日曜日のコンフューズ(3)
「嫌がってるのに連れて行こうとするとは随分愚劣なことしてるじゃねぇか。その手、離しな、失礼だろ」
「うるせー、だ、黙ってろ」(A)
「そうだ、こっちの問題だ、お前に関係ない」(B)
ほお、さすが中学生、前のがきんちょよりも根は少し丈夫だ。まあ、だがまだまだだな。このまま続けよう。
「口の聞き方には気をつけな。これでも高二なんだよ、お前らよりも年上だ、悪いこと言わねぇから先輩から手放せ。てめぇらのやってることは立派な犯罪だ。俺は目撃者、今から警察に電話してお前らを逮捕することだってできるんだぞ? 証拠人もいる。それとも、俺を倒すか? 言っとくが俺は強いぞ。そんじょそこらのチンピラにゃあ負けねえ。試してみるか?」
「……ちっ、逃げるぞ」(A)
「おい、待てよー」(B)
二人は背中を丸めて逃げていった。
ふう、前よりもちーっとばかし面倒くさかったな。まあ、成長してるから仕方ないか、おっといかん。こんなことしてる場合じゃない。
「大丈夫ですか? 先輩」
「な、成松くん……」
安心したのか、目に溜まっていた涙が一気にこぼれだした。また、昔のことを思い出してしまったのだろうか。先輩は控えめに俺の胸に入り、小さい体を震わせて泣いた。
「ありがとう、ありがとう……」
「ケガ、ないですか?」
「うん……怖かった、怖かった」
「もう、大丈夫ですよ」
「うん、うん」
――先輩はしばらく泣き続けた。