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ふれあい・イン・ショッピングモール(1)
それは、何の変哲もない土曜日のことだった。
一件の電話が携帯を鳴らした。
「もしもし」
「成松くん? おはよう、本村綾音です」
「本村先輩? ごほっ……」
「ど、どうしたの?」
まず99.9%かかってこないとタカをくくっていた相手からかかってきたため、あまりの驚きと、心のどこかでうれしく思っている気持ちが相まって、変な所に唾が入ってしまったのだ。
「大丈夫? 何か咳き込んでたけど……」
「はい、大丈夫です」
うん、この声、間違いなく先輩だな。亮太の出せる声色じゃない。
――いや、たまに亮太がたまに女の子の声でかけてくるもんだからついつい警戒するようになっただけなのであしからず。
「よかった」
「でもどうしたんですか? 先輩が電話してくれるなんて」
「うん、実はね……」
先輩は何故か一拍間を空けてから話を切り出した。




