第107話:ルシュ、がんばる!
「テール熱の薬用にサキスの種と、リチーの粉末ねぇ……」
店主のインプがカウンターの隣にある棚をしばらく調べる。
「悪いね、どっちも無いねえ……」
棚を探りながら店主が答える。
***
「3軒目も無かった……」
つい口をついて出る。最初は駆け足でピウリの店を飛び出したが、早くも力が抜けてきた。
……
(はい、これに簡単だけど薬屋の場所と名前を書いておいたよー。
材料が見つかったら持っておいで、フリドー君が調合してくれるから)
(もってきてくださいッス)
……
ピウリ達とのやりとりを思い出す。教えてくれた店は後3軒。ここまで無いと見つからないかも知れない。足取りが重くなる。
ここまで巡った薬屋は街の東側。残りの店舗は街の西側にある。
マーテンの東西を横断する大通りに出る。
小道を行くよりは大通りを使った方が早いし迷わずに済む。
テール熱はゆっくり休んでいれば良いとピウリは言っていた。
ヨウヘイも同じ事を言っていた。最悪薬が見つからなくても大丈夫かも知れない。
でも……。
部屋でヨウヘイが一人で待っている。
ゆっくり休んでいれば治ると言っていたけど、本当に大丈夫なのだろうか
。早く帰りたい気持ちはある。
でもそれよりも先に、薬を見つけたい。
ここまでずっと走り通しだった事もあり、少し疲れてきている。
走るのをやめ、大通りの脇を歩いていく。
しばらく歩き続けると、視界に目的の建物が見えてくる。
………
4軒目にもテール熱の薬はもちろん、他の材料も見つからなかった。
「ここにも無い……」
太陽の位置が高くなり、既に午後になろうとしている。
思った以上に時間もかかっている。もたもたしていられない。
兎に角、他の店にも行かないと。
大通りを更に西に歩き出そうとすると、
「あれ、ルシュちゃん?」
と声を掛けられた。
「?」
振り返ると、そこには金髪のハーピィの姿があった。
「チティル……!」
「やっぱりルシュちゃんじゃない、どしたの?浮かない顔して」
ハーピィのチティルが話しかけてきた。思いがけない再会に、少しだけ肩の力が抜けた気がした。




