94話 落ち着く人を見ると慌てるやつ。
年末年始はあっという間だった。もっと寝ていたかった。
さて、これからは予定通り3日に一回。時間は12時で上げます(*'ω'*)
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突然笑い出す国王。正体がバレて笑い出すって言うのは、定番でやらなければいけないのだろうか?
「国王……いや、お前は誰だ?」
「ふっふっふ。見ているのであろう?名はそこに書いてあるだろう。」
あ、そうか。そこを見ればいいのか。どれどれ……エルビって言うのか、ステータスやスキルは戦闘向きじゃないな。
「エルビ……っくそ。それ以外は見ることが出来ん。」
「当たり前であろう。この部屋は極力魔力が使えぬ様制限をしてある。能力まで見せる権限を与える訳がなかろう。」
「そんな……」
ん?見えないの?見えている僕はどうなんだ?
『確かにこの部屋に魔力を制限する結界はございますが、この程度では忍様を制御する事は出来ませんよ。』
「そうなんだ。」
「どうしたのかな黒の勇者君?」
「あ、何でもないよ。そのまま話を進めてくれていいよ。」
「あ、ああ。」
国王だった魔族が僕を見てニヤリと笑ってくる。僕にステータス見られていないと思っているのか、もしくは見られた上で僕に笑いかけているのか?ここは少し様子をみよう。
「(アイさん。2人とアマン達にも声は届けられる?)」
『レブルとエストに声を届ける事は可能です……声が聞こえたら忍様に2度触れて下さい。』
―トントン。
―ツンツン。
2人から反応が返ってくる。
「(頭で考えた言葉は通じるけど。相手に気がつかれないように。アイさん、もう一つの方はどう?)」
『アマン達には結界を無視して伝える事は出来ますが、相手に気づかれない様には厳しいかと。』
「(今は無理をしないでおこう。様子見でいくから、2人も僕が動くまでそのままでお願い。)」
―トン。
―ツン。
「貴様の狙いは何だと言うのだ。」
「……。」
お兄さんが全員を代表して聞き出してくれる……ハーネスの背中から。
「カッコいいこと言うなら、私に隠れてないで堂々として欲しいわね。」
「そうは言ってもだよハーネス。僕は弱いぞ?」
「知ってます。」
「……だからだね。君の後ろを借りているんだよ。」
勇者はキャリパーさんを背中に庇っていて、僕はレブルとエストを庇っている。
「我が息子ながら、情けない光景だな。勇者2人を見習え。」
「僕は親父みたいに戦えんし、何より勇者と比べられたら大抵の者が下であろう……って俺はお前の子供じゃない。」
「そう言うな1年の付き合いじゃないか。くっくっく。」
「1年も!?」
人を見る能力があって気づかれないもんなんだね。
「(エストは変わってたの知ってた?)」
「……。」
―トントン。
知らなかったのか。
「(あー……これ聞こえているのかしら?)」
「(うん。聞こえているよ。)」
「(私はあまりお父様と話す事は無かったから。でもお兄様とお姉様が気がつかないって、よほど上手く立ち回っていたのね。)」
キャリパーさんを見るとあまり驚いた様子は無いけど。何を考えているんだろう。
「さてと、バレてしまったのでは私は去らねばなりませんね。」
「このまま逃げられると思っているのか!」
「問題はない。その為にこの部屋では魔法を禁じ、我に有利な状況を作っているんだからな。勇者も魔法が使えない上に武器もないだろう?」
「っく……。」
「武器を持った者が目の前に居るのをお忘れですか?」
「そうだったな。しかし黒の勇者は剣も抜いていない事から、戦う意思はないように見えるが?」
周りの人間が僕達に視線を集める。
「シノブ様。なぜ剣を抜かないのですか?」
「ん?戦うなら剣を出すけど。今はお互いに話していて戦う様子はなかったから。」
「出すって。その背中にある物は剣でしょう?」
「あー僕のは魔法剣だから。戦う時以外はしまったままだよ。」
「はーっはっは。君が魔法剣を使うのは知っているぞ。だから何もしないのもな。」
椅子から立ち上がり、ゆっくりと窓の外に向かう魔族のエルビ。その背中から黒い羽が現れる。
「我も無用な戦いは避けたいのだよ。魔法が使えないのであれば、無理せず見ている事だ。」
「魔法が使えないのはあなたも一緒でしょう?」
「そう見えるかな?」
―ボォ!
そう言うと手に火を出すエルビ。
「自分に有利な状況とはこう言う事だよ。」
「このまま見ている事しか出来ないの……」
「キャリパーさん。止めたいなら止めるけど?」
「しかしシノブ様も魔法が……」
「相手が火を出すなら、僕は水でいいかな。」
―ブクッ。
「な!?なぜ魔法が使える!」
「結界はあるみたいだけど、干渉して相殺できるみたい。」
「忍さん。私も戦うわよ。」
―ボォウ!
レブルも剣を抜き、炎の魔法剣に翼を出す。
「何だと!?赤い娘も魔法が!」
「別に使えないとは言ってないわよ。そもそも剣を出している所を見ているでしょう?」
「え?これ使えるの?」
―チャキ。
エストも剣を抜く。
「特に変わった様子は……」
「エストのは魔法剣じゃないし。」
「……そうだったわね。」
「な、な!?どうなっている!その剣……クリーブランの黒鳥の剣?」
「そうね。確か名前は、烏と言っていたわね。」
エストの剣を見て慌てるエルビ。そう言えばエストのは元々魔族が使っているやつだっけ。
「お前ら一体なんだと言うのだ!まさか……」
「クリーブランって魔族なら生きてるよ。どこかの牢にいるはずだけど。」
「んな!?アイツが捕まったと言うのか!」
「まぁ倒したね。」
「まさかとは思うが【メロデ・マウント】で魔族を倒したと言う噂は……」
その街で魔族を倒した……あれかな?
「斧使ってたアイツかな?」
「まさかただの噂と思っていたが、ヴィクトリカまでも。」
「そんな名前だっけ?」
「シノブさん。確かそんな名前だったわよ。」
「そうか。名前なんてどうでもいいけど。」
「…………。」
こう話している間にもエルビの顔から焦りの色が見える。そろっと窓に移動をしているのも。
―ヒュン。
「窓から逃げるつもりかな?それなら僕を倒して進むしかないけど?」
「いつの間に!?」
「レブルとエストはみんなを護って。ステータス的には戦闘が得意ではないけど魔族だし。罠が他にもあるかも知れないから、油断はしないようにね。」
「「分かったわ。」」
「なな……我の能力を見たのか?」
「普通に見れたけど?」
「……。」
あー考えている。目をキョロキョロして必死に考えているよ。
「くそ。こうなれば王都に魔族を……」
『忍様。相手が外の魔族にコンタクトをしています。妨害しますか?』
「外と連絡してる?」
―ガタッ!
僕の言葉に体を強張らせ、座っていた椅子を倒す。
「何故……気づいた?」
「何故って教えてくれたから。」
「ふ、ふん!バレたところでやる事は変わらん!『全軍!王都へ侵攻せよ!』これで貴様らは王都へ行かねばなるまい……」
「シノブ様!」
「まぁ慌てないで…………うん、そう言う訳だから。少しの間だけ頼んだよ。」
「「「???」」」
「あ、声出てた?今仲間に頼んだから、外はこれで問題ないかな。」
「どう言う……どうした…………青い髪の女が?雨がどうした!?おい!」
青い髪のってセローかな?今言って早速動いたのか。準備してたにしては早過ぎるけど。
「……。」
「よく分からないけど。外はなんとかなっているのかしら?」
「青い髪のって言うのは弟子のセローですね。前もって準備して貰っていたけど、少し行動が早いね。おそらくだけど、ハイヤーが予め準備してくれていたのかな。」
こうなるって思わなかったけど、準備をしておいて結果は良かったって事かな。
「さぁ……まだまだ聞きたい事はあるわ。ゆっくりお話をしましょうか?」
「ははは……お茶は貰えるのかな?」
羽をしまい、倒れた椅子を直すエルビ。そして睨むキャリパーさん。戦闘は避けられたのかな?とりあえずは、このまま様子見だな。
忍「急に大人しくなったね。」
レブル「この状況で暴れ出すとか、勇者でもしないと思うわ。」
忍「そう?魔法が使えるんだし、やり方はいくらでもあると思うよ?」
エストレア「そう言えば罠がってシノブさん言っていたわね……。」
アイさん『魔法制限以外の罠は解除してあります。』
忍「さすがアイさん。」
エストレア「いつの間にそんな事を?」
忍「能力見た時から、罠があるって知ってたからね。こっそりアイさんに解除できるかお願いしてたんだ。」
エルビ「それで罠が一つも発動しないのか……君がここにいた時点で我は負けていたんだな。人族を少し侮っていたようだ。」
エストレア「そこは人族で括らないで。あくまでもシノブさんだから。」
エルビ「とは言え君も人族なのだろう?」
忍「ええ。人以外に何に見えるのですか?」
全員「「「…………。」」」
忍「なんでみんな黙るかな?」




