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第9話 やっぱり違った

ブックマーク2件いただきました……どうしようとても嬉しい。この方々に末長く読んでいただけるようなお話を書きたいものです。

 料理に舌鼓を打ちながら、彼女は尋ねてきた。


「アキト、一応聞いておくけど、ここは”地球”で間違いないわよね?」

 

 ゆったりと丁寧にクリームスープをかき混ぜる姿に思わず見とれてしまう。


「えっ、あっ、”チキュウ”? 七海がいた国のこと? この国はエスパニアだよ」


「違う、この惑星のことよ。(もしかしたら宇宙や星という概念が無い程文明が古い可能性もあるけど、亜空間をコントロールする魔術なんてものがあるくらいだし、宇宙についての認識はあるはずよね……)」


「惑星……? この星はグリセリアでしょ……?」


「グリセリア……?(まさか別の惑星に飛ばされたとでも言うの? いやいや、ここは文化も時代感も違うみたいだし、地球の別の呼び方をしてるだけなのかもしれない。だって昼間は太陽が爛々と輝いてたし、今だって窓の外には月だって出てるじゃない……だからきっと……)」


 彼女は何やら小声で考え事をしている。

 それからスープを口につけ、おもむろに窓の外を見た。

 そして、


 ぶぉふぁっ!

 とスープを口から噴水のように噴き出した。

 キラキラして綺麗だ、なんて感想は少ししか思ってない。

 

「はぁ!!!! 月が二つ!? 嘘! そんな!」


 と叫びながら彼女は家の外に駆け出した。

 そして夜空を見上げながらさらに大きな叫び声をあげた。


「いやああああああっ!!! 

 月が、月が、、、1、2、3、4、5、6、7、8…………29、30……月が30個もあるなんて……一体、どういう………まさか、本当に……」


「ちょっと、七海落ち着いて。一体どうしたんだよ」


 膝からガクリと崩れ落ちる彼女。


「だって……だって月が30個もあるじゃない!」

「いや、そう言われても……月は普通に30個なんだけどな……」


 この惑星、グリセリアは奇跡の星だ。

 法魔術の進歩と共に近年明らかになってきた調査内容をもとに、研究者たちはそう語る。


 グリセリアの衛星である30個の月は、それぞれ大きさもバラバラ、自転軌道もバラバラながら、それぞれの重力が絶妙に干渉し合い、一度の衝突も起こすことなく数十億年周り続けている。

 ちなみに、恒星である太陽は一つだ。

 その太陽とも完璧な距離を保ちながらグリセリアが公転していることは言うまでもない。


 この恒星・衛星・惑星の奇跡的なバランスがあったからこそ、この星にマナ、そして生命が誕生したと言われている。

 こんな星は宇宙に二つと無いだろう。というのが研究者達の見解だ。

 

 彼女は俯いたまま、ふるふると震えながら、喉から絞り出すように言葉を発した。


「……残念だけど、私の知ってる月は一つしかない……ここは、地球じゃない!」

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