再会……(2)
ん? 何だ? この感触は……暖かくて、すごく落ち着く。これは、手か? それも女の子の……。
「う、うん……」
まぶしさに俺はゆっくりと薄目を開ける。
茜色の夕日が窓から燦々と降り注いでいた。
ん? ここは、何処だろう? ……あ、そうだ。俺は思い出した。
現実に、俺は戻ってこれたのか……やっぱりあれは、嘘じゃなかったんだな。
イテテ……く、いくら戻ってこれたとしても、傷まではさすがに癒えてないか。まあ、当たり前か、刺されたんだもんな、俺。
「雄慈郎、くん?」
俺は横を見る。そこには、綾音先輩が大粒の涙を流しながら俺の手を握っていた。
この手は、綾音先輩の手だったのか、どうりで暖かくて落ち着くわけだ。
「雄慈郎くん、やっと、目覚めてくれた……う、ぐす……」
「綾音先輩……」
やっと、やっと逢えた。最愛の人に……何からしゃべればいいんだろうな。
とりあえず、俺は――。
「ただいま、綾音先輩」
そう、問いかけてみた。すると先輩は――。
「うん、おかえり、雄慈郎くん」
そう言って、俺に抱きついてきた。俺は何も言わずにそれを受け止めた。
この瞬間、俺は思った。
やっぱり、現実に帰ってきてよかったなと。
ありがとう、剣の神“ベクター”。