陰謀と戦争
そうと決まれば善は急げ。シャワーを浴び髪を整えたら着替え、歯磨きを済ませてレッツゴー!
ニーヴェルンの体が光に包まれ、瓶の中の世界へと吸い込まれていった。
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ここはイマジニア大陸北西に位置するクローゼル王国王都キラコラン。この国は今まさにスカラル帝国からの侵略を受けている。表向きは内乱鎮圧の為の出兵となっているが、恐らくはその内乱もスカラルの陰謀だろう。クローゼルは国土こそ他国と比べ小規模だが山脈に囲まれ僅かだが飲める水が湧き、農作物が実る土地を保有している。近年魔物の被害も増えてはいるが何とか民は飢えずにいる貴重な国なのだ。
クローゼル王は偉大なお方だが、国力の乏しいこの国を守るために武力に優れたスカラルと国交同盟を結んだのは大きな過ちだった。スカラル側の有利な関税を敷くのみならず、商人ギルドの一方的な商業介入、さらには国防拠点として各地に土地を無償で提供するはめになった結果、治安は悪くなり不満は高まる一方だった。
そして戦争の火種はある日突然吹き荒れた。国のあちこちで不満を募らせた民が暴徒となり、暴動は国中に広がり、混乱は混乱を呼んだ。
暴徒、クローゼル軍、そして暴徒鎮圧を名乗り出たスカラル軍。三者入り乱れた結果、もはや暴動は内乱と化し国中が戦争状態となってしまったのだ。
それも恐らくはスカラルの陰謀だろう。「暴徒」も大半はスカラルの手の者である可能性は高い。奴らはクローゼルに攻め込む大義名分が欲しかったのだ。それこそ喉から手が出るほどにな。
そしてとうとう戦火は王都キラコランまで差し迫ってしまった。最近王都のあちこちで略奪行為・暴力事件が多発し、王政反発のデモが大規模で行われるようになったのだ。スカラルは軍勢2万を差し向け暴徒鎮圧、そして国政調査を名目に王城に乗り込むつもりだ。
王城に武力介入されればその時クローゼルは終わるだろう。調査にかこつけて奴らがどんな事をするかは想像に難しくない。
しかし悔しい事にこれに抗う手段は無い。この内乱自体スカラルの陰謀であるという証拠が無い以上、介入を拒否すれば同盟条約を一方的に破ったと大義名分を掲げ正式に宣戦布告される事になる。そうなれば近隣国の助力を得られないまま戦争となるだろう。国力の乏しい我が国では戦争は耐えられない、ただの虐殺だ。だがこのままスカラル軍の介入を受けていればいずれはこの国がスカラルの属国となってしまう。そこにクローゼル人の未来は無い。
俺は密かに王の密命を受け軍を除隊し無所属の調査団を組織して、各地で地下活動を行っている。主にこの暴動の原因の調査、暴徒とスカラルの動向調査が主だ。しかし状況は芳しくなく証拠は周到に隠蔽され、俺たちの活動に気づいたスカラルに狙われる危険な日々が続いていた。そんな中でのスカラルの王都出兵だ。俺たちに選択肢は残されていなかった。
立場上援軍は見込めない。しかしこの身を賭してでも奴らを王都に近づけさせてはならない。無謀な最後の戦いだ。
グロウ「ロイ!まずいぞ!防衛戦の"イー"と"フー"が破られた!負傷者多数!このままじゃ"ミー"も時間の問題だ!」
部下のグロウからまた絶望的な報告が入った。
ロイ「"ミー"が破られたらもう後が無い、何としても死守だ!残りの人員と武器をかき集めろ!それと遠方の人員はまだ到着しないのか!?」
グロウ「昨日からアローイと連絡取れない…偵察部隊の報告によればブブカの部隊もやられたそうだ…期待しないほうがいいかもな…」
ロイ「…とにかく全員"ミー"に集結させる。ここが俺達の死地だ!」
王都キラコラン郊外、この田園地帯が最終的防衛ライン"ミー"。ここでスカラル軍に奇襲をかける。偵察部隊の報告によれば奴らの先発隊はここを通過する筈だ。
スカラル軍約2万に対し反乱軍約2千。これでも総力戦だから笑えない。しかしここで先発の3千を退く事ができれば本隊に混乱を与え多少の時間を稼ぐ事ができるはずだ。既に近隣住民は王都に非難させ、多数の罠を仕掛けてある。準備は万端の筈だ…
ロイ「おかしい…情報によればそろそろ先発隊にぶち当たってもいい頃の筈だ。嫌な予感がする…グロウ!」
グロウ「なんだ?」
ロイ「偵察からの連絡は?」
グロウ「いや無い。通信魔法具をこの距離で使うとバレるぞ?」
ロイ「それはわかっている。しかし予定の時刻はとっくに過ぎてるはずだろ?状況の報告はまだか?」
グロウ「確かに…早馬を送ってみるか?」
ロイ「…いや、今は此方の情報が漏れるリスクは少しでも無くしたい。ここは仲間を信じて待機するしか…」
突然仮設テントのドアが勢いよく開かれ、息も絶え絶えな男が一人入ってきた。偵察に出ていた部隊の部下の一人だ。
「隊長!大変です!敵に囲まれています!」
その時、空から炎魔法の火玉が降り注ぎ、辺り一面が燃え上がった。
ロイ「クソ!!作戦が漏れてる!!!」
グロウ「ロイ!どうする?撤退するか?」
ロイ「駄目だ!ここで俺達が撤退する訳にはいかない!皆!剣を取れ!!魔法を使える者は索敵を最優先させろ!敵の数は?!マーロン!!」
情報が漏れていた。いやそもそも偽の情報を掴まされていたとみた方が自然だ。
マーロン「報告です!敵の数は最低でも約5千!我々の陣形を囲うように責めてきます!先刻まで隠蔽魔法を部隊全体にかけていた様でこの規模を扱えるという事は魔法部隊がまだ隠れているかもしれません!」
グロウ「マジかよ…」
ロイ「…部隊を全員ここに集めろ!マーロン、お前は若手や女を集めて隠蔽魔法をかけて逃げろ。俺たちで退路を切り開く!」
マーロン「しかし!」
ロイ「反乱軍は…クローゼルはここまでだ…。だがクローゼルの血をお前たちが守り抜け!」
マーロン「嫌です!隊長!私も最後まで隊長と…」
ロイ「これは命令だ!!」
グロウ「言い合いしてる時間は無いみたいだせ…行けマーロン!」
敵兵がすぐ目の前まで迫ってきていた…もはや一刻の猶予も無い。俺はマーロンを無理やり下がらせグロウ達と敵小隊相手に切り込む。辺りの炎は勢いを増し、反乱軍の必死の抵抗虚しく仲間たちの慟哭の声が飛び交う。もはやここまで。マーロン達の退路も開けそうに無い。
一瞬の隙をつかれ、敵兵が俺達をすり抜けていった。
ロイ「しまった!マーロン!!逃げろ!!!」
「キャアァァァ!!!」
敵兵の凶刃がマーロン達を切り裂こうとしたその時。
体が凍り付くような感覚、指先一本動かない。俺だけじゃない。敵味方関係無く空間全てが、まるで時が止まったかの様に佇んでいる。
なんだ?何が起こっている?
やがて俺たちが持つ剣や杖、弓などの武器が動かない腕からゆっくりと離れ、宙を舞った。まるで意思を持っているかのようにフワフワと空中を漂い、そしてやがて一カ所に集まった。まるで球体を形成しているかのようだった。
これは夢か?一体何が起こっているんだ?
全く理解し難い光景の中、何とか動かせる目で周りを見渡す。するといつの間にか俺のすぐ近くに不思議な女が立っていた。銀髪の淡く輝く長い髪をなびかせ、この世の者とは思えない不思議な存在感を放ちながら。
そして彼女はふわりと浮き上がり、最初の言葉を発した。
『皆さーん!戦いをやめてくださぁーい!』
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あはは、何だか間の抜けた台詞になっちゃった(笑)
いや私もさ、最初は『争いを止めよ!』とか威厳たっぷりに言おうと思ってたんだよ?けどさこの人達…プフッ…いやいや人は見た目じゃないよ!でもさ、あんなまん丸お目めで所々ふわっふわの毛生やして頭にはウサミミだよ?なにこの子達可愛いすぎwww
さながら昔地球って星に研修行ったとき原住民の子供が遊んでた「し〇ばにあふぁみりー」って玩具のまんま!超ファンシー!ヤバいなんで私寝坊しちゃったんだろう?この子達がどんな風に進化してきたか見たかったー!!www
なんて下らないこと考えてる場合じゃないね!とりあえずこの子達の動きは抑えたし、武器も無効化できた。
幸い死者はまだでて無いみたいだし、チャチャっと怪我治してお話お伺いしましょうか!
私は両手を広げ治癒の加護を降り注ぐ、みるみるウサ人(仮)の怪我が完治していった。よし!成功!
さてさて、とりあえずは話を聞きたいな!私この世界の事なんも知らんし!とりあえずこの中で一番偉そうな子…よし!あの茶色い毛の子にしよう。この中だと頭一つ飛び抜けて清い魂の持ち主みたいだし。
『それじゃあ皆さんとりあえずお家に帰ってくださーい!』
パンッ!
両手のひらを合わせると同時に戦場からウサ人(仮)は消え去った。
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目を覚ますと見慣れた風景がそこにはあった。自宅の机に座っている。一体何が起こったんだ?さっきの女…アメストラ人に外見が似ていたが…何だあの魔法は??それに今の状況は??いきなり体が動かなくなったと思ったら…武器が宙を浮いて…皆の傷が治って…そして今自宅に?夢か?もしかして俺はもうすでに死んだのか?それとも幻術の類??…俺はどうなる??いやそれより反乱軍の皆は??
理解がまるで出来ない…ぼーっとした頭で部屋を見渡すと…
『気がつきましたか?あとコレは現実ですよ』
ロイ「うあぁぁあ!!!」
あの女が…あの女が俺の机向かいに座っている!
『落ち着いて下さい。私はあなたの敵ではありません。あと私の事は「あの女」では無く"ニーヴェルン様"と呼んでいいですよ』
…心が読めるのか?…
『はい!話が早くて助かります。私は女神ニーヴェルン、この世界を憂い救いを授ける者。あなたの話が聞きたくてここにいます。えーっと…ロイさん!どうしてあなた達は殺し合っていたのですか?』
俺の名前まで…どうやって…?
それに女神?救い?
もう駄目だ。何も考えられない。まぁ考えても無駄か…
とゆうか俺はあの時死んだのかもしれない。じゃないとこの状況が説明できない。そうか、ここは死後の世界なのか、とゆうことはこの自称女神様は俺を迎えに来た死神…
『じゃないよ!もっと素直に人の話聞こーよ!』




