第1話 「異世界、美少女、パーティ結成」
初めまして。ゆりかご、と申します。
もとより小説を執筆することに興味があり、今回実践することにしました。
見るに堪えない作品かもしれませんが、どうぞお付き合いください。
とある少年が、イヤホンをつけて1人でのんびり、鼻歌を歌いながら、帰っていた。
────そんな少年の名前は、「五島亮太」。
ついこの前、高校2年生になった、何も変哲もないどこにでもいる男子高校生だ。
彼の素性を軽く話してしまうと、
・友人も世間一般的に見れば普通にいる
・彼女など、女っ気は全くない
・姉と弟がいる
...と、特に変わり映えもない。なんなら頭もそこまで良くない。
「はあ...今日の数学、やっぱりよくわからなかったな...」
帰り道にあった公園のベンチに腰掛けて、そう呟いた。
彼の苦手科目は理系全般であり、逆に得意なのは文系や暗記科目。運動は鍛えれば平凡以上になるだろうが、本人が鍛える気がない故、平凡のままである。
「はあ......」
腰掛けてから10分。ため息しか続いていない。
途中ジョギングしにきたお爺さん達から心配の眼差しをかけられた。それをされるくらいには、彼の周りにとてつもなく暗いオーラのようなものが漂っていた。
今日何があったか。
数学では全く解ける問題がなく友人にはツボられる。
陸上競技では、靴紐が解けてずっこける。幸い、怪我はなかったが。
昼食時に、味噌汁を飲もうとしたら汁に触れて火傷したと同時に、うっかりそれを軽くこぼして足も火傷する。軽いもので済んだのが運の尽きだったが。
...と、散々である。亮太も悪運がかなり強すぎた上にトラブルが多かったことで、少し落ち込んでいる。
「今日に限ってなんでこんな目に...?」
彼は普段ならどうでもいいことが連続して起きたことに困惑していた。しかし、何度か考えているうちに急に吹っ切れて、ふと顔を見上げた。
見上げた瞬間に、目についたものがあった。
叢の中、そこから光が。亮太を一直線に貫くように輝いている。
まるで亮太を呼んでいると言わんばかりに。
興味心が湧いて、体が勝手に動き出す。
その何かは点滅している。モールス信号とはまた違うような感じで、ピカピカと。
光っている何かの近くでしゃがんで、じっと見てみる。
「サイコロ...?いや、立方体?」
光っていた「それ」は、どうやら発光することができることができる謎の立方体のようだった。
触ってみたい。そう、興味津々で手を触れてみる。
触れると、視界がその立方体から放たれる光に包まれる。
「んなっ...!?眩しっ!!」
彼はその時は、その感情しか湧かなかった。
目を開ければ、自分の見知らぬ世界が広がった。
「.......は......?」
見回す限り、自分の知る世界ではない。
中世欧米のような街並みが広がっていた。
人通りも多い。街並みもなんとなく中世から近世までの雰囲気がある。
少なくとも街並みを見ただけでは産業革命前に近いのだろうか?と亮太は疑問に疑問を重ねた。
「ここは一体...どこで...俺に何が起きた...?」
結局最初の疑問に回帰した。回帰して間もないうちに1人の通商人が通りかかった。
「ちょいと兄ちゃん、そこ通るよ」
そう言った通商人は、自分も知る限りあり得ないほど大きいトカゲを連れて荷車を引いていた。
「あ、すみません...」
そう言うと、通称人はニカっと笑って
「兄ちゃん、迷子か?良かったら案内してやるよ。」
通称人は快くそう言ってくれた。
この世界のことを今は知っておく必要がある。
とにかく聞いてみなければ、その一心で。
「え、ああ、ええと...お願いします...?」
亮太は突然のことに驚きながらもそう言った。
その通称人、「グェード」によると、この街は「ロルベク王国」という国の首都らしい。
なんでも建国100年近い王国で、かなり長いこと続いているようだ。
グェードの誘いで、亮太は冒険者ギルドで冒険者登録をした。
おまけに何故かクエストを受けさせられる流れになってしまった。
しかし、防具はない。繰り返す、防具はないどころか、武器もない。
彼はほぼ無装備で戦場に駆り出された。
あの行商人の言葉を鵜呑みにし過ぎた。
「いやいやいやいや、あのおっさんやばすぎるだろ...何がなんでもこれはやばいっての...」
彼の脳内は急に冒険者にさせられた上に急にクエストを受けさせられると言う訳のわからない状況に対応できずにいた。
おまけに目の前に今回の標的がいる訳だ。
目の前にいるのは一見すると優しそうな動物...その正体は獰猛な肉食動物、「オオカミ」である。
しかし亮太の知っているオオカミではない...体は亮太の知識より一回りほどか、それ以上大きい。牙も口を閉じているのにも関わらず、よく見えている。
「こんなのを相手しろってのかよ…!?」
亮太はあの通商人に呆れることしかできなかった。
今回のクエスト。
「オオカミを一匹討伐する」
というものだ。
比較的初心者向けのクエストだが、どうやらグェードは亮太のことを見誤ったらしい。
気づけば戦闘は始まっていた。
見るからに亮太の劣勢、負けは確実であるが、かろうじて攻撃を躱している。
しかし、それにも限界があり────
「うおっ!?あ、危ねえ...!ちょっとずれてたら喰われてた...!」
マジで死ぬ、やばい。
彼の脳内でサイレンが鳴っている気がする。
それくらいにはやばい。彼はもはやパニックと言っても過言ではない状況に1人、陥っていた。
「やべえやべえやべえ!!死んじまう...!」
オオカミが彼の腹部を喰らおうと、襲いかかってきた。その時だった。
「なるほど、その程度だったか。改善の余地以外、何もないな。」
どこからか、声がした。
少なくとも自分から発せられた声ではないことは確かだった。
「は...?」
声がした直後、ズボンのポケットから光が溢れる。
その光は、黒く、禍々しいものだった。
びっくりして、尻もちをついてしまった。
「哀れだ、少年。無闇矢鱈に怪しいものを触らない方が良い。」
ポケットからその光を放っていたものを取り出す。
さっき公園で、この世界に来る前に触れた立方体が喋っているようだ。
「あんた...なんなんだ...?」
亮太はもはやそれしか言えなかった。
パニックだった上に、急に立方体が喋り出すのだ。無理もない。
「自己紹介をしておこう。私はリーナス。この立方体...ブロックを介して君と話している魔法使いだ。ちなみにさっきの喋り口調は、魔法使いぽかったかな?」
自称魔法使いは、とんでもなく軽いノリでそう言った。
「あの、あなたは...?」
「魔法使い。」
「俺の何を知って...?」
「まあ、あらゆるところ?出生からここまで何があった、とか。」
「黒歴史も知ってるわけですね...?」
「ええ、もちろん。酷いものだったよ」
「うう...ぐうの音も出ねえ...あんた本当に誰なんだ。姿もわからない上に、なにも...」
「容姿をお望みってわけ?いいよ、見せてあげよう。」
軽い問答を繰り返した後、「魔法使い」はそう言った。
言った直後、肩にポンっと手が置かれた。
振り返れば、そこには顔立ちは整っており、髪はとても薄めな紫色..年齢は同年代だろうか、亮太がよく読む異世界小説ではあるあるの美少女...亮太の好みど直球をいく容姿をしていたのだった。
「...言葉も出ない感じ?」
魔法使いはそう言った。
「いや、あの、魔法使いさん、が、思っていた以上に綺麗で...言葉が出なかった、というか...」
「...それ、褒めてる?まあ、褒めてると受け取っておくわ、ありがとね。」
亮太は「なんて自分勝手な人なんだ...さっきの一目惚れを返してくれ」と思った。
彼女のことについて、直接本人から教えてもらった。
名前はリーナス。どうやらこの王国の南の方の出身だそうだ。
職業は冒険者。役職は魔法使い。
そしてなぜブロックを介して話しているかというと...
「私、生まれつき魔力の調整が効かないんだよね。だからこうしてブロックを介して魔法を行使しないと、暴走しちゃうかもなんだよね。」
とのことだった。
この世界では、魔力を体内で貯めてストックし、、そのストックした魔力を消費することで、魔法を行使できるようだ。
まあ、亮太の読んでいた異世界小説とほぼ一緒なのだが。
「まあそんなことより話したいことがあるのよ、聞いてくれるかな。」
魔法使い...リーナスは、そう言った。
「私と、パーティを組んでくれない?」
唐突な、お願いだった。
亮太は即座に結論に至った。
彼は現在、何も力を持っていない。
武器すらも。なんならお金さえも。
言ってしまえば雑魚である。なんならそこらの雑魚よりも雑魚である。もう自分でもボロカスに言ってしまえるレベルで。
「...別にいいですよ。さっきのを見てたらわかる通り、俺は今は何もできないポンコツなので。」
即座に返答した。考えるまでもない。
パーティを組めば少なくとも生活基盤は整えることができるはず。クエストを受け続けれるかどうかはモチベーションによるが、多少は稼げるはずだ。
「え、いいの?まあその辺は私ができる限り...いや、絶対サポートする!よろしくね...ええと、名前なんだっけ。」
とても軽いノリで話が進められていく。
「亮太です。」
「うーん、この世界チックに呼び名をこの際変えてしまおっか。うーん、そうだなあ…」
リーナスは勝手に決めて勝手に悩み始めた。
亮太は内心、なんて自分勝手な人なんだと思ったが、靴に出したら魔法で殺されそうなのでやめておいた。
「レロス。これどうかな。」
リーナスは結構頑張りました、と言わんばかりの顔をしてそう言った。ちなみに亮太の意見は組まれていないどころか、亮太に意見を求めてすらいない。
「いいと思いますよ。俺も今後はそれで名乗ります。レロス。」
勝手に決められた割には、とてもいい気分がした。
なぜか、とてもいい気分がした。先ほど一目惚れしたばかりのリーナスが名付けたからか。それとも、新しい友人、パーティが自分たち2人しかいない以上パートナーができたことから生まれた、ワクワクからか。
ひとまず、亮太改めレロスは、パーティを運良く結成することができたのだった。




