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僕は、羊水に揺られて夢を見る。外は、激しい憎しみの世界なのに。  作者: 蘇 陶華


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そして、僕は、あなたに還る

空間が、弾けた。


瞬間。


吐夢は、理解できただろうか。


「ざまぁ!」


吐夢が、そう叫んだ。


研究所に、侵入。


九尾をはためかせ、


すり抜けるように侵入。


したかと思った。


僕を、退け。


そこは、晴の作った世界が、口を開けて待っていた。


「え?」


初めて、その世界に、飛び込んだ時、


誰もが目を疑う。


そこまでも、果てしなく広がる砂漠。


そして、真っ青な空。


一角のオアシス。


そこに、晴が立っていた。


「本当なら、関わるのは、ごめんなんだけどな」


砂漠の中に、晴が立っていた。


「これは・・・どういう?」


吐夢の姿は、幼い子供に戻っていた。


「もう、やめないか?」


「お前達・・・・。騙したのか?捉えて、また、僕らを突き出すつもりか?ワクチンの為に・・・」


「僕も、それがいいと思ったんだけどね」


「そうだろう・・・。僕を捕まえて・・・」


「颯太が、そこまで、負担させたくないって」


「じゃ・・・誰が」


「君は、十分、苦しんだから・・・ここで、静かに暮らせばいいって」


「待って・・・まだ、終わっちゃいない。これから、なんだ」


「吐夢。今まで、全て、復讐に時間を費やしていたんだろう・・・いい加減、ゆっくり、穏やかに暮らしたいと思わないか」


「わかるもんか。1人で、生きて行く、辛さを」


「辛さか・・」


少しだけ、晴の顔が、歪んだ。


この時、晴は、ふざけるなと怒鳴りたかったらしい。


「1人じゃない・・」


「え?」


姿を現したのは、一の葉だった。


「ここで、今までの時間を取り戻すがいい・・・。一の葉にとっても、時間が止まるこの世界なら、消えていく不安に襲われる事もない」


それは、誰の為なのか。一の葉の消滅を止める為、吐夢と一緒に、この世界に閉じ込めたのか。


「自ら、この世界から出ていける事はない。ゆっくり、過ごすといい」


「待って!まだ、僕は、終わっちゃいない」


「吐夢。もう、十分だから」


「帰らないと!どうすんだ?抗体薬作れないぞ。颯太で、できる訳がない!」


「!」


そう叫ぶ、吐夢の頬が弾けた。


一の葉が、吐夢の頬を叩いていた。


「あの子が、覚悟したの。もう、戻れないかもしれない。あなたが、こんな事をしなければ、あの子は、普通に、生きる事が出来たのに」


一の葉の剣幕に、吐夢は、呆然とするだけだった、晴から聞いた。


僕は。


少し前。


僕らは、再会の約束をして別れた。


僕の血液は、桜咲里の手によって、研究機関に送られていた。


抗体薬として、適合するのか。


九尾狐を媒体として作られた生物兵器。


それは、開発した国の子孫を襲い、侵略の危機に、合わせた。


吐夢は、滅亡させたかったのだろう。


その願いが叶ったら、彼は、どんな選択をしたのだろう。


感染は、広がり、変異型へと姿を変え、世界中に広がる。


今、堰き止めなければ、この国だけの問題では、終わらないだろう。


「適合するみたいよ」


桜咲里が、さらりと言った。


「うん・・・」


皆の顔を見ながら、返事した。


「戻って、来れないかもよ」


桜咲里は、何故か、泣いていた。


「失敗するかもしれにし・・・目を覚まさないかもしれない」


「うん・・」


九尾狐は、九回、生き返る。


また、僕は、誰かのお腹の中で、目覚め、生まれてくる事ができる。


きっと、また、逢える。


「待ってるから」


音羽が、僕の首に両腕を回した。


「うん・・・それまで、よろしく」


長い髪の匂いに鼻を埋める。


「山寺の・・・あの場所で」


「待ってる」


僕は、初めて、音羽の唇に、触れた。


柔らかくて、暖かかった。


「うん・・・」


何度も、頷きながら、僕は、吐夢を迎えうつ場所へと向かった。


吐夢が、晴の世界に、閉じ込められたのを確認すると、


振り返らず、門扉を開けた。


きっと・・・。


きっと、戻ってくる。


暖かい羊水に揺られながら、君達に逢う夢を見る。


きっと、その世界は、愛に満ちている。




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