第8話箱庭と開拓とゆで卵
これはシロが来る前であり、猫とフェレットが姉弟になる前の話である。猫は元人であった。フェレットはフェレットのまま転生した。ただ違うのは人間と同じように食事ができる点であった。神様から与えられたスキル【箱庭】を魔の森の中で使ったのだ。フェレットは好奇心旺盛な為、箱庭にすぐ入ったのだ。
『おー!すげー!お前すげぇな!』
『お前じゃない猫。』
『俺フェレット!』
二匹には名前がなかった。だが個体名とも言える猫とフェレットはあった。挨拶を済ませた二匹は辺りを見渡した。
『家はあるね。』
『何これー?』
『私たちの住処だよ。』
『え、俺もいいの?』
『うん。』
『やったー!ありがとう猫!』
こうして二匹は同居する形で箱庭を探索したのだ。何もない畑、ボロボロの小屋、ボロボロの牧場。箱庭としてはまだまだの初期状態であった。
『何もなーい。』
『家の中には何かあるかな。』
家の中だけ綺麗で猫サイズの椅子とフェレットサイズの椅子、机があった。
『おお!すげー!なんでもある!』
『キッチンもある。不思議なスキル…』
「コケー!」
『この声は…鶏だ!』
『にわとり?』
猫が外に出て牧場の方を見ると鶏小屋があった。10羽くらい居て、卵を産んでいた。
『卵だ!』
『たまごってなーに?』
『美味しい食べ物。』
『へー。食べてみたいー。』
『じゃ、オムレツ作ってあげる。』
『ほんと?!ありがとー!』
だがその前に、畑の隣にある小屋の中から種を取り出し、種を撒いていく。
『何が育つのかな。』
『袋にはトマトって書いてあるからトマトじゃないかな。』
『美味しい?』
『野菜だよ?』
『うげー、野菜食べられるって聞いてるけどよく分からないから食いたくないー。』
『分かるけど…人間と同じように食べられるって…神様って凄いなぁ。』
『かみさまって言うのか?』
『そうだよ。』
フェレットは神様を知らない、元々フェレットな為である。猫は元人であったから神様の存在を知っているのだ。
『猫ー、何するんだー?』
『卵を取るの。』
『俺、手伝う!』
『へ、いいの?』
『楽しそう!』
フェレットは猫の真似をして卵を取っていた。鶏の巣から卵を丁寧に取り、カゴの中へ。藁を敷いているので割れることはないだろう。
『真っ白。』
『ゆで卵にしても美味しいんだよ。』
『へー。』
『ゆで卵にしよっか。』
『おお!ゆで卵!ってどんなの?』
『沸騰した湯に卵を入れて3分待つ。』
『さんぷん?』
『…体感だからね。』
鍋は家の中にあるキッチンに置かれており、鍋を使って料理していく、沸騰した湯に卵を入れて3分待つ、タイマーはないため体感で取るしかないのだ。
『さーて、出来てるかなぁ…お、出来てる。』
『おお!真っ白!』
『卵の殻をむいて…はい完成。料理っていいのか分からないほど簡単な料理だよ。』
『え、でも美味しそう!』
『食べてみる?』
『うん!もぐっ!』
『いただきまーす。もぐっ。うん、いつも通り美味しいや。でも結構濃厚な卵…フェレット?』
『……猫、すげー!こんな美味いの食べたの初めて!』
目を輝かせてゆで卵を片手に二足歩行でクルクル回るフェレット、そうかなと照れる猫。
『他にも油があったらオムレツなども作れるよ。油を作れる機械があればなぁ。』
『あぶらって貴重なのか?』
『作り方は分からないけど油って椿油とかごま油とか色々あるんだよ。確か…うーん…番組でやってたけど思い出せない。』
『猫って詳しいんだな!』
『番組で得た知識だよ。』
『それでも凄い!』
なんだか賑やかでとても嬉しい猫はフェレットの頭を撫でる猫、フェレットは照れていた。
『えへへ、ありがとー。』
『いいのいいの。』
<いい匂いー。>
『ん?』
振り向くと猫より小さい人の形をした生き物がいた。辺りを見渡すが一人だけのようだ。
『一人?』
<わ!だ、誰?>
『私は猫。』
『俺、フェレット!お前名前は?』
<小人は小人だよ。>
『小人か!よろしく!』
『小人はお腹空かせてるの?』
<うん…お腹ぺこぺこ。>
『んじゃあはい。残り一個だけど食べる?』
<!食べる!>
小人は殻をむいた卵を受け取りもぐもぐと食べていく。目を輝かせて猫を見る。
<美味しい!これ何?!>
『ゆで卵だよ。卵から作ったんだ。』
<美味しい!美味しい!>
『鶏小屋にあるよ。10羽くらい居るけど…』
<見たことない!>
『鶏って言うんだよ。』
<にわとり!>
『後は畑があって…』
『猫ー!なんか畑にあるー!』
『え。』
猫と小人は急いで畑に向かうとフェレットの指差した先にあったのは急成長したと思われるトマトであった。
『あわわ!トマト成長し過ぎ!』
『ど、どうするんだ猫?!』
『収穫!』
<小人も手伝う!>
急いでトマトを収穫していたらカゴの中がトマトで山盛りになっていた。
『トマトってやついっぱいだ。』
<いっぱいー!>
『消費するの大変だなぁ。加工品に出来たらいいんだけど…』
<?かこう?>
『あそこに加工出来る機会が置いてある小屋があって…小人?!』
小人が走っていく、ついていく猫とフェレット。小人がケチャップを作る機械を触っていると…
<これ修理出来るよー。>
『え、ほんと?!』
<うん!美味しい卵食べさせてくれたお礼に直していい?>
『はわぁ…ケチャップが作れる!』
『ケチャップだー!』
『でも油…』
<花あるよー。>
『これ椿だ…よく見てなかった…凄いね。小人。よく見てる。』
<…褒めてくれるの?>
不安そうに猫を見つめる小人、猫は小人の頭を撫でる。
『褒めて当然のことをしてるんだよ。』
<…猫不思議。>
『なぁなぁ、油ってやつがあったらレパートリー増えるのか?』
『増えるよ。』
<…レパートリー、ねぇ、猫。仲間たち連れてきたら迷惑にならない?>
『ならないよ。寧ろ人手が欲しい。』
<…猫、ありがとう!仲間連れてくる!>
『え、ちょ。』
その日の夕方、10人の小人たちを連れてきてくれた。
<よろしく!猫!>
<<<<よろしく!猫!>>>>
『食べさせ甲斐のある小人たちの為にゆで卵沢山作るね。』
<<<<わーい!>>>>
最近のゆで卵にほりにしという調味料をかけるのがマイブームな作者です。




