二十一話 十二月二十六日
十二月二十六日
東は旅行鞄に衣服や日用品を手当たり次第に詰め込んだ。彼のこの部屋の所々には、服が散乱している。それを拾い上げることなく、東は鞄を閉めて、床に置いてあるテントと寝袋を見た。
これから東は、イタリア旅行に行く。
その目的は言うまでもなく、ロザリア・ロンバルドだ。彼女を実際に見て、死は美の時を超越することができるかどうか、確かめるためだ。それは東が立花を手に入れるという念願において、かなりの比重を占める事柄だ。
国際運転免許証をたまたま取得していてよかったと東は思った。叔父の仕事の関係上、外国に行くことが多かったのが幸いした。
イタリアを車で南下し、シチリア島まで行くのだ。
東はソファーに座り、一息置いた。決して失われることがない美。それを得ることは本当に可能なのだろうか。東はまた昔を思い出した。何も失われていなかった時代が、彼にもあった。それを取り戻したかったが、不可能だった。東は、自分の手足などいらなかった。しかしそれを捧げたとしても、神は姉を帰してくれはしない。
ほのかな憧れを抱いていた飛行機が、愛する両親を奪ったことは、ただ家族を失うよりも幸太郎に大きな傷を心に負わせた。
テレビの報道番組で映し出された燃え上がる航空機の残骸。幸太郎をそれを見て、『たんぽぽが燃えた』と思った。空中に舞い上がる綿毛が、その浮力を無くして炎の海に落下したのだ。子孫を増やすために飛び立ったたんぽぽは、その遺伝子の繋がりをそこで断った。
ただ、空に舞うタンポポの種と違い、今回散ったのは、子供の幸太郎達ではなく親の方だった。だから時と共に繋がり続ける血の糸はそこで途絶えたわけではない。しかし、そんなことは幸太郎にとってどうでもよかった。残ったのが子供だろうが、大事なものを失ったことに変わりはない。
幸太郎がその凶報を初めて聞いたときは、まるで現実感がなかった。生まれてからずっと一緒にいた両親が、その日から二度と会うことができないなど、想像もできなかった。
あの緑が生い茂る山奥に飛行機が激突し、その原型をとどめなくなった残骸をぼんやりテレビで見ていても、それが多くの人の死に繋がるとは到底思えなかった。あと何日かすれば、両親はひょっこりと姿を現し、また以前のような生活に戻れると思っていた。
だがそんな幼い思いも虚しく、いつまで経っても両親は現れなかった。時間が経つにつれ、父と母はもうどこにもいないのだという現実が、幸太郎に重くのしかかっていった。
姉はしきりに幸太郎を励ました。何が起こったかまだわかっていない幸太郎に「大丈夫だからね」「お姉ちゃんがいるからね」と繰り返し言い聞かせた。
だがそれもやせがまんに違いなかった。姉は以前より、ぼーっとどこかを眺めていることが多くなった。そして、たまに「ごめんね、幸太郎」とか細い声で言った。その意味はまだその時の幸太郎には理解できなかった。しかし、数年後それを思い知ることになる。
姉と幸太郎を引き取ったのは、それまで数回しか会ったことのない叔父と叔母だった。彼らは気の毒そうに幸太郎達に接した。だが、幸太郎はその二人の違和感を子供ながらに感じ取った。なぜか、叔父と叔母は嬉しさを噛み殺しているように感じたのだ。
それもそのはずだった。幸太郎の叔父と叔母には、遺産相続で莫大な金が転がり込んでいたのだ。さらに、航空会社からの慰謝料も入るはずだ。その大半は幸太郎と姉のものだったが、未成年の二人にはそれを管理する権限がなかった。だから、実質、大金は叔父達のものだった。
その新しい保護者達は初めのうちは幸太郎と姉に優しく接した。多くの両親を失った子供に、普通の親戚がかけるような言葉を幸太郎達にかけた。幸太郎はそれを言われるままに聞いていたが、姉は違っていたようだった。後々思ったことだが、姉は叔父と叔母の魂胆を見抜いていたのだ。大金を独占し意のままにしようとしていたことを。
新しい生活が始まっても、幸太郎はそれになじむことができなかった。叔父と叔母はほとんど会ったことがない他人同様だったし、彼らが買った新しい家は何故か住み心地が悪く感じた。それまで幸太郎達が住んでいた家は売却された。それには姉が猛反対したが、その意見は聞き入れられなかった。それがきっきかだったのか、叔父と叔母の姉に対する態度は少しずつ冷たくなっていった。
叔父達が買った家は両親と住んでいた場所と遠く離れていたので、当然姉と幸太郎は転校した。幸太郎はその転校先の学校でもなじめなかった。
転校生に対する洗礼に幸太郎はおとなしく従うことをしなかった。それは懸命な判断ではなかった。転校生が目立つということは、クラスのまとまりを崩すことに繋がる。しかし、両親が死んだことをからかわれると、どうしても我慢ができなかった。幸太郎はよく喧嘩をした。
幸太郎は喧嘩が強かった。小学生相手なら、何人と戦っても負けなかった。それがいけなかったのかもしれない。幸太郎はよく相手の子供に怪我をさせ、学校内で問題になった。大勢で囲んで暴力を振るおうという相手方が一方的に悪いはずが、幸太郎だけが悪者にされた。そのうち誰も喧嘩を売ることはなくなり、近付く者さえいなくなった。
いつも一人で絵を描いたり、工作や粘土遊びをして過ごした。喧嘩をして、擦り傷を負って帰ってくる幸太郎を見ても、誰とも遊びに出かけることのない姿を見ても、姉は何も言わなかった。だがその時は決まって、悲しい顔をしていた。叔母は幸太郎が問題を起こして学校に呼ばれると恐ろしげに怒り狂った。そういうことが続いたことで、叔父達と幸太郎達の仲は険悪になった。
叔母は足が悪かった。いつも杖をついて歩いていた。だがそれは歩く以外の用途を持っていた。叔母は激高すると、よくそれで姉をぶっのだ。初めは、姉が叔母の大切にしていたティーカップを割ってしまったからだった。
しかしその日、姉は叔母に命令され、一人で夕食を作っていたのだ。叔母は自分が足が悪いことを理由に、姉をこき使った。姉は悪くない、と幸太郎がかばうと、叔母は今度は幸太郎を杖でぶった。姉はその日から、絶対に自分をかばってはいけないと強く幸太郎に言いつけた。幸太郎はそう言う姉のあまりの迫力に、うんと言うしかなかった。
しかし日増しに、叔母の姉に対する態度は悪くなっていった。成長するにつれてどんどん美しくなっていく姉に嫉妬していたのかもしれない。事あるごとに杖で姉をぶった。足が悪いからと姉を使っているくせに、ちゃんと両足で立って杖を振り上げていた。決して姉の顔は殴らなかった。虐待が学校などに知れて児童相談所に通告されては、金を取り上げられてしまうと思ったからだろう。叔父はそんな叔母を見て何も言わなかった。彼は金さえあれば何も文句はなかったのだ。
姉は夏でも半袖の服を着なかった。体に生々しく残るあざを誰にも見られたくなかったのだろう。たった一人の弟にさえ、最後までそれを見せることはなかった。
叔父と叔母の幸太郎達に対する仕打ちは日増しにひどくなっていった。新しい服を買い与えられることは稀だったし、自分達は豪華な食事をとるくせに幸太郎達には質素なものしか与えられなかった。叔母曰く「子供はそれで十分」らしい。
ある日、姉と幸太郎は叔母のヒステリーにより、いつも通り杖でめった打ちにされた。その後姉が言った。
「ごめんね。ごめんね、幸太郎」
幸太郎は不思議に思った。「どうしてお姉ちゃんが誤るの?」
姉はしばらく黙ると、言葉を詰まらせながら言った。
「私がお父さんとお母さんに旅行して来いなんていうから、全部おかしくなってしまったのよ。全部お姉ちゃんが悪いの」
幸太郎は絶句した。それまで、姉が気に病んでいたことがその時初めてわかった。
「お姉ちゃんは悪くない!」
大きな声で幸太郎は言った。姉は何も言わなかった。
姉はしばらく間を置いてまた話し出した。
「幸ちゃんは、まだ、パイロットになりたいの?まだ空、飛びたい?」
幸太郎は首を横に振った。「飛びたくなんか、ない。お父さんとお母さんを殺したのは飛行機だ。飛行機が全部悪いんだ。だから、お姉ちゃんは悪くない」
姉は目を潤ませた。「そう…ありがとう。でもね」姉は幸太郎をじっと見た。「飛行機は悪くないのよ」
「え?」幸太郎は姉をまじまじと見た。
「タンポポの話、覚えてる?」
幸太郎は首肯した。「覚えてるよ」
「タンポポの綿毛はね、種を運ぼうって、子孫を増やそうって、がんばっているのよ。一生懸命に働いているの。だからね、それによって不幸なことがあっても、綿毛を憎んでは駄目。憎んだら、憎まれる人が、まただれかを憎むかもしれないし。そんなの嫌でしょ?」
幸太郎は考えた。しかし、姉の言うことは上手く理解できなかった。
「だからね、お姉ちゃんのことなら、いくら憎んでもいいよ。私は、誰も憎まないから」
「だから、お姉ちゃんは悪くないって!」幸太郎は叫んだ。
「…ありがとう」
姉は苦しそうに微笑んだ。
両親を墜落する飛行機に乗せてしまったという負い目は、いつまでも姉からは消えなかったのだろう。その負い目は、幸太郎を普通とは違った方向に成長させるに至った。
時が経ち、幸太郎は中学生になっていた。姉は高校生だった。その時の叔母の態度はひどかった。彼女と叔父との仲も上手くいっておらず、いつも姉に当り散らしていた。
幸太郎は中学校に入り、背も伸びて体格がよくなっていたから、叔母の餌食にはならなかった。彼はいつも叔母に睨みをきかせていたが、彼女は幸太郎の見ていないところで姉に暴力を振るった。幸太郎は、一度も姉が叔母に抵抗したところを見たことがなかった。高校生になっても、そうだったに違いない。姉は、誰も憎まないと言った。あの叔母すらも、憎まなかったのだ。
中学校に入っても、幸太郎は喧嘩ばかりだった。依然として彼は強く、高校生ですら相手ではなかった。いつも一人でいたが、その一匹狼のような雰囲気に魅力を感じたのか、女子生徒達はよく幸太郎に構った。それとも喧嘩ばかりしているが、彼が根は純朴で快活だということを見抜いていたのかもしれない。
東は流されるままにたくさんの女生徒と付き合ったが、すぐに別れた。彼を取り巻いた女たちは、彼の美的感覚を満足させるほどではなかった。
学校の成績は良かった。中学校レベルの問題を解くことは、彼にとって新聞の片隅に載っているクロスワードクイズを解くよりも簡単だった。
中学校生活は小学校と比べて充実していた。気に入らない男は殴って、女の子達と話をする。この繰り返しは幸太郎にとっては苦ではなかった。
しかし、家に帰るとそれも気休めでしかないということを思い知る。姉は体の傷を増やし、幸太郎は叔母から罵声を浴びせられた。姉はしきりに叔父と叔母を憎んではいけない、反抗してはいけないと繰り返した。姉の言葉に従い、幸太郎は叔父と叔母の虐待を甘んじて受け入れていた。
だが姉の体が心配だった。心の支えとしての姉は彼にとって大きな存在だった。その姉が苦しむのを見て、ただ手をこまねいているしかないほど、幸太郎は子供ではなくなった。
だがら、姉に提案した。
「姉さん。逃げよう」
姉は幸太郎の言葉が理解できないように、首をかしげた。
「二人で暮らすんだよ。俺は学校をやめて働く」
本気だった。それが社会的にどういう意味を持つのかもわかっていた。しかし、それしか姉を救う方法がないと思ったのだ。
「だめよ」姉は悲しそうな顔をした。「中卒じゃあ、どこも雇ってくれない」
「でも!姉さん辛いだろう。何度も俺があのババアを殴ってやるって言ったのに、姉さんは耳を貸さないじゃないか」
姉はさらに悲しそうな顔した。「幸太郎。どうしてあなたは、そんなに乱暴になってしまったの?優しい子だったのに。私のことは大丈夫よ」
幸太郎はその後も何度も姉に家を脱出することを持ちかけた。しかし姉は頑としてそれを聞き入れなかった。私が耐えればいいと。私が耐えれば何も問題ないと。
しかし幸太郎は諦めきれず、学校に通いながら新聞配達のアルバイトを始めた。姉に見つからないように、朝早くにこっそり出て行って、彼女が起きる前に戻ってきた。
金を貯めて、姉を家から連れ出そうと思った。遺産は叔父と叔母が管理している。姉が成人するまで、それが残っているかはわからない。だからもうあんな家にいる意味はない。幸太郎は固く決意して、アルバイトに励んだ。
そういう生活を続けていたが、そのうちに姉に働いていることがばれてしまった。たまたま幸太郎が家を出て行くところを目撃していた近所のおばさんが、姉に話したのだ。姉は珍しく幸太郎を叱った。幸太郎は仕方なく、しばらく働くことはやめることにした。
その頃から、姉の様子がおかしくなった。いつもよりさらにやつれていって、幸太郎の言葉も聞いているのかいないのかわからないような、漫然とした態度をしていた。彼女は夜に出かけることが多くなった。幸太郎は、男でもできたのかもしれないと思った。それは歓迎だった。その男が姉の境遇を見かねてこの地獄から救い出してくれるかもしれない。
しかしその時はいつまで経っても訪れなかった。姉はさらにやつれていき、まるで死人のように毎日を過ごしていた。無表情で、無気力。幸太郎は姉が心配で仕方なかった。しかし子供の自分ができることは限られていて、どうしようもなかった。それが歯がゆくて、悔しかった。
ある日、学校から帰って自分の部屋へ行くと、机の上にメモが置かれているのが目に入った。幸太郎はなんだろう、とそれに目を向けた。そして、頭が真っ白になり、めまいを起こした。体中の関節が固まったように動かなくなった。
その紙にはこう書いてあった。
さようなら。幸ちゃん。ごめんなさい。
幸太郎は走った。姉の行きそうなところをくまなく探してまわった。姉の通っていた学校にも行った。町中を走りつくしてから、あることを思い出した。
海の近くに、自殺の名所と呼ばれる場所があるということを。
得体の知れない胸騒ぎを感じた。そんなはずはない。しかしもしかしたら――
幸太郎はタクシーを捕まえて、そこに向かうことにした。間に合ってくれ。そればかり考えていた。姉は自殺をするような人ではなかった。しかしその頃の姉は様々な理由により大きく変わってしまっていた。
タクシーはある海岸に到着した。幸太郎はなけなしの金をドライバーに支払うと、その辺りのことを訊いた。少し歩いたところに、柵に囲まれた断崖絶壁があるらしい。そこから身を投げる人間が後を絶たないという話だった。
そこまで連れて行こうか、というドライバーの言葉は耳には入らなかった。幸太郎は言われた方向へと全力で走り出した。
すると、ドライバーが言った通りの場所に、一人ぽつんと佇んでいる人影が見えた。近付いていくと、それが間違いなく姉であることがわかった。
「姉さん!」
幸太郎は力の限り叫んだ。すると、姉はゆっくりと振り返った。
姉は憔悴しきっていた。目の周りは落ち窪んで、頬はこけていた。これがあの綺麗だった姉なのだろうか。どうしてこんなことになってしまったのだ。幸太郎の目から、涙があふれ出た。
「幸…ちゃん…」
その声に力は無かった。幸太郎は目から出る涙を拭くことも忘れて、姉に呼びかけた。
「姉さん…ほら、そんなところにいないで…こっちへおいでよ…」
姉は少し驚いた顔をしていたが、ほとんど無表情だった。幸太郎は姉を刺激しないよう注意しながら、ゆっくりと柵を乗り越えた。
「幸ちゃん、来ちゃだめよ。危ないから」姉は消え入りそうな声で言った。
「姉さん、どうして…」
姉はしばらく間を置いてから、話し始めた。「お金ね、貯めようと思ったの」
「金?」
「…そう。幸ちゃんが働いていたって知ってから、悪いと思って、私も働いたの」
「働いたって…」
姉は学校へはしっかり通っているようだった。帰ってきてから、あの叔父と叔母のために買い物に行って、夕食を作って、休みの日には掃除だってしていた。その姉がいつ働いていたというのだ。
「幸ちゃんに軽蔑されちゃうかも知れないけど、夜、働いたの」
姉のその口ぶりから、それが水商売を意味することは、容易に想像できた。
「お姉ちゃんさ、がんばったよね?」
姉は無機質な口調で言った。しかし幸太郎には姉が必死に問いかけているように見えた。
「ああ、がんばった。姉さんはがんばったよ」
「お父さんも、お母さんも、許してくれるよね」
幸太郎は身を乗り出した。「何言ってるんだ。誰も姉さんを…」
「来ないで!」
風が二人に吹きつけた。ばたばたと暴れる髪を押さえようともせず、姉は後ずさりをした。
「ごめんね。幸ちゃん。二人で暮らそうって言ってくれたのに。駄目だった。一生懸命働いたけど、駄目だった。私の体の痣とか、この痩せた顔とかで、クビになっちゃった。お父さんとお母さんが死んでしまったのは私のせいだから、今まで全部我慢したけど…」
「姉さん、頼むから…」
姉はまた、後ろへ一歩下がった。
「もう、疲れたの。お姉ちゃんは、飛ぶわ。たんぽぽみたいにじっとしているのはもう終わり」
幸太郎は姉が昔言った言葉を思い出した。『たんぽぽは、子孫を残すために、空を飛ぶの。咲いている間はじっとしているしかないけど、我慢していれば、いつか空を飛べるわ』
ああ――
格好いいお父さんがいて、やさしいお母さんがいて、綺麗なお姉ちゃんがいて。
お姉ちゃんが彼氏を連れてきて、お父さんは険しい顔をする。お母さんがそれをなだめて、お姉ちゃんは顔を赤らめる。
僕は仕事について、お姉ちゃんはお嫁に行って、僕とお父さんが一緒にお酒を飲んで…。お父さんとお母さんはいずれ年をとって、でもいつまでも、いつまでも、いつまでも――
「……」東は、言葉にできなかった。
「幸ちゃんはお姉ちゃんみたいになっちゃだめよ。それと、誰のことも憎んじゃいけないわ。いつも優しい幸ちゃんでいて」
「姉さん、駄目だ!」
「さよなら。ごめんね」
そうして幸太郎はすべてを失った。
姉の遺言通り、叔父と叔母を責めることはしなかった。しかし、許しもしなかった。
美しかった姉が、打ちのめされて、そして死んだ。その事実は東幸太郎の人格に大いに影響した。姉の負い目が、結局彼の美への依存を促すことになった。幸太郎は永遠に憧れた。決して失われないものがあるということを信じたかった。
そしていずれ、それを手に入れるために奔走することになる。




