決戦前夜
クルーズ船に乗り込む前夜。
俺たちは、一度どうするか話し合うことにしたのであった。
ヤバタと俺は、修行中良く会っていたので、お互いに、どれだけ頑張っているか分かっていた。
一度、俺の修行である毒汁を、試飲したヤバタは、見た目よりこの修行がつらい事を知っていた。
逆に、俺もヤバタがしごかれていて何回も気絶しているの知っているので、弱音を吐くわけにはいかなかった。汚い話にはなるが、別の意味では、良く吐いてはいたのだが...。
そのため、お互いに、あいつには負けたくないと思い、修行を乗り越えていた。
俺とヤバタは、先に食堂へ行き、真冬と火輪が来るのを待っていた。
先に現れたのが、火輪だった。しかし、その変化に、そこに居るもの全員が驚いていた。
火輪の黒くて艶っぽい髪が、母親と同じ燃えるような赤い色になっていたからだ。
『『『お嬢、ついに。』』』
『お似合いですぞー。』 『おめでとうございます。』
などなど、信者たちは、騒いでいるのであった。
『フフフ、どう驚いたー!?』
『あぁー、綺麗だな。』
火輪は、赤く頬を染めていた。唐突の誉め言葉に照れてしまったようだ。
『いきなり、ごめんごめん。凄い変化で驚いたのもあるが、綺麗な色をしていたから。』
『へへ、先輩が褒めるなんて、ビックリしたよ。』
そう、やり取りしていると、火輪信者が後ろからブーブーと非難の声が聞こえるのは無視をするのであった。
しかし、そんな中、ヤバタの反応がない事に気が付くのであった。
ヤバタをみると、以前のように召されているようであった。
その姿に、信者達も感動しているようであった。どうやら、ヤバタは、この短期間で確固たる地位を築いているのであった。
そうこうしている中、真冬がやって来ないので、念話で呼びかけるのであった。
(おーい、真冬。今どこにいるんだ。もう、皆集まっているぞ。)
(はーい。さっさと歩きなさい。遅れてるじゃない。)
ベシッバシッ。
そうして、少し経つと真冬が、火輪母の頭に乗ってやってくるのであった。
火輪母の髪の色にも驚いたが、真冬と火輪母の立場が逆転している事の方が驚くのであった。
『どうなっているんだ?真冬。』
『フフフ、私を陥れた罰を与えているにゃ。敗者には、ぴったりにゃの。』
『母上が負けた!!?』
『火輪いいんだよ。今の真冬ちゃんは、火輪と同等の力を持っているよ。むしろ、相性が悪いから負ける可能性が高いよ。』
『にゃははは。もう、スッキリしたからいいのにゃ。それに、確かに力をコントロールも出来るようににゃったの。』
そういい、頭から飛び降り、人型となりつつ、椅子へ腰かけるのであった。
『話し合う前に、真冬ちゃんに聞いておきたい事があるんだけど、いいかな。』
火輪母は、俺たちに話かけ了承を得るのであった。
『その力、もともと真冬ちゃんになかったよね??あの中で、何があったの?』
『これは、河童先生に教わったのにゃ。少し、変わった先生だけど、あの方がいにゃかったら、たぶん、闇に飲まれていたはずにゃの。』
『河童先生!?誰だいそれは。あそこには、悪霊と野良の霊獣が少しいるくらいで、河童など存在しないはずなんだが....。』
『そんにゃ事にゃいの。悟りの泉に、住み着いているから。いるはずにゃの。』
『悟りの泉...あの奥の泉か。あそこには、水神様が祀られているだけなのだが...。なるほど。事情は、分かった。ありがとう。』
そうして、何か納得したのか。火輪母は、食堂を出ていくのであった。
俺は、気になったので、ステータスで心情を盗み見るのであった。
心情:まさか、水神様に出会うとはな。なんと、運がいい。いや、彼女の何かが、気に入ったのかもしれない。気まぐれな方と伝わっているしな。明松家でも1代目しか会えてないというのに...。
(真冬の奴。凄い方に会ってたんだな。本人は気付いてないようだが...。)
そうして、クルーズ船に向けて話合うのであった。まー、結局、お互いの修行内容を話し合ったのが主な話になってしまったのだが。
そこで、俺の修行だけ、何か方向性が違うとの事で、真冬と火輪に突っ込まれたのであった。だけど、毒汁をハナビが用意すると2人は黙ってしまうのであった。
解散前に、ステータスで皆を確認すると、2人に加護が付いているのが目にとまったのであった。
真冬には、水神の加護。火輪には、朱雀の加護が付与されていた。