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SNOW WHITE INTERLUDE -白雪姫と七つの矮星-  作者: 二ノ宮純
第3章 「空白の席は誰が為に」
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第4章 「葵花にとどまる朱雀の尾羽」 第6話

レッスン室に、木刀がぶつかる乾いた音が響き渡っていた。


SNOW WHITE第2部——

7人の小人たちの殺陣シーン。


その中心に立っていたのは、立風館の双剣、

神代朱と神代葵だった。


朱の演じる「ロート」と葵の演じる「ブラウ」は森に来る前は某国の剣士という設定。


このシーンはそのロートとブラウがまさに国の存亡をかけた戦いをしているシーンである。



「もっと腰を落とせ!力だけで振ったら相手に読まれるぞ!」


演出席からのロゼの声が、力強く室内に響く。


赤髪のポニーテールを激しく揺らしながら、

朱は木刀を大きく振り下ろした。


神代一刀流の重厚な太刀筋。


一振りごとに空気を裂くような迫力があり、

受けた相手は思わず後ずさりする。


「朱さんみたいに力強く振ろうとすると、すぐにバランス崩れるよ……」


息を切らせた1年生の1人が、

膝をついてぼやいた。


「最初は形を覚えた方が楽だよ!あとは適当でも何とかなる!」


朱が汗を拭いながら笑うと、

隣で葵が静かに口を開いた。


「朱の言うことは信用しないで、まずは足の運びから見直しましょう。 力で勝つのではなく、相手の動きを受け流して間を作る。それを意識してみてください」


葵の木刀が、水のように滑らかに弧を描く。

神代仙華流特有の優雅な軌道。


指先から視線まで、一切の無駄がなく、

見る者を引き込むような美しさがあった。


1年生たちは息を呑んで、その動きを目で追った。


「すごい……本当に姉妹なのに全然違う」


「かっこいい……」


朱が得意げに胸を張る。


「だろ?これこそ朱ちゃんスペシャル!!」


「いいから、あなたはまず自分の動きに集中」


葵が呆れたように言うと、

朱は「はーい」と返事をして、

再び1年生たちの前に立った。


「よーし、行くぞ!!」


「は、はい!」


朱の剣捌きに必死に食らいついていく。


葵はひとりひとりの姿勢を直しながら、

優しく声をかけた。


「焦らなくて大丈夫です。最初はみんな、こうやって何度も転びながら覚えるものですから」


「葵さん、優しい……」


「え、私は!?」


1年生たちの顔に、わずかな自信の色が宿っていった。


レベル差は依然として大きかった。


けれど、双剣の2人は、ただ圧倒するのではなく、

自分たちの背中を見せながら、

後輩たちを引き上げようとしていた。


木刀の音が、再びレッスン室に響き始める。


力と優雅が交錯する殺陣の中で、

朱と葵の声が、はっきりと重なっていた。


「もっと腰!もっと視線!もっと、自分の剣を信じろ!」


それが、小人役としての2人の、

今の立ち位置だった。



雑兵役の1年生たちの間を、

素早く駆け抜ける影があった。


鋭い一閃が、朱に襲い掛かろうとしていた。


朱がそれに気づき、木刀で受け止める。


乾いた音がレッスン室に響き、

火花が散るような衝撃が走る。


八重・バートンだった。


八重と朱の木刀が、激しく鍔迫り合いを繰り広げる。


「やるねぇ。昨日と動き違うよ」


朱が余裕の笑みを浮かべる。


「流星に憧れたのはあなたたちだけじゃない。私たちだって流星をこえたい」


朱の赤髪のポニーテールが激しく揺れ、

力強い神代一刀流の重みが、

八重の剣に真っ向からぶつかる。


その瞬間、葵が静かに横から加わった。


流れるような神代仙華流の太刀筋が、

八重の側面を狙う。


八重は素早く後に下がった。


2対1の構図。


立風館の双剣と、百合々咲の王子様——

八重・バートンの殺陣が始まった。


八重の剣捌きは洗練され、教本通りでありながら、決して型に嵌まらない柔軟さを持っていた。


朱の力強い太刀筋をいなし、

葵の優雅な軌道を華麗に受け流す。


(流星を超えたい——)


八重の胸の奥で、静かに火が点いた。


数ヶ月前、凛に教えてもらった勇気。

型に縛られず、挑戦すること。


そして昨夜、過去の映像を見て気づいたこと。

朱と葵の剣の根底にあるのも、同じ憧れだ。


自分もまた、火野凛の残した壁を越えたい。

ただ完璧に型を守るだけの剣では、届かない。


(自分らしく——)


八重は歯を食いしばり、一歩前に出た。


教本にない間合い。

自分の呼吸に合わせた軌道。

恐れを少しだけ手放し、剣に意志を乗せた。


朱の目が、わずかに細くなる。


「……来たな」


木刀が再び激しく交錯する。


力と優雅、そして——

自分自身を超えようとする意志が、レッスン室に熱く響いていた。


周りの生徒たちは、ただその光景に見惚れていた。




これは、トップスタァを目指す少女たちの物語。

そして……




世界を知る物語である。


第6話 完

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