第73話:あっけない決着
「やあっ!」
ルシュの振るう鋼のメイスは青ルッタを掠め、後ろにある岩に当たる。
岩はヒビが入り、表面の一部が砕ける。そしてルシュの持っていたメイスは大きく折れ曲がった。
すんでの所で回避した青ルッタは、さらに遠くに跳んで行ってしまった。
「当たったと思ったのに……つかれた……」
ルシュは肩で大きく息をしている。青ルッタを追い回している内に疲労がかなり溜まってしまっていた。
俺も多少疲れていたが、ルシュほどの疲労ではない。
座り込んだルシュに水を渡す。
「あの青いルッタを追いかけ始めてから、他のルッタを全然倒してない。
アイツはこれくらいにしておいた方が良いかもな」
ルシュは横に立つ俺を見上げ、んー…と唸る。
「もう一回だけ……!」
ルシュはまだ諦めていないようだ。
「分かった、もう一回チャレンジだ」
俺とルシュは青ルッタが跳んで行った方向へ向かった。
***
歩き始めてから数分経つ。
青ルッタがいくら普通のルッタより遠くまで跳躍するからといって、これほど遠くまで一度で跳ぶとは思えない。
あの後更に移動したのだろうか。
俺とルシュは周囲を見渡す。
周囲は草原が広がっており、所々に畑がある。
マーテンからは多少離れた場所になっており、畑もまばらに点在している地帯だ。
目を凝らして遠くを見ると、少し上空に青い塊が視界に入る。丁度跳躍している最中か。
「ルシュ、あそこだ!」
俺は指差し、ルシュと一緒に小走りに移動する。
……
青ルッタの近くには他の冒険者達が居た。
オーク、ハーピー、ミノタウロスの三人組だった。
「お、コイツはレアものじゃないか、ツイてるな!」
オークの男が話す。
「いいじゃん、やっちゃおう!」
ハーピーの女が少し嬉しそうに返事する。
「おうよ!」
オークの男が彼の背丈ほどある大きなハンマーを振り上げる。
青ルッタが跳躍する前にハンマーの風圧で宙に舞い上がる。
「そぉれ!」
ハーピーの女が羽ばたくと同時に、空中にある青ルッタが地面に強く叩き付けられる。
上空から吹き付ける猛烈な風は青ルッタの自由を奪い、青ルッタを中心にして周囲の草が倒れ、サークル状になった。
「二人とも、良いぞ」
そう言いながらミノタウロスの男が走る。
鈍重そうなその外見からは想像もつかないほどの機敏な動きだ。
上空から吹き付け地面で拡散する風をものともせずに青ルッタに迫り、
「フンッ!」
斧を振り下ろす。青ルッタは真っ二つになり、動かなくなった。
その流れるように鮮やかな手際に、俺達は近づきながらも眺める事しか出来なかった。
俺とルシュがあれほど翻弄されていた相手が、三人がかりとは言えここまであっさりと仕留められてしまった。




