表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/78

第75話:知り合いからの依頼

「でやぁ!」


 俺の持つ木製のクラブがガワを捉える。ガワは勢いよく吹き飛び、動かなくなる。

 俺はクラブを置き、息を整えた。


 俺の左前方に居たルシュが振り返り、口を開く。


「こっちは終わった」


 ルシュの声には多少の疲れが見える。


「ああ、こっちも何とかなったよ。ギルドに戻ろうか」


 ***


「依頼完了を確認しました。こちらが報酬になります。お疲れさまでした!」


 モアさんが報酬を手渡してくれる。笑顔のモアさんにお礼を言う。


 俺達は帰る前にギルドに併設された酒場で昼食をとることにした。

 テーブルにつき、飲み物を注文する。エールとルシュの果実のジュースが運ばれてきた。


「今日も無事に終わったね」


 ルシュは淡々と喋っているように見えるが、心なしか上機嫌である事が分かる。


「魔獣、まあガワとかだけど、戦いにも慣れてきた気がするな」


 仕事終わりのエールが染みる。まだ正午になったばかりなので、この後ゆっくり出来るのは嬉しい。


 ……あのルッタ駆除の依頼から既に1週間が経過していた。ここ最近は討伐依頼を受ける事が多くなっていた。

 ほぼガワや危険性の低い魔獣ばかりだったが、武器を振るい回避する動きが磨かれてきたように思う。


 とは言え、先日のルッタ討伐の時に出会ったレゾルをはじめとした三人組と比べると、俺はまだまだだ。

 ルシュは身体能力ならば右に出る者はいないと思うが、経験が足りない。二人合わせてようやく一人前に近づいている、そんな感覚がある。


 俺はテーブルに立てかけたクラブを見る。これは俺が呼び出した武器ではない。俺が呼び出した棍棒は基本的にルシュが使っている。

 このクラブは店で購入し、俺が自分の武器として使用しているものだ。

 一週間ほどの付き合いだが、結構手になじんできた。


 そんな事を思いながらエールを飲み、食事をとる。ギルドの酒場をまともに利用したのは今回が初めてだ。

 こうして座っていると、周囲から色々な声が入ってくる。少し強力な魔獣が出現した、どこかの古城に賊が住み着いた、平原で二日連続でアンデッドが出現した等。

 耳を傾けているだけでも情報が集まってくる。

 これまでひたすら目の前の依頼を受けているだけだったので、あまり意識した事はなかったが、この酒場自体が情報の集まる場所でもあるようだ。


 正面に座るルシュは食事に舌鼓を打っている。彼女は食事が至福の時らしい。


 彼女と最初に出会った時、倉庫の月明かりの中で静かに座っていたルシュを思い出す。

 あの時の印象とは良い意味で全く違う、今のルシュ。


 今はこうして、向かいで夢中になって食べている。

 それを見ているとこちらも、自然と表情が緩んだ。


 ***


 酒場で食事を終え、帰宅しようとした時、依頼窓口に立つ人物の後ろ姿が目に入る。

 やや緑がかった黒色のローブには見覚えがあった。


 受付のモアさんが俺の目線に気付いたようで、手招きしてくる。


「ルシュ、呼ばれてるみたいだから行ってみよう」


 俺の言葉にルシュも窓口の様子に気付く。


 窓口に行くと、ローブの人物がこちらを向いた。

 白い長髪に白い肌、何よりも特徴的なのはその顔に付けられた目隠しのようなものだ。


「イルミニさん」


「あら、あなたたちは……」


 以前イルミニさんと出会った時は暗い店内だったから真っ黒なローブだと思っていたが、明るいギルドの中ではちょっと色が違う事に気付いた。

 薄暗い店の外に出てきたイルミニさんというのも、何となく不思議な感じがした。


 俺達の様子を見たモアさんが口を開く。


「イルミニさん、ヨウヘイさん達に依頼を受けて頂くのはどうでしょうか?」


「そうね……」


 モアさんの提案にイルミニさんは同意したようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ