表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/20

第1話 電話は、そんなにしなくていいから。

「電話は……そんなにしなくていいからね」


娘の咲香の結婚式の帰

り際、そう言われて、言葉が出なかった。


どういうことだろう。



数日は、言われた通りに我慢した。

スマホを手に取っては、そっと置く。


でも、やっぱり気になってしまって。

「咲香、ちゃんとやってるの?」

「大丈夫だってば」

それでも、声を聞けたことに、ほっとする。


――よかった。ちゃんと元気だ。


そう思ったはずなのに。

時間が経つと、また不安になる。

あの言い方、やっぱり無理してたんじゃない?

本当は困ってるんじゃない?


気づけば、また電話をかけていた。


一度で出なければ、時間をあけて、もう一度。

それでも出なければ、さらにもう一度。

そして、ある日を境に。

呼び出し音だけが、虚しく続いた。


出てくれない。


何度かけても、出てくれない。

――どうして?

胸の奥が、ざわざわと落ち着かない。

このまま、もう声が聞けなくなるかもしれない。

そう思うと、不安でたまらなかった。

じわりと、目の奥が熱くなる。

誰もいない部屋が、やけに広い。


咲香が幼い頃に夫を亡くし、私1人で頑張ってきた。


咲香と一緒なら、何があっても大丈夫だったのに。


「もう、私は……必要ないのかな……」


ぽつりとこぼした言葉は、やけに重く響いた。


その瞬間、視界がぐらりと揺れた。



――

……ここは、どこ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ