里帰り
俺達は、無事に地上への転移を済ますと、数分後には助けが来るのであった。
ニュースで遭難の報道が流れると、薫子さんと真冬が、すぐに動いてくれたようだ。頂上へ出ると同時に、真冬は俺の居場所を感知できたらしく、そこにヘリを飛ばすように指示をするのであった。その後、俺は、真冬に会うと同時に怒られたのであった。お守りを投げつけられるのであった。忘れていたが、初詣をすっぽかしたのだ。心配もあっての事だったので、その態度も可愛いものであった。
そうして、無事に家路に着いた。奇跡の生還として、しばらくは報道されたが、それも時が過ぎれば直ぐに風化するのであった。
良さんは、時の人となり昇給が決まっていた。俺達は、出来事を全て良さんが助けてくれたことにした。その方が、何かと都合が良いからだ。良さんも、給料があがったのでウィンウィンであった。その後は、無理な事をせずに穏やかな日々が続くのであったのだ。
そんな時に、火輪から連絡が入るのであった。
『先輩、元気してる?実は、ちょっとした事件があってさ。』
その事件とは、色欲の本田 まなみ・傲慢の神楽 心の二人が、死亡して見つかるという事件が起きていた。何者かが、殺した可能性が高いとの事なのだ。火輪の話では、諸外国と連携しての討伐にあたる事になっていたが、その討伐隊員に選ばれた者の所業ではないそうなのだ。
『それって、大事件じゃないか。』
『確かに、そうだね。でも、あの大罪持ちを次々に仕留めるなんて、容易じゃないはずなんだ。あの憤怒の奴が起こしたのか?まだ、分からない強欲や怠惰が関係しているのかもって言われているんだよ。』
『てか、そんな機密情報を俺に話していいのかよ。ヤバいだろ。』
『察しが良いね。それで、仏霊会からの依頼があるんだよ。先輩は関わるのは、嫌なのかもしれないけどさ。なんか、上の方が話を通せって、うるさくてね。会って話すだけでも、それなりの御礼は用意するようだよ。』
『余計に、怖いんだが。どうせ断っても、もう無駄なんだろ?』
『正解。機密を知ってしまったからね。』
そうして、転鏡で連れられて仏霊会に着いた。其処には、五霊葬と信さん、霊能長と朽名氏さん、俺と真冬がいるのであった。そうして、近郷さんから口を開けるのであった。
『ご足労を頂いて、すまないね。アーノルド=ヴェルナーの兼については、助かったよ。それで、本件なのだが、調査をお願いしたい。どうやら、朽名氏の話では、かなり優秀であると聞いている。依頼というのは、憤怒の男の足取りを探って欲しいのだ。』
『それって、火輪と水貴さんが会った男ですよね??戦闘で役に立たない俺は、すぐにやられてしまいますよ。』
『今回は、信様と火輪、水貴も同行予定だ。それに、君も一度帰った方がいいかと思うのだよ。憤怒の男が向かったのは、君の故郷の九頭島だ。そこから、情報が途絶えていてね。』
『あの島に向かったんですか?何もない場所なのに。どうして・・・。』
『それを、調査するのじゃよ。お主も、もちろん行くであろう。ついでに、両親に顔でも見てもらいなさい。』
信さんの一言で、実家への帰宅が決まった。出発は、明日の昼との事だ。そこから、二日をかけて向かうとの事だ。本来なら転鏡を使用する所だが、道中に手掛かりもあるかもしれないので、スケジュールは、ゆっくりであったのだ。
翌日、家に車が迎えに来て向かえにきた。少し前からだが、ヤバタは1人で仕事に向かっているのである。最近は、仕事で忙しいようであった。死にかけた事で、頭のねじが閉まったのかもしれない。守と朱美ちゃんも普段通りの生活に戻ったようだ。リンにおいては、家でダラダラしているのだ。しかし、能力により家の維持という仕事があるのだ。掃除もしなくていいので、薫子さんにとっては役立っている。それなら、なによりだ。その空いた時間で、駅前にバー薫子が開店しているのであった。今回の旅が終わったら、遊びに皆で向かおうと考えていた。
道中は、特に手掛かりも特になく、ただただ平和に観光しているようであった。これで、お金も貰って旅費も貰ってもいいのであろうかと思う。それも、全部が仏霊会で持ってくれるので、今回の帰郷は、運が良いのかもしれない。そのまま、順調にフェリーに乗り、自分の島が近づいてくると、少しづつ緊張が走るのであった。そこに、憤怒の男が待ち受けている可能性があるからだ。
『お姉ちゃん達さ、あの島に何をしにいくんだい??この前も、1人の兄ちゃんが向かっていたけど、何もないよ。』
『私が、あの島の出身なんですよ。その男の人は、何をしに行くっって言ってました?』
『あの島の出身かい。随分と、大変だったね。さっき言ってたお兄ちゃんは話しかけても、何も話さなかったな。何か思い詰めているかの様だったけど。独り言を言ってたよ。必ず、見つけてやるって。少し、その態度が怖くてね。触れないで置いたんだ。』
『そうですか。ありがとうございます。』
そうして、島に到着するのであった。本当に何もない島だ。
『クズ君や、先に御両親に挨拶に行ってきなさい。私達は、近辺を捜索しておくから。』
『ご配慮、ありがとうございます。先に、済ませてきますね。』
そこから、俺は皆と別れるのであった。真冬は、仏霊会とは関係ないので一緒について来るのであった。
『ただいまぁー。』
俺は、自宅の戸を開けるが、返事がなかった。いや、その家には人が住んでいる気配すらないのであった。俺は、何かあったのではと思い、急いで中を確認をするが、そこは荒らされてもいないし、本当に何もないのであった。
『何かが・・・、おかしい。ズキッ。』
その時、頭痛が走るのであった。そして、記憶が一瞬フラッシュバックした。これは・・・葬式??手を繋いでいるのは、だれだ?顔が思い出せない。
『大丈夫にゃの?道生・・・。本当にここなの?ここからは、数年前から人が住んでにゃいの。生活感もにゃいし。』
ズキズキズキッ。
さらに、頭痛が酷くなっていくのであった。俺は、朦朧となりながらも、ある所へ移動していくのであった。記憶が違う。俺は、ここに住んでいなかった。確かに、ここが実家なのは間違いはないのだが・・・。その後、裏手に回ると、そこには荷物を入れるコンテナがあった。俺は、そこに吸い寄せられるように入っていくのであった。
そこには、大量の写真が貼ってあり、全て赤で×マークが付いていた。一部の子供を除いて。それを見た時に、さらに頭痛が酷くなり、あまりの痛みに気絶した。その様子に、真冬はすぐに応援を呼ぶのであった。
そこから、夢を見た。幼い時の夢だろうか。何故か、そこにはヤバタ・朱美ちゃん・守に、酒井 悠平の姿もある。皆、仲が良さそうだ。それは、変な夢であった。




