第三十一幕 初書類
「はいこれ、書かなきゃいけない書類」
〈………〉
『………』
〈…なにこれ〉
「え??」
「だから、書かなきゃいけない書類。一応仕事だし…」
『えっと…』
〈…多くね?〉
「仕方ないよ、最初だから」
「すぐ終わるって」
「はい、ペン」
『…りな、住所って…』
〈…えっと〉
『電話番号とかあるの…??』
〈…ない〉
『…これ』
〈無理、私には分からん〉
「はい???」
〈いや待て。家にそういう書類はあるはず〉
〈ただ…その…私こういうのやったことなくて…〉
『僕も分かんないんだけど』
「は、嘘でしょ??働いたことないの??」
〈ない〉
『ない!』
「えぇ…」
さすがにドン引きである。
「じゃあまぁ…一旦家に持ち帰ってから書いてもらって…分からないとこは一旦空欄で…」
今の一瞬で聞きたいことは山ほどあるが、ひとまず我慢し、書類をなんとなくで片付ける。
「うーん…書類終わったらやることないんだよなぁ…」
『仕事内容とかは?教えてよ』
「えぇ…うーん…なんだろう…」
「とにかく言われたことをこなす。」
〈極論…〉
「だって、何もないし…」
「そうだ。昨日も今日も色々あって疲れたでしょ?帰って休みな」
「ちょうど明日は仕事あるんだよね。珍しく」
〈お〉
『さっそく!?』
「うん」
「だから、それに向けて準備してきて」
〈準備…〉
「あ、これ明日の依頼の内容。必要なら色々調べるなりなんなりしときな」
『えーっと…"SNS運用について"?』
「そう。なんか、バズらせたいけどバズらない!みたいな話」
〈ばずる…天野たちがなんかそういうの言ってたな…〉
『えすえぬえすってなに』
〈なんだっけ。そーしゃる…ねっと…みたいな〉
「ソーシャル・ネットワーキング・サービスね」
「聞いたことあるでしょ、ショート動画とか」
〈なんだそれ〉
『知らない』
「えぇ」
ドン引きである。
「…明日の仕事本当に大丈夫か…??」




