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狼王女は変態猛獣調教師に盲愛される〜大嫌いな鞭を持ってにじり寄らないで頂きたい〜  作者: 関谷 れい


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38、エーベルの真意

私の突っ込みに、エーベルは手を動かしながら答えた。


「私としては、大義名分が出来て有り難くもありますが」

「大義名分?」

「いくらヴァーリア様の番として陛下の許可が降りたとしても、私は平民ですからね。多少なりとも貴族の反感を買うのは分かりきっていますし……ヴァーリア様との結婚に、少しのケチも付けられたくはないのです」


エーベルは、うつ伏せに寝た私のふくらはぎに、下から上へ下から上へと両手の掌全体を使ってマッサージを施す。


極楽極楽。



「でもさ、流石のエーベルもドラゴンと決闘したら死ぬよね?」

「死にますね」


死ぬんかい!!


私がガバッと起き上がる前に、エーベルは素早く私の肩を押さえてそのまま肩を揉み出した。


極楽極楽。


「死んじゃったら、私と結婚出来なくなるのに何でそんな大義名分を選んだの?」


いくら平民のエーベルが私の結婚相手として認めて貰うため、といっても他のやり方で認めて貰えばいい。

危険を冒してまでドラゴンと闘う必要はない。


「……ヴァーリア様にはご心配お掛けしてすみません。しかし、あの状態のドラゴンをこの目で見てしまいましたから……」

「?」

あの状態のドラゴン?意味がわからず、首を捻る。


「助けたいのです、あのドラゴンを」

そう言われて、エーベルが猛獣大好き調教師であることを改めて感じた。

猛獣とドラゴンは違う。

けれども、虐げられている動物を見て、エーベルが平気でいられる訳がないのだ。



もふ、とエーベルのベッドに顔を埋めた。


いかん。

猛獣やドラゴンに嫉妬するなんて、末期だ。


エーベルの匂いを存分に吸い込んで、エーベルに問う。


「……勝ち目はあるの?」

私が聞くと、エーベルは後ろで微笑んだ……気配がした。


「私一人で闘えば死にます。そこで、ヴァーリア様の手をお借りしてもよろしいでしょうか?」

「いいよ!!私も一緒に闘うよ!!」

狼の、家族の絆は強いのだ。


エーベルの為なら、ドラゴン相手でも闘うよ!でも無理そうだったら直ぐ様一緒に逃げる方向で行こう!!

私が即答すると、エーベルは私の背中にキスを落とす。


「……私のヴァーリア様……大丈夫です、ヴァーリア様には傷ひとつ付けさせませんから」

ちゅ、ちゅ、と頚椎に沿って軽い口付けを何度も落とされ、身体にゾワゾワとした感触が走った。


「あのドラゴン、第四皇子の指示に従ってどんな芸を披露したと思いますか?」

「何か、炎を吹いたとか聞いたよ。あと、火の輪くぐりとか色々したって……」


ドラゴンにとって、それはどれだけ屈辱的なことだろう。


自分に置き換えて、あの第四皇子の指示で何か芸を披露するところを想像するだけで、腸が煮えくり返りそうな怒りを覚える。


「個体差はあるのかもしれませんが、あのドラゴンはかなり賢く、第四皇子の口頭(・・)指示だけで細かい芸までこなしていました」

「……口頭指示で?」


それは、つまり。私の脳裏にペガススが浮かんだ。


「そうです。少なくとも、あのドラゴンは第四皇子の言葉を理解しているのです。そして、あの短い時間で自分(ドラゴン)が何故あの第四皇子に従っているのかのヒントを私に教えてくれました」

「あの短い時間……って、第四皇子と狼型の私が話した時?」

「そうです。ですが、私がその事実に気付いたのはヴァーリア様のお陰なのですよ」

「???」

「ヴァーリア様は、耳が良いですから……私がドラゴンと対峙している最中であれば、第四皇子も隙が生まれるでしょう。その最中に、探して頂きたいものがあるのです」

「ええ!?」


私も一緒に闘うんじゃなかったのか!?


私が思わず振り向くと、エーベルの優しい瞳が目の前にあって、胸がドキリとした。



目が合い、一瞬目を見張ったエーベルは、笑いながら徐々に顔を近付けてくる。

唇が触れるまで、数センチ。


「ヴァーリア様、口付けしても?」

「……聞かなくても、いいよ」

私が瞳を閉じると、エーベルの唇の感触が直ぐ様私の口を覆った。



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