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第19話 赤いおようふく
私たちは、庭園の一角にあるビニールハウスにきていた。
「いっぱい、咲いてる…」
「そうですね、みごとですね。」
この国は、近隣でも有名なカーネーションの産地だ。
母の日を前に、色とりどりの花が並んでいた。
「リリア様、お話はうかがっております。どれでも好きな鉢を持っていってください。」
ビニールハウスの管理人は、私たちにこう言ってくれた。
「どれにしよう…」
あまりの数の多さに、リリア様は決めかねていた。
ーーお母さん、いつもありがとう!!
お小遣いで買ったカーネーションを、プレゼントしてくれた咲香。
「あのね、お母さん、いつも白色の服を着てるでしょ。白色が好きなのかなあって。…だから、白いカーネーションにしたの!」
ーー咲香との、大切な思い出だ。
あ、そうか…。
「リリア様、リリア様のお母様は、何色がお好きですか?」
「たとえば、いつも着ていた服の色、思いだせますか?」
「………。」
しばらく考えたリリア様は、ぱっと顔をあげた。
「赤いおようふく。」
「赤いおようふくで、りりあとお散歩したの」
リリア様は、赤いカーネーションの鉢を手にした。
「これに、する。」
リリア様が、また1つ選択した瞬間だった。




