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突然のオファー(1)
教室に入るやいなや、いきなり亮太がずいと近寄ってきた。そしていきなり、
「この古狸め」
いきなり罵倒を喰らった。
「一人だけ楽しい思いをして他の奴らはみんな血の池地獄に落とそうってのか?」
「おいおい、いきなり何言い出すんだよ」
「何をだあ? この女殺しが」
「俺が何したって言うんだよ」
「しらばっくれんのか? 自分の胸に手を当ててよーく考えてみろ」
言われるままに俺は胸に手を当てて考えてみる。だが、思い当たる節がない。
「何もないと思うんだが……」
「てめ、この野郎、お前って奴は――」
「とりあえず落ち着けって、俺が何したんだよ」
「お前昨日、本村先輩とデートしてただろ?」
「……あっ」
そうか、それか……。言われて初めて気がついた。確かに、やってはいけないレッドカード行為だったのかもしれない。




