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第34話  お母さん


……お母さん、お母さん。


お母さん?


そう呼ばれるのは久しぶり。


私は、薄っすら目を開けた。


「お母さん、大丈夫??」


ーー「!?、咲香っ!?」


目を開けた先には、心配そうに私をのぞきこむ咲香がいた。



どうしてここに??


「電話しても、ぜんぜん出ないから、心配してきたんだよ。」

「ダメだよ、ソファーで寝ていたら…」


「でも、咲香、電話に出なかったじゃない。」


私が言うと、


「えーっ、新婚旅行に行くっていったじゃん。夜中に鳴らされても、出ないよー。」


ああ、……誤解だったのね……。



電話に出ない咲香に、嫌われたと思い込んでいた私は、ホッとして胸をなで下ろした。



それにしても、夢だったなんて……。


夢にしては長くて、リアルな夢だった。


あの時間は、ぜんぶ現実ではなかったんだ。



ちょっと残念に思った、その時。ポケットにクッキーが入っているのに気がついた。


えっ、このクッキーは……。


私が、クッキーを眺めていると、

咲香が1つつまんで、こう言った。


「このクッキー、めちゃくちゃおいしいっ!ねえ、どこで買ったの??って、

お母さん??」


気づくと、私はクッキーを見つめたまま、

ぽろぽろと涙をこぼしていた。


「お母さん、どうしたの??」


咲香の問いに、答えられなかった。


ーーあの子たちは、

確かにいたのだ。

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