだよ。その答えが聞けて、安心をしたよ。当初の約束は、きちんと守るよ。それが、僕らの契約だろ。』
怠惰は、そう言い残し消え去るのであった。
そのやり取りを見ていた全員が説明を求められるのであった。それは、当然ではあるのだ。
『俺が怠惰と契約したのは、この島の地獄から解放され、自由に暮らすためであった。その代わりに、大罪の王を決める戦いへの参加であった。姉には、強欲がつき2人で協力し、他の大罪を負かしていったんだ。けれど、大罪の影響が姉を襲った。元々、2重人格という精神が不安定のもあったかもしれない。そこから、少しずつであるが2人の考えが分かれていったんだ。
姉も最初は、静かに暮らす事を望んでいた。そのために、協力し裏組織の力も得たのだ。それにより、何も不自由がなくなったのだが、姉は止まら無くなっていた。俺は、それに気が付かないフリをし、普通の生活を送っていた。そして、奈菜と出会い、恋もした。姉には、それが気に入らないようであった。常に能力も欲しい物も先に手入れる事がね。しかし、実の弟の不幸を望んではいないので、手を下す事はなかった。姉は、絶対に俺を逃がす気はないのだ。
いや、詳しく言えば、ラプラスの能力だ。記憶を消し、能力を手放すのも、全て俺が指示していた範囲内だ。今も指示通りに動いている。なぜなら、アビスの前のボスは、俺だからだ。』
『嘘だよね??先輩。』
『・・・・・・・・・・・・。』
トゥルルルウルルルーーー。
『はい。信ですが・はぁ??なんじゃと、分かった。』
『どうしたのですか?信様?』
『また、仏霊会が襲われている。』




