表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/21

13話 過去と再演

 ある夕方、みんなでレンタルスタジオに集まった。昔はよくここで宝石のカケラの練習をしたものだ。

 室内中央にマイクを五本立て、円を描くようにパイプ椅子を置く。発案者の唯夏を真ん中にして座った。


 唯夏は改めてみんなに謝り、そして。

「前もって伝えたように、みんなに話しておきたいことがある。演じる前に付き合ってほしい」

 前置きして本題に入った。

「みんなと出会う前の話。私が声優を目指したきっかけは親友だった」


 過去を語る声に引き込まれていく。唯夏には幼馴染の親友がいて、彼女の影響で声優を志す。中学生になると誘われて一般公募や養成所の試験を受けた。別々の高校に進んでもオーディションを探しては一緒に受け続ける日々。高校二年生の夏、ジュエリーピースの一般公募に出会う。これまでお互いに二次審査止まりだったけど、初めて唯夏だけ突破した。二次審査は地方予選。唯夏が受けた中部地方予選は七月中旬に行われた。

 親友は両親と約束していた。二年生の秋までに受からなければ諦めて大学受験に集中する。予備校にも通うと。三次審査と最終審査を経て、私たちは十月に顔合わせをした。

 親友が夢を追える期限と唯夏の合格が重なる。親友は予備校への入校を拒み、大学受験をしないと言い出し親と揉めた。


「頭のいい子だったから、進学しないのはもったいないと思った。東京の大学を志望していたし、上京したら親の目も気にせずオーディションを受けられる。今だけ諦めたふりをして、大学生になってからでも目指せると言ってしまった」

 唯夏の声は情景を詳細に伝える。言葉にされないことまでも。続きを聞くのが怖い。

「上手く伝えられなくて、諦めることを勧めたように感じさせてしまった。うちは『やりたいことがあるなら進学しなくてもいい』という家で。受験に対するプレッシャーをちゃんと理解できてなかった。怒らせて避けられて……。学校も休みがちになっていると聞いた」

 きっと言い方の問題じゃない。すでに夢か受験かの二択になってしまっていたんだろう。諦めるかどうかの瀬戸際に、夢の扉を開いた唯夏がいた。唯夏にじゃなくてその状況に追いつめられていた。私がそうだったように。

 誤解を解くため親友の家に押しかける唯夏。すると、彼女の部屋にあったアニメグッズやゲームが全てなくなっていた。

「『もう声優なんか目指さない。アニメも嫌いになった』と言わせてしまった。私は親友から夢を奪い、大好きなものを嫌いにさせてしまった。……私のせいでいなくなった」

「え……」

 私と芽衣の声が被る。

「いなくなった?」

「どういうこと……?」

 亜希が聞き返し、紗英はおそるおそる続きを促す。

「冬のちょうど今くらいの時期に家出をした。幸いにも数日で見つかったけど、繰り返すようになって。学校も辞めてしまい、春には家出から戻ってこなくなった。ご両親は居場所を知っているようだけど、私には教えてくれない。……当然だよね。こうなった元凶だから。そのうち残されたご家族も引っ越していった。中学までの同級生も誰も行方を知らない。今もどこでどうしているのかわからないまま」


 これが合格から結成の頃までに起こっていたこと。この時期には唯夏と二人の思い出が詰まっている。最初に共同生活をした高校二年生の冬休み。春休みも同じように過ごして、めでたくユニット結成。高校三年生の夏休みは最も長い時間をともにした。

 唯夏からも学校や地元の話は聞いていたけど、私が話していることの方が多くて。あの日々の裏側を知らなかった。


「ここは親友と引き換えに手に入れた場所。特別で大切な居場所。たくさん愛して、たくさんの人に愛されるユニットにしようと決めてた。私はみんなが好きで、だから……」

 言いよどむ姿に痛みが伝わる。続ける先にあるのは謝罪だろう。みんなを縛ったことへの。もう何度も謝っているのに。

「言わなくていい。もう十分だよ」

「言わせて。私はみんなが大好き。みんな私にないものを持っている」

 止めようとする私を唯夏は静かに振り切った。


「紗英の印象深くありながら何にでもなれる声と、みんなを引き上げる歌が好き。亜希の知的で穏やかな声と、しなやかに踊る姿が好き。芽衣の綿菓子みたいにやわらかな声と、曲に没頭する表情が好き。優香の……優しく馴染んで役を息づかせる声。どんなときでも合わせてくれて、ステージに心地よさと安らぎを与えてくれるところが大好き」

 すらすらと愛が語られる。ひとりひとりに顔を向けて、こぼれそうなほどの想いを込めた瞳で。紗英はこちらこそ大好きだと返すように。亜希は想われていることを噛み締めるように。芽衣は唯夏の目に映る自分を再認識するように聞いていた。

 私は……電話越しに聞いたあのときよりさらに誇らしい気持ちでいられた。これまでだって唯夏は真っ直ぐに愛を伝えてくれた。近くて大きいばかりに上手く受け止められないこともあったけど。今は少しも反らさずに聞ける。


「引退を聞いたとき、諦めないで、好きなことを嫌いにならないでと、そればかり考えた。足枷と呼ぶ自分のファンへの思いとか色々絡まって、大好きなみんなを傷つけた。約束を破ったと責めて……ごめんなさい」

 大切な人が夢を諦めることはトラウマだったんだ。親友に「諦めないで」と上手く伝えられていたら。後悔の念で空回りしていた。唯夏は昔からみんなを愛してほしいと願っている。みんなが……みんなでと、理想論を。その愛は重くて、やっぱり綺麗事でもあり。だけど絶対的な光だった。


「唯夏。話してくれてありがとう。そして、唯夏に引退を隠していたこと、改めて謝らせて。ごめんなさい」

 椅子から立ち上がった芽衣が唯夏の手を握る。

「唯夏は捨てたいと思っていた私の一部まで、素敵だと言って拾い上げてくれる。私は唯夏にいっぱい愛をもらったよ。でも私、唯夏に甘えて言い訳にもしてた。唯夏の願いを弱い自分を保つために使っていた。すがるのはおしまいにしようと思ったの」

 唯夏は「弱くなんかない」と言う。芽衣は受け取るように続けた。

「それでもね、唯夏がいてくれたから私がいるんだよ。声優の牧原芽衣を私自身よりも好きでいて、求めてくれてありがとう。夢を諦めても唯夏からもらった愛はずっと残り続けるよ」

「私も芽衣からいっぱいもらった。自分があげた以上のものをいっぱいもらってた。それから……婚約おめでとう。あのときは責めてばかりで祝えなくてごめん。幸せになってね」

「ありがとう。唯夏が祝ってくれると何倍も幸せになれる」

 ここにいるのは喧嘩したあの日の弱々しい芽衣じゃない。芽衣は旦那さんに幸せにしてもらえる。芽衣も彼を幸せにできる。


 そっと手を離した芽衣の隣に亜希が寄り添った。「唯夏」と優しく呼びかけて。

「私は嫌いになって辞めるわけじゃないし、辞めても嫌いにならない。大好きなまま。解散後も引退しても私たちは変わらない。変わってしまうように見えても、根底にあるものは変わらないから。唯夏の前から消えたりしないからね」

消えたりしない。その部分で、胸の奥からじわりと温かいものがこみ上げた。視界がかすみかける。紗英の前で泣いてからというもの涙腺がゆるくなった。

「ずっと……ずっと一緒にいてくれる?」

「当たり前。心配する必要なんかないよ」

「うん……うん。そうだよね」

 唯夏は立ち上がり泣き出した。それを二人が抱きとめる。芽衣は背伸びして唯夏を受け入れ、亜希は唯夏の頭をなでた。

 あふれそうな想いが涙となる前に、紗英の視線に気づく。ステージ上であれば「泣かないで」のメッセージ。よく唯夏に向けているもの。でもこれは「泣いてもいいよ」だった。逆に励まされ涙はこぼれなかった。紗英に目線で「大丈夫」と答える。


 唯夏たちを少しだけ三人のままにしてあげた。引退しても変わらない。それは本当だけど、私と紗英は唯夏と一緒に残るんだから。二人と、二人の一番のファンの抱擁を邪魔しないでいた。


 落ち着いた唯夏を芽衣と亜希は名残惜しそうに離す。二人が椅子に座り直すと、紗英は唯夏に体を向けた。

「唯夏が二人の引退を消化できて安心した。過去を聞いて私たちへの思いも知れた。ただ、デビュー前のプライベートな友達関係とプロである私たちの関係を重ねてもらいたくはない」

 あえて指摘しているようだった。眼差しでもうわかる。

「ごめんなさい。最初は代わりにしてた。特に優香は……」

 唯夏の視線は紗英からみんな、みんなの中から私に向けられた。重ねていた部分があるのも無理はない。最終審査で見つけた波長の合う相手。帰り際に仲良くなり二人で合格した。特別な出会い。

 同居期間中、私が夜遅くまで受験勉強していると、夜食としてパンケーキを作ってくれて。太ったら怒られるね、なんて話しながら食べた。親友とできなかったこと、親友にしてあげられなかったこと。私で取り戻そうとしていたところがあったのだと思う。


「今でも代わりなの?」

 尋ねるまでもないと思いながら聞く。だってそうであっても、親友の代わりであるとは思えない。私とみんなをあれだけ見ていてくれる唯夏だから。

「ううん、違う。一緒に過ごすにつれて変わっていった。他の誰かじゃなくて、優香と、みんなとしか歩めない道だった。みんなは大好きなかけがえのない仲間」

 その答えはみんな知っていた。深く愛するきっかけが過去にあったとして、唯夏が愛したのは私たち。決して身代わりじゃない。


「その言葉が聞けて良かった。唯夏のベタベタに甘いところは問題だと思いもしたけど、ジュエリーピースに必要不可欠だった」

 唯夏の偏愛を心配していた紗英だから言えることだ。偏愛は引退を受け入れがたくした原因でもある。それでもその愛に救われていた。

「私たちは絶対、唯夏から離れないよ」

「優香……。ありがとう。ジュエリーピースがみんなで本当に良かった」

 姿を消した親友。唯夏を傷つけて捨てた彼女が悪い。だけど私もそうなりかけた。私は二度と唯夏に同じ思いをさせない。


「それじゃあ、そろそろ……。始めてもいいかな」

 唯夏はハンカチをポケットに仕舞い、みんなに確認する。

「そうだね。そのためにここを借りたんだから」

「みんな、台本の準備はいい?」

 私に続いて、紗英が鞄から台本を取り出しながら言う。

「懐かしいね。みんなで練習していた頃を思い出すよ」

 台本をそっとなでる亜希。

「ここも思い出の場所だね。最後に来られて良かった」

 芽衣も当時を振り返るような表情だった。あの日々は今でも私たちの中に生きているんだ。


 それぞれマイクの前に立つ。

「始めようか」

 紗英の声で再演の幕が開いた。

 演じる第六話は全体の半分にあたる話であり、心愛たちの初ステージが描かれる回。小さなアイドルフェスで一曲歌わせてもらえることになったのだ。


「『もうすぐ時間だね』」

「『緊張する……。みんなは大丈夫?』」

 冷静ながらもどこか張りつめた渚と、みんなの様子を伺う楓。演じる亜希と芽衣から「人生で最後の芝居」という意識を感じた。二人の意志に心愛として応える。

「『平気に決まってるんだけど』」

 声を発した瞬間、頭の中に記憶が駆け巡った。ここで何度も練習した日々。唯夏と同居していた間、二人でもよく練習したこと。収録本番。いくつもの思い出が。台本の書き込みもいつどういう状況で書いたのか思い出せる。

 緊張を隠して強がる心愛の背中に天音の手が触れた。

「『……うん。いけるよ』」

 唯夏が——天音が喋っている。同じ作品の中で同じ主要人物として生きている。お互いの演技を繋ぎ合うことが愛おしくてたまらない。

「『初めてのフェス、そして初ステージ。頑張ろうね!』」

 宝石のカケラのジュエリーピースでも私たち現実のジュエリーピースでも、引っ張ってくれるのは未来であり紗英。私たちが何度もそうしてきたように、心愛たちもまた円陣を組み、ステージへ飛び出そうとする——


 ここまでがオープニング前のパートだ。先にライブ直前が描かれ、オープニング曲を挟んでからはここに至るまでの回想。心愛たち以外の役はみんなで回して演じた。


 時系列は最初のパートに追いつき、いよいよ出番がやってくる。

 並々ならぬ覚悟を持って挑んだけれど、結論から言えば失敗に終わった。曲を背景にしばらくモノローグが続く。

「(どうしよう……。歌詞間違えた)」

 ただでさえ不慣れでガチガチだったところ、一番サビで楓が歌詞を間違えたことから連鎖的にミスが起き始めた。

「(あ、立ち位置ここじゃない!)」

 天音はダンスフォーメーションを乱してしまう。

「(なにやってるのよみんな。……って、私も違う)」

 心の中でみんなに突っ込む心愛も振り付けを間違える。

「(振りが揃わない……。歌声も微妙にずれてる)」

 いつも落ち着いている渚だって焦りを隠せない。

「(なんとか……。なんとか持ち直さないと)」

 軌道修正しようとする未来の努力もむなしく、そのまま曲は終わってしまった。まばらな拍手と冷たい視線が突き刺さる。


 この第六話を選んだのは再起を誓うエピソードだから。初ステージを迎えるまでも逆境続きの心愛たちだけど、ここにきて最大のショックを受ける。どん底から這い上がってやろうとする姿を今こそ演じたかった。一番アフレコが長引いた回でもある。それだけにこの回への思い入れは強い。


 舞台裏で五人は始めのように輪になった。始めとは違う暗い雰囲気で。

「『初めてだしこんなもんだよ』」

諦観するような渚だけれど、悔しさは隠しきれていない。

「『こんなもんってなによ……。初出場で盛り上げてたグループもいたのに』」

 反対に心愛は悔しさを前面に出す。他との反応の差。私たちにも痛いほどわかる感情だ。

「『ごめん。私が肝心なところでミスしたから』」

「『やめよう。誰かひとりの責任じゃない』」

 うつむく楓と首を振る天音の横で、未来が深く息を吸う。

「『うん。私たちみんなの責任だね。これを糧にしてみんなで頑張ろう。それに今こそチャンスだよ』」

「『チャンスって?』」

 楓の問いに、未来は腰に手を当てふふっと笑う。紗英も片手を同じようにした。

「『アイドルは成長過程も売りもの。今がどん底の私たちには伸びしろしかない。これから成長物語を届けられる』」

「『さすがにポジティブが過ぎるんじゃないの』」

 口ではそう言うも、心愛は二十分に励まされている。少し呆れたような口調に希望をなじませて表現した。台本には「台詞のイメージより何倍もやわらかい感じで」とメモ書きが。この一言のニュアンスをつかむため、当時は何度もやり直した。

「『でも未来の言う通りかも。今日を知るお客さんはちょっとの成長でも感じ取ってくれるはず』」

 天音もいつもの元気を取り戻し、

「『つまりハードルが下がったってことだね』」

 渚はうんうんと納得する。

「『そう。見くびられている今こそ頑張りどき。下がったハードルを軽々超えて、次会ったときはあっと言わせよう』」

 未来の言葉でみんなの士気が上がっていく。

「『〝あのフェスのあの子たちが⁉〟とびっくりさせられるかな』」

「『いいね。歌もダンスも格段にレベルアップしてやろう』」

 弱気だった楓の声音が変わり、渚の声もやる気がみなぎっていて。私たちの歴史が演技に乗り、オンエア時とはまた違った魅力を生む。亜希と芽衣の演技がもう聴けなくなるのは悲しいけど、そのぶん心に刻んだ。

「『おもしろそうじゃない』」

「『お、心愛も熱くなったね』」

 心愛を覗き込む天音のように、唯夏も私の方を見ながら演じた。目を合わせて演技で返す。

「『未来にここまで言われたらね』」

 そして、みんなの視線が紗英に集まった。締めはやっぱり主人公の台詞で。

「『こんなところで立ち止まっていられないよ。私たちはもっともっと大きなステージを目指すんだから』」


 心愛たちは最終話で初めての単独ライブをやるけれど、未来の言う大きなステージにまではたどり着けなかった。もしヒットしていたら続編があったかもしれない。この夢が叶う物語もきっとあった。だけどそうならなかったからこそ、現実の私たちで叶えてあげたい。私たちにはもうひとつのジュエリーピースを救うチャンスが与えられたんだ。


 たっぷりの余韻を残して——終わった。お客さんもスタッフさんもいない、私たちだけのもうひとつのファイナルが。

「最後に演じられてすっきりした。これで思い残すことなく引退できる」

 亜希は清々しく言い切る。

「私も。おかげで大好きな声優業を宝箱の中に仕舞えた気持ちになった」

 芽衣のちょっと詩的な表現は、解散にも言えることかもしれない。

「また一緒に演じることができて、二人のためにもなったなら良かった」

 唯夏は亜希と芽衣を交互に見ながら伝えた。

「やっぱりみんなで演じるの好きだなって思った。唯夏、提案してくれてありがとう」

「こちらこそ」

 唯夏のちょっと潤んだ目が私に向けられる。特に唯夏と演じるのが好きだと——その気持ちも読み取ったように。


「いい区切りなったね」

 紗英の言うように大事な区切りの儀式だった。笑って声優人生を終えるため、笑って送り出すため、悔いなく解散するための。


 マイクやパイプ椅子を片付ける。この後はご飯を食べにいって、唯夏の家に泊まる予定だ。退室間際、唯夏は「先に行ってて」と勧めた。紗英がみんなからお金を預かって精算に向かう。亜希と芽衣もついていった。唯夏がそばにいてほしそうだったから、私は残った。


 唯夏は電気を消す前に室内を見渡した。

「録音すれば良かったかな」

「しなくていいよ。一回きりの再演。形にはもう何年も前に残ってる」

 このスタジオには録音機材も揃っている。録音して残しておくこともできたけど、しなかった。作品は私たちの声だけでは完成しない。映像がついて音がついて。たくさんのスタッフさんが関わってできている。


「そうだね」

 唯夏は今、この空間に過去の私たちを見ている。私もその世界に吸い込まれた。確かにいる。あの頃の私たちが。

「もう行くよ。紗英たちが待ってる」

 退室時間が迫っている。三人も精算を終えて外に出ているだろう。

「今日は唯夏がみんなを泊めてくれるんでしょ」

 唯夏はお別れを済ませるように眺めた後、ようやく私に向き直った。

「お腹も減ったし行こっか」

 少しだけ……このまま戻ってこられなくなるんじゃないかと思った。でも唯夏はちゃんと今の私を見ている。

 スタジオの外。遅いよと手を振る紗英たちが見えて、小走りで追いついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ