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細やかなプレゼント パートⅡ(10)
「本当に、三人にはびっくりさせられっぱなしだよ」
「いつも、あんな感じなんですか?」
「まあね、でも、根はすごく素直で信頼できるんだよ。そういう感じにはまだ見えないかもしれないけどね」
そう言って笑った先輩を見たとき、ああやっぱり先輩は優しくて思いやりがあるんだなと俺は思った。人とはどんなに信頼している人だとしても疑を心に持つことはある。だが先輩にはそれがない。どこまでも澄んでいて濁りがなく、真っ直ぐに相手のことを見つめている。俺は改めて先輩に尊敬の念を抱いた。
「あ、そういえば。あ~~」
先輩は小さく口をあける。口には飴玉が転がっていた。
「おいしいね、これ」
「また今度あげますよ」
「ホントに? ありがとう」
とにかく、何もなくてよかった。
「じゃあ、俺はこれで」
「あ、ちょっと待って」
「はい?」
「折角だから、携帯の番号教えてもらえるかな?」
「ああ、はい、もちろん」
こうして、慌ただしくも楽しい一日は終了した。




