12/35
第12話 幸せな毎日
「よう、アンちゃん!」
「アンちゃんじゃなくて、アンナです! ア・ン・ナ!」
「こわいねえ、リリア様〜」
クスクス、とリリア様が笑った。
「リリア様〜、アンちゃんに言っておくれよ〜。もっと優しくしてーってな」
あの出来事の後、料理長とよく話すようになっていた。最初はおっかない人だと思っていたけど、実は、気さくな人だったのだ。
そして、孫娘を見るかのように、料理長はリリア様に甘々になった。
「リリア様〜、食べたい物があったら、遠慮なく言ってくれよな!」
「う、うん……」
少し迷ってから、リリア様が私の袖をつかんだ。
「……アンナ」
「おともだちが来るの。クッキー……あったら、うれしい」
「任せておきな!!」
リクエストが嬉しかったのか、料理長は、満面の笑みで厨房に帰っていった。
最近のリリア様は、目に見えて、表情が変わってきた。
偏食も克服し、痩せすぎだった身体つきも、少しずつ健康的になっていた。
嬉しいことに、私にすっかり懐いてくれて、私の後をよくついてくるのだ。
小さな手で私の袖をつかみ、リリア様は当然のようについてくる。
ーーああ、かわいい。
私は、その幸せに浮かれていた。
ーーーでも、そんな時に、事件は起きた。




