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恋愛初心者 ~待てます。お手紙下さい~  作者: ロミ


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2/2

文通友達

 




 うん、兄に謝ろう。


『あきらめたらそこで試合終了ですよ』に、突っ込みいれてすいませんでした。

 毎回、緊張しい克服をあきらめて帰っていた私は、今境地に立たされている。


 目の前の騎士様のせいで、第12回、私のお見合い家族会議が発令されているが、私の声は心の中に留める。


 いや、謝る気がないとかいうな、そこ。

 きっと、いつかは、気が向いたら謝るかもしれないだろう。未来は無限さ。


 なので、心の中で、深々とお詫び申し上げます。


 え、家族会議に参加しないのかって?

 いやいや、だって、いつもは自分の事だし参加してるよ。

 でも、今は知らない騎士様いるし、しかもかっこいいし。


 どんなトリートメント使ってるの、と聞きたくなるほど、漆黒のサラサラヘアーに、一睨みで、すべての女性を射止めそうな切れ長の目。すっと通った鼻筋に、薄い唇が幸薄そうで、そこがいい。

 ほのかにかおる香水が、嫌みじゃなくて、心地いい。

 騎士服の上からでもわかる大胸筋、広背筋。そこから延びる上腕二頭筋。長いのにごつごつした無骨な指先が日々の鍛錬を物語る。


 別に、見惚れてないよ。チラ見してるだけ。

 さぞ、女性におもてになるだろう。


 現実逃避はその辺にして、そんな騎士様がなぜ我が家に?


 それは、先週の舞踏会。そう、私が置いて行った赤いハイヒールを届けに来たのだ。


 なぜ私だとバレたか、それは赤いハイヒールが似合うドレスを着ていた令嬢と、舞踏会を早めに退室した令嬢を照らし合わせたのさ。

 王城の入退室は、セキュリティー対策でチェックされてるからね。

 すぐかわっちゃう。決して裸足で王城の中を駆け抜けたからではない。

たぶんない。


 まあ、それは後回しにしよう。


 騎士様がおっしゃる事に、犯罪を未然に防いだ私は、褒章も頂けるらしい。


 問題は、ここからだ。


 縁なし眼鏡の奥の目が、獲物を逃がさんとばかりにキラリと光った。

 兄が騎士様に話しかける。


「その褒章、何でもよろしいのでしょうか」


「はい、あまりにも高額な品物は難しいですが、宝石でも、ドレスでも、期限付きの権限でも可能です」


「では、妹があなたと友達になる事は可能ですか」


 騎士様は、切れ長の目を見開き、何度か瞬き、兄を見た後、私に真っ直ぐ視線をよこした。


 ごくり。


 私の喉が鳴る。

 一瞬の静寂。


「何、突然、バカな事言ってるの!」

 私は弾かれたように兄に詰め寄る。


「何って、いい考えだと思うぞ。別に恋人や婚約者になって下さいと言っているわけではない。友達。

 ただの友達だ。お前1人じゃ、緊張しいは克服できないだろ。家族以外の男性と交流を持つチャンスだ」


「・・・でも」


 騎士様をちらりと見て、私は力なく目を伏せた。


「友達ですか。申し訳ないのですが、私は1か月後、辺境伯領へ赴任する予定です。令嬢と交流することは難しいと思われます」


 うん、そうだよね。

 こんなかっこいい騎士様が平凡な私と友達になるはずがない。


 兄がす、と目を細める。

 いつもは緩い人だけど、それはマジな時の癖だった。

「おお、それは都合がいい。妹は緊張しいで、人との交流が苦手だ。かっこいいあなたと合うとなると、尻込みしてしまうでしょう。是非、文通をしていただけませんか」


「「文通友達…」」私と騎士様は同時につぶやいた。


「妹への褒章はあなたと文通友達でお願いします」


 兄は、騎士様に握手を求める。


 眉間に皺をよせ、私を心配そうに見つめる騎士様、100%のり気ではない顔。

「いいのですか?」


 いいわけないだろー。知らない人と文通。何を書くのさ、こっちとら、生粋の平凡だぞ、文通のネタなどないぞー。


 などとは、言えない。

 こちらからの提案、無下にすることは失礼になるだろう。


 兄が指先でコツコツをテーブルを小突く。

 少なくとも、兄はよほどの事がない限り、突拍子もない事を口にしない。

 これは、勝算があっての事だろう。


 そして、部屋に微妙な沈黙。

 きっかり25秒で、私は耐えられなくなり、

「はい…よろしくお願いします」


 兄はニコニコで騎士様の手を取り握手した。

 兄に握手された騎士様は、兄に握られた手と、私を交互に見て、

「こちらこそよろしくお願いします」

 にこやかに、花が咲いたような笑顔を向けられた。


 ぐふゥ。


 騎士様から突然の笑顔攻撃、私のチキンハートにクリーンヒット!










挿絵(By みてみん)

白河・DG・夜舟様から頂きました。

文通友達のイアン・ガンダルフ。




恋愛を全力で書いているのに、コメディーぽいのは…なぜ。


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― 新着の感想 ―
 ロミさん、こんにちは。 「恋愛初心者 ~待てます。お手紙下さい~ 文通友達」拝読致しました。  第12回お見合い会議。なんというパワーワードなんだ。  現代でも、そういう人はたくさんいると思う…
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