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白
白は何もない色だと思っていた
でも白い紙を前にすると、なぜか緊張する
何もないのに何かがそこにある
白は始まりの色だ
真っ白なノートの、最初のページを開くとき
ペンを持つ手が少し迷う
汚したくない気持ちと
早く書き始めたい気持ちがぶつかる
白衣を着た人は信頼できる気がする
理由は分からないけれど
白がそう思わせる
雪が白いのは、光をぜんぶ
跳ね返しているからだと知ったとき
白が少し強い色に見えた
受け取るんじゃなくて全部返している
白旗は降伏の印だというのに
白いウェディングドレスは始まりの印だ
同じ白なのにずいぶん違う
白は何色でも受け入れる
混ぜた色が白を染めていく
それでもまた白に戻れる気がして
白はいつでも
また始められる色だ
冬の朝
一面の雪を見てきれいと思うのは
世界がいちど、白紙に戻ったような
そういう感覚があるからかもしれない




